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ポゼッショントレーニングの工夫

今回紹介するのは3チームに分けてのボールポゼッショントレーニングです。「そんな練習すでにチームでやっているよ!」と言う方もいるかと思いますが、では、どういうルールで取り組んでいるでしょうか?
ロンド(鳥かご)などもそうですが、ルール自体はシンプルなものですが、そのルールに制限を付けることでいま選手に必要なスキルを効果的に引き出させることができるのです。

例えば上の図の場合は3チームに分けて2チームがOF、1チームがDFを行なっています。ボールを奪われたチームはすぐにDFに変わるため攻守の切り替えの意識が高まります。

私はここにこのようなルール付けをしていきます。まずは「フリータッチ」でボールを回していきます。これはあくまでウォーミングアップの段階。
次にパス回しを「ダイレクト」に変更します。受け手の距離感やマークの外し方なども重要になってきます。パスの質がより求められます。
最後は「必ず2タッチ」にします。どんな状況でも攻撃側はトラップしてからボールを捌かないといけません。

上記3つのルールの場合はどれが1番難しいと思いますか?
一見、ダイレクトのプレーが1番難しそうですよね?
もちろん、小学生低学年だとミスキックが多くなる為、ダイレクトでプレーするとボールを失うことは増えますが、そこはこのトレーニングでは追求しません。もちろん、ミスは少ない方がいいですが...。
ある程度、パスが出せる年代になってくると実は「必ず2タッチ」のルールが難しいことに気付きます。OF側からするとトラップが出来るようになった為、ダイレクトよりも楽に回せるようになるかというとそんなことはありません。実際やってみるとボールを奪われる場面が目立ちます。

実はこの「必ず」というのがポイントです。ディフェンス側からすると必ずトラップをすると分かっているのでプレスを掛けるタイミングが出来るのです。トレーニングというのは合わせ鏡のようなもの。OFに対してのルール付けですが、視点を変えるとDF側のヒントが隠されています。DFのボールの奪いどころを理解するという裏テーマが含まれていました。
そうなると、パスの受け手はプレッシャーを受けないためにもボールを動かしながらトラップするという動きが必要になってきます。フットサルではこのスキルはかなり重宝します。

そして、ポゼッショントレーニングの際に大事なのはリズムを変えられるかということ。ダイレクト、2タッチはもちろん、少しドリブルを入れてみるなどボール回しに変化を加えることでDFからすると奪いにくくなるのです。こういった意識をトレーニングから行なっていかないと、いざ試合になったときにボールを回すだけでDFを崩しきれずにシュートチャンスが作れないことが出てきます。これらを理解させた上で最初に行なったフリータッチのルールに戻してみると初めのときとは明らかに動きが違う選手が出てくるはずです。

サッカーでも、フットサルでもロンドをウォーミングアップで行なっているチームは多いですが、ただ何となくさせるのは勿体無いです。私はロンドは頭のウォーミングアップと考え、如何にして選手の脳に汗をかかせられるか?ということを意識しています。シンプルな練習こそ指導者としての技量が見られるものだと思います。今回、紹介したルールだけでなく、色々な変化を付けて行うことが大切です。スペインやブラジルでは遊びの要素を入れながらも実践的なロンドが多かったです。

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