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これからの人付き合いに有効なスキル=「リフレーミング」

自身のマネジメント経験もふと気づけば20年超。その中で僕が最も気をつけてきたことの一つが今回ご紹介する「リフレーミング」です。

元々は僕が新卒だったころに、尊敬する上司から受けたアドバイスがまさにそうだったことに後に気づき、それ以降は自身もその観点を取り入れるようになり今日に至ります(後半部分で当時の実際のエピソードをご紹介しているので、その部分を読んでいただくだけでも良いかもしれません)。

同時に、このリフレーミングという手法は日本でも近年とてもよく聞くようになった「デザイン思考」や「イノベーション創出」といった分野の中でも有効な手法として紹介されています。そちらについても別途、デザイン思考の切り口から書いてみたいと思います。

※リフレーミングの内容については以下にご紹介する記事がとても分かりやすいのでオススメです。
【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例

リフレーミングとは、心理的枠組み(フレーム)によって、人や物事への印象や意味を変化させ、理想に向かえる有効な状態にしていくことを言います。このリフレーミングを学ぶことによって、失敗したとき、悔しさで前に進めないとき、プレッシャーがかかっている時など、行き詰っている状態の認識の枠組みを変え、新たな選択肢を見出すことができます。

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今日、仕事での上司ー部下の関係においては、同じ事象を語るのでも表現によって「モチベーションが上がる」vs「心が折れる」と対極になりうるばかりでなく、それが「ハラスメント」になる場合もあります。

そしてこれは職場の人間関係だけでなく、普段の人付き合いに関しても同様。悪気はなくとも、ちょっとした言葉の表現の違いが大きなすれ違いを生んでしまうことも。

以下に僕が実際に気をつけてきたことを書きます。

【前提】様々な人の価値観に常に接するようにする:これは自身のダンサーとしての活動が大きく寄与していて、レッスンや海外修行などを通じて様々なバックグラウンドや文化、世代の人と話す機会があることは本当に恵まれていると思っています。

【手段】相手の気持ちに立って話す:ただそれだけ。でもこれが本当に難しい。相手の気持ちを傾聴し、慎重かつ迅速に言葉を選ぶ。そのためには周囲の人たちの参考にすべき発言(そこには上下関係は存在しない)に日々、耳を傾けて学ぶ姿勢も必要となってきます。
※注意点:文脈や根拠を無視して単に「ポジティブな事を言えばよい」ではないことに着目(それだけだと「言うのは簡単だけどね」「ちゃんと理解してくれてるの?」という逆の効果にもなりかねない)

行き着くところは「言葉って大事」といういたってシンプルなこと。そして当然ながら言葉は人を救ってくれたり、モチベーションを与えてくれます。

実際、今年のサンフランシスコ/シリコンバレー滞在時に受講したグローバルビジネスマネジメントのCertificateコースや、個人的にビジネスコーチングを受けていた中でも、その土地柄もあってか「挑戦と失敗を是とし、個々の失敗からどれだけの学びとモチベーションを引き出すか」というトピックは本当に頻出でした。

【エピソード】以下、実際の体験談です:僕は大学時代、夜間にダブルスクールでファッションの専門学校に通うほどのアパレル志望でした。ところが新卒で就職したデパートでの最初の仕事の大半は・・「レジ打ち」でした。売り場にこそ立っているものの、販売の回転率をあげるため日々ずっとレジに張り付き。実際に接客をするのは各ブランドから派遣されてきた子たち。

毎日毎日、ひたすらレジ打ちとハウスカードのお勧め。本当にアパレル企業に居る感覚がなく、早期の退職すら考えることもしばしば。その時たまたま館内を巡回していた店長(ショップ単位ではなく全館の店長:つまり相当偉いポジション)に相談したところ、こう言われました。

「君はレジで、値札のバーコードだけを見てるんじゃないの?」

僕は最初「???」でした。すると話を続ける店長。

「視線を上げて、レジ前でスタッフの子がお畳み・お包みをしている商品をちゃんと見なさい」

「各スタッフは自分が販売した商品しかわからないけれど、ずっとレジにいる君は売れた商品の全てを見ているのでは?」

「そこでもしPOSデータでもわからないような傾向を見つけたら、直接本社のバイヤーに連絡しても良い」

「更に言うと、お客様の接客体験の最後が君のレジだ。そこでの僅かな会話が、最終的なお客様の満足を左右するんだよ」

「もしレジに余裕がある時間はベテランスタッフの接客トークに耳を向ければ、そこからも学びがあるはず」

これこそ、まさにリフレーミングでした。僕はこの会話の直後から意識が180度変わり、実際に本社に連絡もし、担当ブランドの全国共通=デパートが個別に変更できない決まりだったディスプレイ(VMD)も、僕の担当店舗のみ例外的に自由に決めて良いという許可まで取り付けました。

最終的には社内公募が出ていたニューヨークでのVMD海外視察に応募し勝ち残り参加〜当時としては最新のディスプレイ技術を日本に持ち帰るという流れにまで到りました(当時の日本としては特異だった各種のディスプレイは、担当店舗の売上を一気に引き上げてくれました:その一例として今では当たり前の「天井から吊るす」ディスプレイを、大規模企業で最初に行なったのは自分なのではという自負があります)

【後日談】リフレーミングと同時に必要な「共感」:ちなみにその店長は、ご自身の過去のエピソードも教えてくれました。店長は新入社員当時は倉庫勤務で、返品されてきた商品を箱詰めして各メーカーに送るのが仕事だったそう。「自分も君と同じ気持ちだったんだよ」と。

その時にふと気づいたのが「返品されてくる商品には必ず共通点がある」ということだったのだそうです。その気づきでモチベーションを得て、僕へのアドバイスと同等にバイヤーや商品開発部に掛け合い、本社へ異動となった際にはバイヤー/マーチャンダイザーとして手腕を発揮。僕が居た館の店長を経て後には子会社の社長や本社の役員を務められていました。

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リフレーミングのスキルは元来、自分の意識の持ち方についてのもの。店長の場合は自身の課題を自ら解決していました。そしてそれはマネジメントの分野にも応用できると同時に、ここでの僕の例のように「リフレーミングが出来た人/リフレーミングを受けた人はその経験を人に語り伝え、実践できるようになる=伝播していく」んです。

こうした経緯から、自分も26歳で管理職になって以降(マネジャーとしてのキャリアのスタートが早かったのはその当時の勤め先がベンチャー企業だったからというのもありますが)今日に至るまで、常にその時の店長の言葉を意識しています。

今回はマネジメントという視点で本記事を書かせていただきましたが、是非みなさんも、仕事のみならず日常生活においてもこの手法を試してみていただけたらと思います。

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