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ROBOPROを提供するFOLIOにおける「新NISA」への対応

いよいよ2024年1月から新しいNISA(以下「新NISA」といいます)がスタートします。

新NISAでは非課税保有期間が無期限になるなど、従来のNISAと比較して使い勝手が大きく改善されることになり、我々から見ても、お客様の資産形成をより一層後押しできる制度変更となったと考えています。(詳細は後述の「参考」欄でご紹介します)。

もっともFOLIOが注力するロボアドバイザーの一つである「ROBOPRO」においては、機動的に投資配分を変更するという運用戦略上の特徴を活かしつつNISA枠を有効活用することにおいて課題があり、慎重に対応方法の検討を進めてまいりました。

来る2024年1月に向けて、ROBOPROを提供するFOLIOが新NISAにどのように向き合っていくのかについて、計3回シリーズの記事として、まずは第1回の本記事にて対応方針の結論をお伝えし、その後第2回、第3回の記事にて対応方針にかかる背景や検討経緯をご紹介します。

市場環境の変化に応じて機動的に投資配分を変更するROBOPROの特徴

まずは、ROBOPROにおける新NISAへの対応方法を検討するうえでポイントとなる、運用戦略上の特徴を解説します。

一般的なロボアドバイザーとは運用戦略が大きく異なる

「ロボアドってどれも同じじゃないの?」と思われている方は少なくないと思います。ですが、以下のグラフをご確認いただくと直感的にその違いをご理解いただけるはずです。

このグラフは、ROBOPROをリリースした2020年1月から2023年10月までの期間における1か月ごとの投資配分の変化を示すもので、左側が一般的なロボアドバイザー(※1)で運用したと仮定した場合、右側がROBOPROで実際に運用していた場合の投資配分の推移です(※2)。

グラフからは投資配分の変化の度合いが両者で大きく異なることがわかりますが、このような運用結果の違いが生じている要因は、運用戦略等に以下のような違いがあるためです。

一般的なロボアドバイザーにおいては、お客様のリスク許容度に応じて、あらかじめ用意された複数の運用コースの中から投資配分が提案されます。そして、運用にあたってはコースごとに定められたリスクの度合いを概ね維持することを目指し、運用開始後はコースを変更しない限り当初の投資配分から大幅な調整が行われにくい設計となっています。

一方ROBOPROにおいては、AIを活用し、金融市場を先読みして毎月機動的に投資配分を変更することで、あらゆる局面に対応しながら、下落幅を抑制しつつ資産拡大の機会を積極的に狙うような設計となっています。

このように「ロボアドバイザー」という同じサービスの括りのなかでも、商品性には違いがあります。

※1「一般的なロボアドバイザー」の投資配分シミュレーションについて:「一般的なロボアドバイザー」とは、利用者がリスク許容度に応じて設けられている複数の運用コースの中から一つのコースを選択し、一般的な運用アルゴリズム(ノーベル賞を受賞した理論に基づき、金融機関において広く使われている平均分散法を採用。平均分散法における期待リターンはCAPMを用いて算出)を用いて自動で運用を行う投資一任サービスのことを指します。本シミュレーションは、一般的な運用アルゴリズムでROBOPROと同じETFを運用したと仮定した結果です。リスク許容度はやや高めとし、5%〜40%の保有比率制限を設けて最適ポートフォリオを算出しています。
※2 ROBOPROの投資配分の推移について:各月に適用される投資配分の変更時点(ex.2023年11月は2023年10月27日時点)の比率を示しています。2022年6月、11月は毎月の投資配分の変更とは別に、臨時で投資配分の変更を実施しています。

金融庁公表のロボアド過去3年のパフォーマンスでNo.1に

ROBOPROは前述の特徴を活かすことで、好実績を残すことができました。

なお、以下のグラフは、2023年4月21日に金融庁より公表された資料で、ロボアドバイザーの過去3年のパフォーマンス(2022年末時点)において、累積リターンが第1位だったことを示しています。(※3)

※3 出典およびグラフ・データ等について
・出典は、金融庁ウェブサイト「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」の別添「2022年末(4)ファンドラップ関連」。
・グラフはFOLIOにて作成。
・データは2022年末時点。対象は主な投資一任型ロボアドバイザー5社。
・各社がサイトで公開している「コスト控除後・円建て」の月次データを基に計測。各社公開データは、2017年8月にロボアド提供会社が行った「情報開示の更なる向上に関する共同宣言 」に基づき開示されている。
・「ROBOPRO」はサービス開始が2020年1月15日のため、計測期間の3年は2020年1月15日から2022年末までの約3年間で計算。
・運用実績は将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。

しかし、このような好パフォーマンスの裏では、悩ましい問題も抱えています。
それは、「機動的に投資配分を変更する」というROBOPROの特徴が、実は新NISAへの対応を検討するうえでボトルネックになってしまっている点です。

ROBOPROを新NISAに対応させるには商品性を変えなければならない?

ROBOPROに限った話ではなくロボアドバイザー全般に言えることですが、特徴の一つとして「自動で投資配分のメンテナンスや変更が実施される」という点が挙げられます。これに伴い、運用資産の売買が自動的に行われることになります。

売買を含めて運用をおまかせできるのがロボアドバイザーの魅力ではあるのですが、新NISAへの対応を考える場合には、この売買が新NISAにおける「年間投資枠」に影響を与えることに注意しなくてはならず、その影響を踏まえた商品設計を行う必要があります。

「機動的な投資配分の変更」によって年間投資枠が埋まってしまう

まずは、もしROBOPROが新NISA口座で利用できた場合、どのように年間投資枠が利用されることになるかを考えていきます。

なお、新NISAの年間投資枠(合計360万円)は「成長投資枠(年間240万円)」と「つみたて投資枠(年間120万円)」の2種類が併存し、2つの枠で合計1,800万円の非課税保有限度額(総枠)が設けられており、さらにその総枠の中で「成長投資枠」には1,200万円の上限が設けられています(詳細は後述の「参考」欄でご紹介します)。

そこで例えば、上図のように「成長投資枠」にてROBOPROに100万円投資したと仮定し(①)、その後、評価額が変動し100万円の元本が120万円に上昇したとします(②)。

ではもしこのときに、投資配分の変更を実施した場合、どのようなことが起きるでしょうか?
ROBOPROの場合はAIによる将来予測に基づき投資配分の変更が行われ、例えば上図のように「評価が上昇した資産を売却し(③)」「新たな資産を購入する(④)」等の売買が行われることになります。

つまり、投資配分を変更する過程においては「資産を購入する(④)」という事象が発生するため、その都度、購入金額分だけ年間投資枠(成長投資枠)が埋まってしまうことになります。


ROBOPROにおいては、商品性を維持したまま新NISAに対応することが難しい

ROBOPROに限らず、一般的なロボアドバイザーにおいても定期的に投資配分のメンテナンスが実施されるため、前述と同様の問題が生じます。しかし、ROBOPROは「機動的に投資配分を変更する」という特徴を持つため、一般的なロボアドバイザーと比較すると、毎月の売買額が膨らみやすい傾向にあり、比較的早いペースで年間投資枠が埋まってしまうことが想定されます。

そのため、世の中のロボアドバイザーの中でも特にROBOPROにおいては、商品性を維持したまま新NISAに対応することが非常に難しい状況であると言えます。

もちろん新NISAへの対応策として、投資配分変更の実施頻度を減らすことや、変更のダイナミックさを抑制すること等によって、その課題と向き合うことも可能です。
しかし、そのような運用戦略の変更を行えば、パフォーマンスの追求を諦めることにも繋がりかねません。

FOLIOとしては、このような背景を総合的に勘案し、どのようなかたちで「ROBOPRO」をご提供することがお客様にとって最適解なのか、それを見極めることが大切だと考えています。

FOLIOにおける新NISA対応の方向性

FOLIOとしては、ROBOPROが持つ「金融市場を先読みして機動的に投資配分を変更する」という特徴は、ROBOPROのアイデンティティであると考えています。また現在ご利用いただいているお客様のためにも、その特徴を活かしパフォーマンスの追求を続けるべきであると考えています。
一方で、新NISAへの対応についてのご要望も数多くいただいているため、以下の対応を予定しています。

  • ROBOPRO(投資一任)は、新NISA対応に向けた商品性の変更は行わず、今後も独自の強みを伸ばし続ける。

  • ROBOPROの運用戦略を活用した「新NISAに対応した投資信託」の組成を目指す。FOLIOは投資信託を組成する運用会社へ投資助言という形で関わる。

  • 現時点ではFOLIO口座では上記投資信託の取り扱いを行わない予定だが、一つでも多くの金融機関でお取り扱いいただけるよう取り組んでいく。

次回(第2回)の記事では、上記3点について、その具体的な対応方法や詳細をお伝えします。

(参考)新NISA制度の主な変更点まとめ

NISAとは、NISA口座内で毎年一定額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税(通常は約20%が課税)になる制度です。当初2014年1月に開始した制度ですが、2024年1月にその制度が刷新されることになります。

主要な変更点は以下のとおりです。

(その他の変更点等、制度詳細は金融庁HPをご確認ください。)

表に記載していない変更点も含めて、いずれもNISAをご利用される皆様にとってメリットの大きい変更であると考えられます。

特に新NISA制度においては、「成長投資枠とつみたて投資枠の併用ができること」「非課税保有期間が無期限となること」「年間投資枠と非課税保有限度額(総枠)が増額となること」などの変更によって利便性は大きく向上します。

例えば、資金に余裕があり2つの枠の年間投資枠を満額投資し続けられる方は、最短5年で総枠を埋めることもできますが、逆にコツコツと積み立てていきたい方においては20年、30年と、自分のペースで総枠を埋めていくことも可能です。

今後は自分のライフ&マネープランに合わせて、投資方法(一括投資 or 積立投資)や投資期間(最短5年で満額利用可能)、毎年の投資金額等の計画を柔軟に変更できるようになるため、NISAをご利用される皆様は自分に合った方法で資産運用に取り組むことができるようになると考えています。

■本資料について
・投資環境に関する過去の事実等の情報提供や、発行時点での投資環境やその見通しに関する当社の見解をご紹介するために株式会社FOLIOが作成した資料です。
・記載内容は作成時点のものであり、将来の市場環境の変動や運用成果等を示唆又は保証するものではありません。
・信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、その正確性、完全性等について保証するものではありません。

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