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鳥の話をさせてください

キジ(雉)という鳥がいます。
みなさんは、どんなイメージを持っていますか?
「たしか、桃太郎に登場した鳥がキジだったな」と思う人が大半かもしれません。あるいは、姿さえ思い出せない人もいることでしょう。
実は、キジは日本の国鳥です。
日本固有種であり、古来より日本人との関わりが深く、食材として重宝されたり、和歌やことわざに登場したりします。芭蕉もキジを詠みました。「頭隠して尻隠さず」ということわざはキジのことを言っています。
しかし、野生のキジを見たことがある人は少ないはずです。
私もその一人でした。実家の居間にキジの剥製が飾ってありますが、こんなのがそのへんをウロチョロする姿など、まったく想像できませんでした。ド田舎ですが、一度も見たことがありません。しかし、とうとう邂逅するときが来たのでした……。

小学3年生の娘が日本野鳥の会に入会したことをきっかけに、バードウォッチングに駆り出されることが増えたのですが、先日は鬼怒川の河川敷に行ってきました。

大きい鳥はカラス、小さい鳥はスズメにしか見えなかった私も、だんだん目が肥えてきたものです。ヒヨドリ、ホオジロ、ツグミ、ムクドリ、イカル、モズ、セグロセキレイ、ジョウビタキ……。ジョウビタキは自宅にもよく飛んできて、頭が青っぽく、お腹がオレンジ色で派手なので、個人的に好きな鳥です。

ジョウビタキ。鬼怒川の河川敷にて。

結局、2時間くらい探索して23種ほどの鳥を発見し、夕方なのでそろそろ帰ろうと車に向かって歩いていたときでした。
河川敷の折り重なった枯れ草の上に、圧倒的な存在感を放つ鳥がいました。存在感というよりは「異物感」と言ったほうがいいかもしれません。マンガみたいな目をした鳥が、ちょんと佇んでいるのです。

思わず二度見する存在感。これが町中にいたら、絶対見るでしょ。
黄色い◯の中に黒い●。漫画みたいない目。

実家のキジの剥製がそのまんま置いてあるかのような佇まいです。勝手に日本の鳥は黒か茶色で地味という先入観を持っていましたが、堂々たる姿です。美しい。
「キ、キジ……!」
娘に思わず叫んだのでた。その姿から頭に浮かんだのは世界三代珍獣の1つ、オカピでした。

Wikipediaより。
キジとオカピの似ているところ、わかりますでしょうか。
下半身はシマウマみたい。

とはいっても、キジは草むらとか、そこらへんにいて、珍しい鳥ではないとのこと。ただ、隠れていることが多いらしいので、そういう意味で、野生のキジを見たのは貴重な体験でした。

ウロコみたいな羽も美しい。鳳凰の羽のよう。「国鳥」というのもうなづけます。

このあと、キジはウンコをしました。ウンコをしに、草むらから出てきたのでしょう。そして、すぐに草むらの中に隠れたのでした。
40年以上生きてきて、鳥に関心を持つとは思いませんでした。

フォレスト出版は飯田橋にあるのですが、屋外にある非常階段の踊り場にある喫煙所で隣のビルの屋上を見たり、空を見上げると、カラスやスズメ以外の鳥がいることに気づきます。都会でも、こんなに種類がいるんだと驚きます。

幸運を呼ぶ鳥ともいわれるセグロセキレイ。会社の喫煙所で撮影。

普段垂れている頭を持ち上げて空を見上げると、いろんな発見がありますよ。

編集部 ( い し   黒  )

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