狂犬病予防接種の集合注射はクラスター?

新型コロナウイルスの影響をうけて、一部の地域では、犬の狂犬病予防接種の集合注射も中止となっています。

集合注射とは

公園などにワンちゃんを集めて、集団接種するやつ。毎年の春の風物詩的な・・・そして、その意義については賛否両論あります。
そもそも日本での狂犬病の発生は半世紀の間なくて、そしてさらには狂犬病予防接種の接種率は低く、集合注射の存在意義自体を疑問視する声もあります。

その一方で、防疫の最前線にいらっしゃる方々は、その予防接種が水際を突破された時の頼みの綱なので、犬はもちろん、猫やその他野生動物を含めて、哺乳動物全体での接種が望ましいというケースもあります。

でもここでは、それを議論したいのではなく、集合注射を中止にするとどうなるか、ということ。

もちろん、集合注射が中止になったからといって、予防接種自体が不要になるわけではありません。やはり狂犬病予防法に基づいて接種しなければなりません。

じゃあどこでするのか?

もちろん動物病院です。もともと狂犬病予防接種は集合注射以外では動物病院で接種することが可能です。そして、集合注射が中止になると、接種できるのは動物病院だけになります。

で、どうなるか。集合注射で済ませていた方が、動物病院を受診します。ただでさえ、4月5月の動物病院はほとんどが繁忙期で混み合います。そこに集合注射で接種する予定だったワンちゃんまで集ると。。。

動物病院の待合室は飼い主の方と犬で溢れかえります。いわゆる『三密』状態です。しかも動物が院内から逃亡しないようにするため、うかつに換気もできません。

どうでしょう。集合注射よりも新型コロナウイルスの感染リスクが高まるような気がするのですが。。。
もちろん、動物病院も予約制にして、待合室が混雑しないようにする工夫はできます。しかし、ほとんどの動物病院は一般的な企業体で言うと零細企業。予約制にして頭数を減らすともちろん動物病院の収入も減ってしまいます。
今のところ、私が知る限りは動物病院はセーフティネットの対象じゃなかったはずなので、収入源はそのまま経営的なダメージになります。

さらには、今動物病院にはマスクやアルコールが不足しています。人の医療機関優先のため、一般の方々と同じでそれらの入手が困難な状態です。
個人的にはマスクは感染拡大の予防に役立っていると考えていますので、マスク不足のまま診療を続けると、スタッフへの感染リスクが高まります。
万が一、動物病院内でクラスターが発生すると、当然2週間以上は病院を閉めなければなりません。そうなるとさらに経営的に厳しくなります。

そうならないようにするためにも、狂犬病予防接種の集合注射は継続すべきなのではないでしょうか。そのほとんどは屋外ですので、密度をコントロールすれば動物病院の待合室よりも感染リスクは低いように思います。

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