【星色デザイア】自分の曲を解説してみた【前編】

どうも、東方同人音楽サークル「ギャラクティック・リボルバー」代表のフォカです。先日の第二十回博麗神社例大祭で初の東方アレンジシングル「Borderless Phantasm」を頒布しました。このカップリング曲である「星色デザイア」は、正真正銘僕が初めてアレンジ・作詞をした曲となります。今回は、この曲について自分で解説していきたいと思います。



楽曲コンセプト

表題曲の「Borderless Phantasm」が東方になぞらえて現実のことを歌う曲であるのに対し、「星色デザイア」は純粋な霍青娥のキャラソンとなっています。

僕はデザイアドライブ及びそのアレンジをこよなく愛しており、(過去note参照)そのため、初めての東方アレンジはデザイアドライブと決めていました。

この曲で伝えたかったことは主に2つです。
①霍青娥の可愛さ(ただし、聊斎志異前半のものに限る)
②デザイアドライブの旋律の美しさ
③「欲望」と「星空」という、デザイアドライブ2大テーマの共存

この二つの観点から構想を練っていきました。

多分東方アレンジは特にその傾向が強いと思うのですが、メロディを先に作ってから作詞をしました。ここではその順番に倣い、メロディを作る段階から解説をしていきます。



追記:初めはアレンジも作詞も同時に解説しようと思いましたが想像より長くなりそうなので、この記事を「アレンジ編」とし、歌詞解説の記事は後日アップします。


アレンジ


全体構成

まず、デザイアドライブアレンジの曲構成は大きく分けて2種類に分類できます。それは、

①原曲イントロ部分がサビ 
②原曲Bメロ部分がサビ

この二つです。この辺りについても過去のnoteで触れました。(というよりあのnoteはこの曲の副産物だったりします)

まずはこの2つの構成のどちらを選択するかというところから始まりましたが、これに関しては迷いませんでした。曲を聴いてくれた人ならわかると思いますが、この曲は①の構成を取っています。理由は以下の通りです。

・Bサビ型はサビで同じメロディが反復するため強い主張、特に「欲望」を主体としたアレンジ向きである

・デザイアドライブの旋律の美しさというものは、特にイントロ部分に依るものが大きい

・Bサビ型ではどこかにオリジナルor他原曲(しばしばユアンシェン)を用いる必要がある

・単純にその構成をしているものの方が好き

こんな感じの理由です。





サビのメロディ

この段階で、「星色デザイア」のイントロ、Aメロ、Bメロのメロディはほぼ確定しました。ですが、実はこの段階ではサビを確定させることはできません。
なぜなら「デザイアドライブイントロ部分は到底人間が歌えるメロディをしていないから」です。
これについては様々なサークルがそれぞれ異なったアプローチを仕掛けており、参考にしました。

ここについても詳しいことはnoteやTwitterツリーに書いています。これを研究するために、10曲ほどのイントロサビ型デザイアドライブアレンジのサビ部分を耳コピし、楽譜に起こしました。これを元に「デザイアドライブの旋律の美しさ」という条件を満たすアレンジの共通項を探り、一つの結論が得られました。

2小節目及び3小節目(「客星が こんなに綺麗な」のところ)の「低音から高音までの急速な駆け上がり」を原曲通り行うこと。

この条件を満たすデザイアドライブアレンジはいくつかあり、
「デザイアシューティング(あ〜るの〜と)」
「月まで1秒ちょっと(森羅万象)」
「Little Traveler(DiGiTAL WiNG)」
です。
どれもが「美しい」と感じる曲であるというのは、これらの曲を聴いたことのある人ならわかることでしょう。

他の小節について、1小節目(ねぇ デザイア)については確実に原曲のままでは歌えないところなので変えています。
ここのアプローチは「音数を減らす」「高低差を小さくする」などがありますが、前者を採用しました。

8小節目及び16小節目の終止の部分(「来てよ」などのところ)ですが、これには結構興味深い話がバックにあります。複数のデザイアドライブアレンジの採譜を行って判明したことなのですが、多くのアレンジにおいてこの部分は「原曲とは異なるメロディであるにも関わらず同じメロディを採用している」部分です。

例として、
「熱帯夜(はにーぽけっと)」
「スターオーシャン(TaNaBaTa)」
「TAO DRIVE(MISTY RAIN)

があります。

これに限らず多くのアレンジでD(レ)の音(というよりは基音)で終わっていましたが、これは一般的な楽曲でもよく見られるものですね。今回の「星色デザイア」でも同様のメロディを採用し、「解決感」「終止感」を演出しました。





ギターソロ

残りの部分として、ギターソロがあります。ここには「古きユアンシェン」を採用しました。なぜならギターソロあるいはCメロで別原曲が来る東方アレンジすこすこ侍だからです。それ以上の理由はありません。ここのギターソロのフレーズに関しては、うちのギター担当「うまどし」にユアンシェンを聞かせて「これを元にいい感じのギターソロを作ってくれ」という漠然とした依頼をしたら秒でこれを弾きあげました。多分彼は天才です。
ここのギターソロのパートでは実はピアノとストリングスも別のユアンシェンを奏でています。ユアンシェンイントロ部分の発狂ピアノ(ピアノではないなこれ……)です。これをここのコードに合うように適宜音程をいじって入れています。よく聞けばわかると思うのでチャレンジしてみてください。





実は入っていたリジッドパラダイス

アレンジに関するところで他に工夫したのは2番Bメロ後半です。ここは構成上どうしても繰り返しが多く、単調になりやすい箇所です。そこで、後半からストリングスでボーカルと別のフレーズを入れることにしました。ふと思いついたので試しにリジッドパラダイスを入れてみるとなんとびっくり、めちゃくちゃよく合いました。ワタクシ裏別原曲流れだいすこファミリーでもあるのでこれにはニッコリです。というわけでここの部分(「枝の馬でも 竹の竿でも」の部分)は左耳に意識を集中してみてください。よく聞けばリジッドパラダイスに気づけると思います。


ちなみにこれについては原曲欄には書きませんでした。以下のような理由があります。

・主旋律でないので書かないでもそこまで問題ないということ
・秘匿しておいた方が気づいた人的には面白いということ
・原曲欄に「リジッドパラダイス」を加えることにより「せいよしの曲であるという先入観」を持たれることを防ぐため


特に最後が最も重要で、原曲が「デザイア、ユアンシェン、リジパラ」の東方アレンジはたくさんありますが、その多くがせいよし曲となっています。そして、せいよしにおける霍青娥って大体邪仙なんですよね。僕はむしろ「霍青娥は邪、ナチュラルボーンカスムシとして語られることが多いが元ネタの聊斎志異の前半では割と純粋な乙女で可愛い」ということを伝えたいのでこのように誤解されるのは致命的なんですよね。このリジッドパラダイスは音楽的要素から入れたのみで、そこに宮古芳香の介在するところはありませんし、そもそもこの曲自体宮古芳香は存在しておりません。なぜなら霍青娥と「都良香」がどのような出会いをし、なぜ「都良香」が「宮古芳香」になったかわからないためです。誰か教えてくれー!





コード進行

これについて書くのを忘れていました。とはいっても単純で、この「星色デザイア」は、ほぼ原曲通りのコード進行をしています。(7thが入ったりなどはしていますが)

これにもいくつかの理由があります。それは、

・最初なので変に自分で考えたものより原曲通りの方が聞きなじみがあってよさそうだから

・特にサビについては原曲が王道進行をしているためわざわざ変える必要性が薄いこと

・参考にしたデザイアドライブアレンジの多くが原曲通りのコード進行をしていたこと

これらが主な理由となっています。



とりあえずは以上とします。アレンジに関することでもそこそこ書ける内容が多かったですね。しかし、本当に解説したいのは歌詞についてなのでこちらも後日投稿します。では!



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