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明るい灰色の空

泣き出しそうな灰色の空を尻目に、お散歩に出かけた。
薄曇りの微かな太陽が見え隠れする穏やかなお天気。

以前、体調を崩して休んでいた時に思い立って2駅ほど自転車で散歩したことがあるが、その時は驚くくらい体力がなかった。はぁはぁ。ぜぇぜぇ。ひどいものだったのを覚えている。今日は自転車ではないが、それに比べたらとっても軽快なものだった。

少し生ぬるい心地よい風が吹いていて、半袖でぴったりなくらい。爽やかな天候だったが、さすがに2駅分歩くとじっとりと汗をかく。心地よい汗なので悪い気はしない、むしろ健康的だと思えて少し嬉しくなった。

ふと、橋を渡る時感慨深い感情がやってきた。
もう少しで、この景色ともお別れだ。
慣れ親しんだ、見慣れた景色が色濃く、懐かしく映る。
そんなにこの土地に情などなかったはずだが、いつの間にかこの景色は「わたしの街」になっていたと思い知らされる。

川のほとりの木々が緑を増して、さわさわと音を立てる。緑の葉っぱと裏側の白い部分が合間って雪の結晶が舞ってるみたいでかわいい。開けた橋桁、高速道路ができるのか、灰色のテトラポットみたいな建物がぽつりとできていて、それに伴って歩行用のスロープも新しくできていた。その道は初めて通ったな。

変わっていくものを悔やんでも仕方ないし、離れていくものもあれば、新たに出会うものもある。人生はそんなことの繰り返しだ。

憂いてみても何も変わらない。ただ、懐かしさと感謝を捧げるのみ。きっと、新しい街は、新しい風を運んできてくれる。何も変わる予定はないけど、何かは変わる気がする。嬉しいワクワクに包まれることを祈る。

同じに見える毎日でも、日々少しずつでも変わっていて、同じ日などはない。
季節も夏を迎えようとしているみたいだ。

わたしも置いて行かれないように準備をしよう。
半袖をいっぱい出さなきゃ。断捨離も始めよう。

捨てていくもの、持っていくもの、変わらずにあるもの。
決めるのはいつだってわたしだ。


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