ニューヨーカーから支持される「Daily Harvest」のブランディング戦略

ニューヨークで大人気の「Daily Harvest」

「Daily Harvest」は、2015年にニューヨークで誕生した、新鮮なスーパーフードを使ったスムージーを提供するお店です。

カップには冷凍されたオーガニックフルーツやスーパーフードが入っており、冷凍庫から取り出して、カップの中に入った食材をミキサーに入れるだけで、美味しくて栄養たっぷりなスムージーを簡単に作ることができます。

スムージーを作る際に多くの人がネックに感じるであろう、「色んな種類の食材を購入する面倒」であったり、「食材を細かく切る面倒」等の行為を排除した画期的な商品を、定期購入型のサブスクリプションモデルで販売しています。

オスカー女優やプロテニスプレーヤー等の有名セレブリティたちもDaily Harvestに投資しており、定期購入型のフードビジネスはアメリカに多数存在しますが、Daily Harvestの人気はズバ抜けています。

現在はスムージーの他にも、冷凍スープやサンデーも販売しており、冷凍食品販売企業として不動の地位を築いています。

注目すべきは冷凍食品のイメージを刷新したブランディング戦略

Daily Harvest成功のポイントは、は「冷凍食品=悪」というイメージを払拭させたブランディング戦略です。

最近でこそ「Picard」などのオシャレな冷凍食品ブランドが登場していますが、当時冷凍食品は「手抜き料理」「オシャレさからかけ離れている」「身体に悪い」というイメージを持たれていました。

このような粗悪なイメージを一新するために、Daily Harvestは、冷凍食品のイメージを「身体に悪いダサイ食べ物」ではなく、「ヘルシーで便利なオシャレな食べ物」に変えるブランディングを試みました。


ブランディング戦略のポイント①ターゲットの共感を得るコンセプトの策定

Daily Harvestでは「Farm-Frozen(農場から冷蔵庫へ)」をコンセプトに、ブランディングを実施しました。

「Farm-Frozen」というコンセプトはどのようにして誕生したのでしょうか?

それはDaily Harvestの創業者であるレイチェルの実体験にあります。

当時レイチェルは妊娠8か月で、お腹の赤ちゃんのためにも、身体に気を使った生活をしなければいけませんでした。

しかし、仕事で忙しいレイチェルは、栄養バランスのとれたヘルシーな食事を作ることに困難を感じていました。

そんな時、今まで抵抗のあった冷凍食品を活用することで、効率的にヘルシーな食生活を実現できる、と気付きました。

冷凍食品は栄養がないと思われがちですが、「農家で収穫後にベストな状態で冷凍された食材は、収穫後数日経過した食材よりも栄養価が高い」ということも明らかになっています。

レイチェルは、この事を自分と同じ境遇にある「仕事にプライベートにと忙しい毎日を過ごす女性」に訴えるため「Farm-Frozen」をコンセプトに、冷凍食品の新しい価値を提供していきました。


ブランディング戦略のポイント②ブランドイメージに合った販売場所の選定

冷凍食品のイメージを「身体に悪い食べ物」ではなく、「仕事にプライベートにと忙しい毎日を過ごす女性を支えてくれる頼もしいパートナー」に変えるために、次にレイチェルが目をつけたのが「販売場所」です。

冷凍スムージーの販売場所として一番に思いつくのは、スーパーやコンビニの「冷凍食品コーナー」です。

しかし、スーパーの冷凍食品コーナーに従来の冷凍食品と一緒に並べてしまうと、「ダサくて身体に悪い冷凍食品」というイメージが払拭されません。

それに加え、Daily Harvestのターゲットである「仕事にプライベートにと忙しい毎日を過ごす女性」が冷凍食品の購入をためらう理由の1つに、スーパーで冷凍食品を買っている姿を知人に見られ「家事をサボっている」と思われたくない、というものがありました。

これらの理由から、Daily Harvestでは、従来の冷凍食品販売方法であった店頭購入型ではなく、自宅に商品が届けられる通信販売型を取りました。

その結果、ターゲットである働く女性を中心に支持されるブランドへと成長することに成功したのです。

ブランディング戦略のポイント③ターゲットをワクワクさせるデザイン

Daily Harvestは2016年に、商品パッケージやホームページなどのデザインを新しくしています。

左が発売当時のパッケージデザイン、右が現在のパッケージデザインです。

発売当時のデザインがポップなイメージなのに対し、現在のデザインはクールなイメージがあります。ターゲットである「仕事にプライベートにと忙しい毎日を過ごす女性」には後者のデザインの方が合っています。

このイメージがもたらす差は「余白の広さ」にあります。

昔のデザインは、「新鮮なフルーツを使用」というメッセージを訴求するために、「BERRY BRIGHTENER」という文字、そしてチェリーの写真を全面に立たせており、くどい印象を受けさせます。

新しいデザインでは、文字を最小限に抑え、余白を大きく取ったことで、当初のデザインよりもチェリーの大きさが小さくなっているにも関わらず、果実のフレッシュさを感じられる、洗練されたデザインへと変わりました。

また、30万人ものフォロワーを持つInstagramも、見ている人を飽きさせないデザインになっています。

食品企業のInstagramでよく見かけるのは、食べ物のズーム写真だけを並べているもの。

Daily Harvestでは、「商品を生活に溶け込ませたシーン」を撮影することで、「商品があることでどのようなライフスタイルが送れるか」を表現しています。

Instagramを眺めながら「ランニング前に食べようかな」「プールサイドで食べるのも素敵だな」と考えることができ、商品を食べる瞬間だけではなく、商品選択の際もワクワクできるデザインになっています。

選ばれるブランドになるために

今やスムージ販売会社は世の中に溢れるほど存在しています。

「オーガニック食材を使用したヘルシーなスムージー」という「機能的価値」だけを訴求してもファンは付きません。

企業ビジョンやコンセプトに共感できるか?

自分たちの悩みを理解し、解決してくれるか?

口に入れる瞬間だけでなく、選択・購入している時からワクワクできるか?

生活者は数あるブランドの中から、これらの要素を満たしてくれるブランドを好きになり、ファンになっていいきます。

この意味で、ターゲットに共感されるコンセプトに基づき、彼らの悩みを解決し、ライフスタイルを豊かにしてあげるブランディング戦略を取ったDaily Harvestは、多くのファンを獲得できたと考えられます。


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saho

Food × Marketing

食マーケットで話題のブランドやサービスの人気の理由を、マーケティング・ブランディング理論と絡めて分析。
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コメント4件

Daily Harvest、よく駅の広告で見るので気になってました!こういう風になってるのか~勉強になります!!
確かにニューヨーク行った時、地下鉄でめっちゃ広告見ました!笑勉強になると言って頂け感謝🙏
僕は学生時代にボストンで過ごしました。ボストンと聞いて、おっ!楽しみに読ませていただきます。
ボストン良いところですよね!寒いですが…楽しく読んで頂けたら嬉しいです😆
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