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独身アラサー静岡の結婚式前乗り編~酒飲めないのに、一人でディープな静岡おでん屋街に入ってみた~

「静岡で結婚式挙げるから来てね!海がめっちゃきれいな式場だよ」

二週間前、大学のゼミ仲間「Nちゃん」の結婚式に行った。

これで、6人中4人が結婚かぁ。結婚式のたびに、「次は俺の番だ!」と意気込みつつも、実際は難しいものだ。せっかく静岡に行くので、前日に行き満喫することにした。

1 海沿いサイクリング

静岡駅に降り立った瞬間、思った。
「静岡めっちゃ都会やん。そして、あったかい!」
思い立った。海沿いをサイクリングしよう!電動チャリを借り、すぐさま海を目指して走り出した。

海沿いはイチゴ農家がたくさんあった。海に赤が映える。
久能山東照宮(家康の聖地)からの海
慶野松原。後ろにある富士山が美しかった。




2 ディープな静岡おでん街



静岡が実家のテニス仲間に、「黒おでん」だけは食べて!と言われていたので、静岡の中でも有名なおでん横丁にチャレンジしてみた。どこもほぼ満杯で、1人だと入りづらい空気があった。
ただ、1軒だけ、店内におじちゃん2人組しかいないおでん屋があった。

(なんでここだけ、空いているんだろう・・・?)

疑念はありつつも、ここを逃したら多分入らないだろうと思い、思い切って、引き戸を開けた。

「すいません!1人入れますか。静岡おでん食べたくて」

2秒くらい沈黙があったが、「そこ座って」と促された。

静岡おでん食べに来たんですけど、おすすめありますか?

「じゃあ、私が適当に盛り付けるわ。・・・んで何飲む?」

オレは、めちゃくちゃ酒に弱いので、明日の結婚式に響かないよう、ノンアルがあるか聞く。
「なんだ、あんた飲めないのね!ウーロン茶ならあるわよ」

静岡おでんは色の黒い出し汁で煮込み、前の魚の出汁粉をかけて食べる。


酒を飲まない人間にとっては、静岡おでんは絶対アレに合うと確信した。


「あのー、ごはんってありますか?」

「・・・・ごはん?」

「はい、白米です。」

「あるわけないじゃないの!ここは飲み屋よ!」
間髪入れずに怒られた。


隣のおじちゃん二人も大爆笑。
「おでんに、ごはん合うよなあwww」

ちょっと恥ずかしくなった。淡路島でごはん出してくれたあの居酒屋店主は、神様だったのか。

そこから、2人のおじちゃんとも話すようになった。2人は26年の親友だと聞いた。某大手会社で、静岡の部署で一緒になり意気投合したという。話に花を咲かせていると、

「すいません、空いてますかー?」

俺が受け付けない人種の、パリピ系の男2人が引き戸を開けた。

(うわー。この人たち来るなら帰ろうかな。」と陰キャの考えを巡らせていると、

「予約です。」とバッサリ。

だから、ずっと奥の3つの席は空席だったのか。


その5分後、
旅行に来ました!系の男女カップルが訪ねてきた。

(カップルは二人の世界に浸るだろうから無害だ。)と思ってたら、

「空いてないです。」


その15分後
おじちゃん3人組が入ってきた。
「3人入れますか。」

「空いてない!」

3人組「え?空いてないの?」
怪訝そうに、指をさして訪ねてきたが、「空いてない」の一点張りで相手にもしてなかった。

3人組が帰った後、沈黙を破るようにおじちゃん2人が、「そこ予約席なんですね」と尋ねると、
「別に予約席じゃないわよ」とさらっと言った。

オレあと10分くらいで出ますよ。お酒飲むわけじゃないし。
もし、気を遣っているならと思い申し出ると、

「いいのよ、私、若い人うるさいから嫌いだし、3人組も入れないことにしてるのよ。昔、うるさいから、別の居酒屋行けって追い出したわ。」


(ん・・・?オレも、アラサーとはいえ、まだ30だぞ。若くないのだろうか?笑)
「え、オレはどうですか?笑」

あんたは、別よ。
なんか大丈夫そうじゃない。全然飲めないけど。

飲めないのをまたいじられたが、ちょっと嬉しくなった。

おじちゃん「実は、お兄さんが来る前に、何組か来てたんですけど、全部予約って言って断ってたんですよ。つまり、われわれは、選ばれたお客さんなんですよ。じゃあ、この出会いに乾杯」

一番好きな玉子。出汁で中も黒かった。牛すじもうまい。見栄えすいません。


そこから、おでん屋のおばちゃんの嫌いな客トークになった。

「私、大阪の人間嫌いだから、お断り。威圧するような言い方が気に食わない。」

「京都の人間も嫌いなのよ。昔京都からはるばる来た夫婦がいたんだけど、奥さんの方に「もっと薄味のおでんにできませんか?」と言われたから、「静岡のおでんを知らないの?」って言って、すぐに皿を下げてやったわ。」

「マスコミは基本お断りよ。だって、テレビに映ると、味もよく分からんちゃらんぽらんなやつがくるじゃない。私は、どうでもいいやつにご飯を食べさせるより、長くきてくれる人に美味しいって言って食べてもらえる方がいいの!」

「あんたどう見ても独身じゃない!」
「なんであなた彼女できないのよ。いい人すぎるのかしら。いや、なんかあるわね。」
「結婚式?じゃあまず髪型をびしっと決めなさい。その髪じゃ駄目ね。第一印象は髪よ。そこでいい女の子をゲットするのよ。」

気づけば、俺にも飛び火してきたが、その発言もすがすがしかった。

おじちゃん二人も恋愛トークに乗っかり、自身の恋愛談を話してくれた。

片方のおじちゃんは離婚後、50歳でマッチングアプリを始めたが、一人の女の子に貢ぎまくったという壮絶な人生を語り始めた。今は、いい感じの女の子がいるらしい。

オレも、「マッチングアプリで3回デートした女の子がいるんだけど、4回目が実現しないんですよ」と話したら、

「なんで、3回目で告白しないのよ!」
「動物園に行ったの?あんた動物園はダメよ!!!」とすかさず、ダメだしされた。結局動物園がダメな理由が聞けずじまいだったな。

気づけば、酒に弱いオレも、「一杯だけいいすか?」と言い、それならじゃあと、おじちゃん二人にグラス一杯のビールをもらった。

あと2皿くらい盛ってもらった。見栄えす(以下省略)

二度目の乾杯後、おじちゃんAから、「あれ、誰だっけ。アラサーさん。あの芸能人に似てますね。・・・・ああそうだ!星野源!!!」

その瞬間、俺の全身の毛が泡立った。

「マジっすか!wwww」


今日一の声がでた。
オレそれウリにしてるんですよ。でも、最近それ言ったら全然似てないって怒られて!

これからは、星野源と名乗ってもよさそうだ。


途中から、なぜかおばちゃんが俺を哀れに思ったのか、
「私なんて、男と25年何もないのよ。大丈夫よ。良かったわね。私がいて。」
という、の謎のフォローをされた。

「一度、お部屋に連れてかれそうになったのよ。部屋でお茶しない?って。うちには水しかありません。って言って帰ってもらったわ。そこで入っちゃったら、今度お客さんとして迎えられないじゃない。」

おでん屋のおばちゃんは、芯の強い、仕事へのプロ意識が高い女性だったのだ。

「さあさ、そろそろ勘定するわよ。」
明日結婚式だからか、夜21時をまわったところで、皿の片付けを始めた。
そして、帰り際こう言われた。

「お酒は少しずつ飲めるようにしなさい。お酒飲めれば、チャンスを掴める可能性上がるわ。」「私人を見る目があるのよ。あんたなら大丈夫だと直感で思った。ちゃんと会話できないと、私が楽しくないし、常連さんも嫌な気分になるじゃない。」

なんか、心にしみた。

そして、店を出るときにこう言われた。

「この一期一会を大切にするのよ。またいらっしゃい。ありがとね。」


おじちゃん二人は、これから昔行ったショーパブに行くと言っていた。
ほろ酔いのオレも、ついていこうとしたが、

「会えてよかったです。また、いつかあのおでん屋で会いましょう。」と固い握手を交わし、「じゃあここで」とバイバイされた。

有無を言わせぬさりげない帰宅へのエスコート。初対面で、ずけずけ行こうとした自分がちょっと恥ずかしかった。が、せっかくのおばちゃんの気遣いも無下にはできないし、そのおじちゃんたちのさりげない優しさに感謝の気持ちだった。

さあ、あしたはNちゃんの結婚式だ。万全の準備をして臨もう。俺は星野源だ。

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