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青い影


ザワザワとするこころの叫びを知っている気がした

あの時の感情と似た嫌らしい騒めき

都会の喧騒がうるさすぎて窓を閉じた

四角い窓は黒い四角になった

見たくなどないと願いながら遠くまで来てしまった

渇いた手のひらに乗る波は幾重にも折り重なって

弾けた白が行き場を失って混じりきれずに

霞んだ瞳は霧のように涙の元に溢れかえっていて

針をさせばたちまちほどけてしまいそうで

泣き出しそうな三日月を見上げた

闇夜のような暗黒な感情が湧き上がっては

やってくる光に背中を押されては正気を取り戻して

繰り返される日々にいつの間にか疲弊して


灰色な中毒性のある毒に取り憑かれているなど

微塵も気づかずに

塵の重ささえも息苦しく感じ息をしていた

分厚いリアルは、灰色な日々を哀れんで

押しつぶされても構わないと

胸を張って言えそうなくらいに

正しくない正義はただの真実でしかなくて

何も見たくなかった

何もかも忘れてしまった


大切なあの人の言葉さえも私の言葉さえも

大好きだったと伝えられてたかなんてわからない

ただ全ての思いを受け止めて

ただ一つの居場所だった

大切な場所をなくしてもなお

それは大切な場所に違いはない


このザワザワをあなたに伝えたら

あなたはなんて言葉をくれるだろう

覚えてなどいないはずの言葉は

色となって温度となって優しい感覚に溢れて

帰ってきそうな気がする

それだけで十分だ

今はあなたの影だけで息をしている

闇夜も優しく息をする青い影



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