海です。
圧倒的に海です。
はてさて。確か今頃伊勢神宮を参拝しているつもりだったのに、どうしてここにいるのでしょう。

時を遡ること1時間。
のどかな列車で、リネン系のさわやかなクリーム色のシャツを羽織った一人旅中らしき女の子が隣に座った。
ふわりと、香りがした。好きな香りだ。
甘い香りにやられ、気づくと爆睡していｔ・・・・・。

思ひつつ　寝ればや人の　三重つらむ　夢と知りせば　覚めざらましを

途中でイエロー女子が降りるのが、仄かな香りが消えたことで感覚で分かった。あぁ、ここで降りるのかぁ...去り際を目線で追っていると、
ほんの数秒目が合った。
電車出て目が合うのは、友人かマッチングした女の子を見送る時くらいだ。もはや脈がなかったら見てもくれない。
そんなことを刹那考えながら、また深い眠りに落ちていった。

そう、オレは伊勢神宮で降りるべき駅を寝過ごしたのだ。

そう、イエローちゃんが降りた駅こそ、伊勢神宮に向かう駅だったのだ。

冒頭に戻ル

今着いたのは鳥羽駅。真珠とイルカの街だ。

とりあえず無料で入れる、伊良子ちゃんちにお邪魔した。

おっちゃんのトンボの話が蘇った。よし、前進あるのみ。三重に来たのに、伊勢神宮をスルーするバカはオレくらいだろう。よし、スペインっぽいと言われる志摩に泊まろう！

しかし、志摩についた時に事件は起きた。

泊まる宿が一つもないのだ。(みんな予想できるオチ)

ワンチャンにかけて、少し過疎地域の民宿に電話をしてもどこもいっぱいなのだ。

ホテルサイトを漁るも、残ってたのはオレの大嫌いな喫煙ルームと、ここだけだった。

いや、貴族の家か！！
もはや、ボーナスほとんど飛んでってまう。
結局名古屋のアパ○テルに泊まることになった。

すまんじいちゃん。めちゃくちゃUターン、名古屋に出戻りすることにした。合戦大敗である。

名古屋に戻る電車で、四日市に着いた時には、もう夜だった。名古屋に戻る前に、せめて日本三大工場夜景の四日市を見に行こうじゃないか。

しかし、鑑賞ポイントはどこも車がないと行けなそうだ。
とりあえず当てもなく、港の方まで歩いた。

周りはオレ1人。多分ここじゃないんだろうけど、仄かな光を放つ工場夜景をしばらく見ていた。

潮風が気持ちよかった。
オレにはこれくらいの光が、等身大で、ちょうどいいのかもしれない。

いや、アラサーよ。このまま終わっていいのか？

どんなに歩くとしても、お前はピカピカの光を見るべき人間じゃないのか？

奮い立ったように、歩いた。ただ、歩きまくった。

しばらく歩くと、全容を表してきた。

いや、これ、

プペルやん。

西○さんも大喜びの夜景だ。

さらに歩いた。

とにかく歩いた。

おお....
感嘆の声が漏れた。
思いがけず最高の穴場を見つけてしまった。
100万ドルの夜景をオレが独り占めしているのだ。

めちゃくちゃ歩いたから、塩ラーメンがめちゃくちゃ沁みた。

ここも、オレたった1人である。結局一駅分歩いてしまったようだ。こういう夜景巡りも悪くなかったな。

そして、名古屋でオレは地獄を見ることになる。

後半へつづく。