見出し画像

2019/02/28 SheBelievesカップ第1節 アメリカ女子代表 2-2 なでしこジャパン

スターティングメンバー

アリッサ・ナアー
ケリー・オハラ、アビー・ダルケンパー、ティアナ・デイビッドソン、クリスタル・ダン
マロリー・プー、ジュリー・アーツ、ローズ・ラベル
トビン・ヒース、アレックス・モーガン、ミーガン・ラピノー

山根恵里奈
清水梨紗、熊谷紗希、鮫島彩、有吉佐織
中島依美、松原有沙、杉田妃和、長谷川唯
小林里歌子、横山久美

アメリカのキックオフと日本のハイプレッシング

前半はアメリカのキックオフで始まり、アメリカはロングフィードを前線に送るのではなく、パスによって右サイドから前進をした。これはアメリカのゲームモデル(少なくともゲームプラン)を示している。一方、日本は高い位置からプレッシングをかけた。

アメリカのボール保持時の陣形は4-3-3であるが、右DFのオハラが低い位置を取り、左MFのラヴェールがアーツの脇に落ち、ラピノーが内側でプレーすることが多かった。アメリカが噛み合わせを外すために3-2によるビルドアップを行ったのか選手の特徴を生かすためにあの形に収まったのかはわからない。

日本のボール非保持時の陣形は4-4-2であり、アタッキングサードもしくはミドルサード前目からプレッシングを行った。1列目の役割は中盤へのパスラインを制限しながらCBに寄せることである。そしてサイドに追い込んで囲み、ボールを奪おうとした。

プレッシング耐性とアメリカの先制点

日本が4-4-2でプレッシングを行う際に問題となったのは相手の中盤の底である。2FWで2CB+DMFを抑えるのは難しく、ハイプレッシングであれば通常中盤の1人が前に出て数的同数で抑える。しかし松原と杉田は積極的に前に出ることができず、フリーで前を向かれてしまうことが多かった。

さらにアーツはそれほど技術的な選手というわけではないが、ビルドアップ時のポジショニングやプレッシング耐性にも優れる。雑に言えばマンチェスター・シティのフェルナンジーニョか。アメリカはビルドアップで上手く配置をずらしながらフリーな選手を作り出す構造を持っていた。

アメリカの先制点は、4-3-3で4-4-2に対して攻撃する理想形と言える。CB間のパス交換からアーツがFW-MFライン間でフリーでボールを受け、パフがLWG-CMF間でフリーでボールを受け、ヒースが有吉を突破してマイナスのクロスを上げ、ラピノーがゴールを決めた。ハーフスペース、噛み合わないところをうまく付いた得点である。

日本のボール保持

アメリカが右サイドから多く攻撃したのに対して、日本は逆サイドから多く攻撃した。正確に言えば、日本がボールを奪ってからカウンタープレッシングを回避して右サイドに展開できた時が良いチャンスになっていた。

立ち上がりアメリカのプレッシングの勢いが収まり、日本が少し落ち着いてボールを保持できるようになると、左サイドの長谷川がミドルサードでビルドアップの出口となった。なかなかアタッキングサードにボールを前進できない中、横山のライン間でボールを受ける動きなどから展開できる場面が見られてくる。その後長谷川と中島がポジションを入れ替えると、CKからの流れで右ハーフスペースを突破した横山のバー直撃のシュートにも繋がった。

後半

右DFケリー・オハラに代わってエミリー・ソネットが投入され、アーツがDFラインに落ちてアメリカは5-3-2で後半を開始した。しかし日本は中盤2枚のプレッシングを回避してオープンスペースで仕掛けられるようになったので、すぐに4-3-3に戻した。

日本は相手の中盤の底に対して中盤の一方が前に出て守備をするようになり、プレッシングが機能するようになる。

日本は小林里歌子に代えてFW池尻茉由、DF有吉佐織に代えてDF大賀理紗子を投入する。

日本の同点弾は、清水のスローインからダイレクトパスでプレッシング回避(集団的プレッシング耐性)し、左ハーフスペースの長谷川から逆サイドの中島へのサイドチェンジから生まれた。

そこから日本はSBが積極性を見せ、ハーフスペースと大外から迫るようになり、カウンタープレッシングの勢いも増す。

マロリー・パフに代わってクリステン・プレスが投入され右WGに入り、トビン・ヒースがインサイドMFに入る。プレスはスピードを活かしてすぐに勝ち越し弾をアシスト、モーガンがニアサイドに走り込み胸で流し込んだ。

横山に代わって籾木結花が投入され、右MFに入る。中島に代わって遠藤純が投入され、左MFに入る。アレックス・モーガンに代わってカーリー・ロイドが投入される。

副審の負傷による試合中断の後、前線にポジションを移した長谷川が左サイドからボールを受け、ファーストタッチでDFラインを置き去りにし、GKとの2対1を籾木が得点し、再び同点に追いついた。

ここから先は

0字

¥ 100

#フットボール統計学