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相手を意のままに動かす心理誘導トリック3選

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先週は交渉事で勝つための鉄板テクニック3選をご紹介しました。

今日は、「相手を意のままに動かす心理誘導トリック3選」をご紹介したいと思います。

数字であざむく「○○にたとえると」

 数字は明快でウソをつかない──。数字は正確──。数字は客観的──。
 こんなイメージがあるので、数字を使うと話に説得力が増すことはよく知られています。
 栄養ドリンクの効き目を強調するために、グラムの単位をミリグラムに置き換え、「タウリン1000ミリグラム配合!」と謳うCMはすっかりおなじみです。
「食物繊維3・2グラム配合!」ではピンときませんが、「レタス10個分の食物繊維!」といえば野菜の健康的なイメージで訴求力が増します。
「中国の人口は13億7000万人」というより、「世界人口の約2割」といえばインパクトが増します。
「失敗の確率は10%しかないです」というより、「成功率90%以上確実です」というほうが説得力が高まります。
「1日たった28円で一生分の健康が買えると思えば安いものです」といって、3万円の浄水器を36か月(3年)の分割払いで売り込むトークがお買い得感を誘います。
「利益率が1%から2%に上がりました」というより、「利益が2倍に増えました」のほうが注目を集めます。
「日本人の100人に1人の方にご愛用いただきました!」というより、「愛用者1200万人突破!」のほうが、爆発的に売れている印象になります。
 何かをアピールする時には、影響力をもたらす単位に置き換えたり、数字を効果的に見せるちょっとした「言い回しの工夫」が欠かせないのです。

この「数字の効果」は書籍のタイトルや帯のキャッチコピーでも、いつも編集者が頭をひねるポイントでもあります。

フォレスト出版から出た過去のヒット作に神田昌典の『あなたの会社が90日で儲かる!』という本があります。

『あなたの会社が90日で儲かる!』

これがたとえば――

『あなたの会社が3ヶ月で儲かる!』

――だと、インパクトが薄れますよね。

A案『たった1週間でみるみる痩せる○○ダイエット』
B案『たった7日間でみるみる痩せる○○ダイエット』

どちらのほうが早く痩せそうでしょうか?

おそらく「B案」と感じる方が多いのではないでしょうか。

「人望」を獲得する激励「○○しすぎないように」

 人を励ます時の言葉は、「頑張れ!」とか「頑張ってね!」がふつうです。しかし、すでに猛烈に頑張ってはたらき、疲れている時に、さらに「頑張ってね!」などと声かけされると、かえって白けることも少なくないでしょう。
 もはや、これだけ頑張っているのに、どう「頑張れ!」というのか、そう思うならば、「少しはお前も手伝ってくれたらどうなんだ!」と愚痴のひとつもこぼしたくなるかもしれません。
「頑張れ!」と「頑張ってね!」の声かけしか知らないと、誤解を生みかねないのです。人の「頑張り」を見て、無責任にもまだ頑張りが足りない──などと上から目線の言葉をかけた──と思われたのでは印象が悪いわけです。
 ならば、「頑張ってるね!」「やってるね!」と、現状の「頑張り」を認めてあげたほうが、まだ救いがあるのです。「いつも頑張ってるね!」「すごい頑張りだね!」というほめにもつながっています。こちらのほうが、「頑張れ!」とか「頑張ってね!」の命令がかった激励よりも、はるかに温かみを感じさせられます。
 また、さらに優しさを加えたいなら、「頑張りすぎるなよ!」「無理するなよ!」の声かけのほうが人情味を醸すことにもつながります。すでに十分、現状の「頑張り」を認めたうえで健康上の気遣いまで感じさせるので、人の「承認欲求」をも満たすでしょう。
 いちおう禁止型なので、さらなる頑張りを期待する導火線にもなるのです。
 人は「見るな!」といわれれば「見たく」なり、「行くな!」といわれれば「行きたく」なります。行動を制御され、自由を奪われることに、無意識に反発を覚えるのが人間だからです。「頑張りすぎるなよ!」といわれると嬉しくなって、もっと頑張るかもしれないわけです。
 時々状況をよく見計らったうえで、特定の人に「頑張りすぎるなよ!」とか「無理すなよ」と声かけすることは、真に頑張っている人には「感動」すら覚えさせるのです。
 ここぞという時に使えば、あなたの人望を高めるチャンスにもなるでしょう。

「頑張りすぎるなよ!」と激励しながら、さらに頑張らせるという鬼のやさしさ。部下のやる気を引き出すのに使えそうです。

いつも相手から親切なサービスを受ける「いつも○○だね」

 人から親切にしてもらったり、サービスをよくしてもらうためには、こちら側も相手に親切に振る舞い、サービスを心がけることを忘れてはなりません。
 人は、親切にされると親切を返したくなるからで、「返報性の原理」と呼ばれる心理作用が働くからです。モノをもらうと何かお返しをしたくなる心理は誰にでもあるでしょう。
 しかし、いつでも誰にでも無差別に親切にしていたら、相手から舐められてしまう──ということも起こりえます。ほどほどが大事なのです。
 むしろ言葉による「親切」で、相手の「返報性」を刺激しておくことをおすすめします。

先方「高いな、この値段。うちへの見積書、値切られると思って1〜2割高くしてない?」
当方「め、滅相もないことです。うちはきちんと原価から積算して、適正なコストを……」
先方「いいのいいの、そういう建前は。とにかくさ、これじゃ高くて発注できないよ」
当方「先ほども申しました通り、これが限界値なのです。ご注文が無理でしたら結構です」
先方「え? あ、そう? いやいや冗談です。いいですよ、じゃこの価格でいきましょう」
当方「ありがとうございます。高田さんはいつもご親切でご理解も早く、大変助かります

 このように、交渉の場で、駆け引きの結果こちらの条件がすんなり通ったら、すかさず相手にこの事実のクサビをさり気なく打ち込んでおくことです。

「いつもご親切で、ご決断も早く、大変助かります」
「素早いご判断に感謝いたします」


 特段変わったところのない挨拶言葉ですが、面談でも、電話でも、会話の中にこうした謝辞を繰り返し述べる習慣を持つと不思議なことが起こるのです。
 相手の物わかりがよくなり、決断が早く、親切にしてくれるようにもなるからです。
「ラべリング効果」と呼ばれますが、相手にいつも「よいレッテル」を貼り続けていると、人は無意識にその通りの行動を取るようになるのです。

「きみは仕事が早いね」
「きみは服装のセンスがいいね」
「きみの料理はいつもうまいね」


 いつのまにか暗示誘導された相手は、「返報性の原理」から、利得をもたらしてくれます。

なるほど。相手に心地よいラベリングを無意識下に貼って、こちらの意のままに操る。「人たらし」と言われる人がいかにもやっていそうなテクニックです。

相手を手玉に取って従わせる「でも、無理ですよね?」

 どんな人でも、自分の得意とする分野、好きな分野というのがあるものです。
 そういう話題を振られると、つい饒舌になります。
 人たらしの人は、相手の得意分野や好きな事柄を共通の話題とし、聞き上手に徹して持ち上げ、好感度を上げていきます。そして相手を巧妙に従わせてしまうのです。

同僚A「鈴木さんは、パソコンお詳しいですね。かなり昔からなんですか?」
同僚B「学生時代からソフトをいじって、パソコン教室で講師のバイトをやってたんです」
同僚A「あ、なーるほどー、道理でお詳しいわけで……。教え方も上手ですしね」
同僚B「いやいや、それほどじゃあ、ありませんけどね……(嬉)」
同僚A「鈴木さんなら、パソコンの反応がおかしくなっても、慌てることもないでしょ?」
同僚B「まあ、大体どこがおかしくなったか、すぐに見当はつきますからね」
同僚A「でも、素人がいじくり回して、相当変になったパソコンだと無理ですよね?」
同僚B「そんなことはないです。そういうのでも一晩あれば、たいてい正常に戻せますよ」
同僚A「さすが頼もしいですねえ。じゃ、私のパソコンも一晩で直るのかな……?
同僚B「え? 調子悪いんすか? じゃ持ってきてくださいよ。明日までにやりますから」

 こんな具合に、面倒な頼み事も引き受けてくれるでしょう。相手の才能をほめたたえたうえで「でも、これは無理ですよね?」と切り出すと意地でもやって見せてくれるのです。

 職場で生意気な人物を懲らしめてやりたい──という時にも使えます。
 生意気な人間ほど、自尊心が高いので、「ほめて・けなす」とすぐに反発するからです。
 実績を鼻にかけている部下には、「いくら営業成績ナンバーワンのきみでも、財閥系の菱友産業に取引口座を開かせるのは無理だよね?」といって、むずかしい新規開拓をけしかけたり、「いくら酒豪のきみでも、このマオタイ酒のグラス一気飲みは無理だよね?」と持ちかけて、「いえ、そんなことはありません」といわせ潰してしまうのです。

「いくら○○のキミでも、○○は無理だよね?」

「さすがにそれは無理です」と返されてしまったらおしまいですが、相手を意のままに動かす技法として試してみる価値はありそうです。

というわけで「相手を意のままに動かす心理誘導トリック3選」でした。

こうした心理テクニックを計101本まとめたのが『あなたの「影響力」が武器となる101の心理テクニック』(神岡真司・著)です。

それでは、また。





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