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採用面接で陥りやすい3つの落とし穴

フォレスト出版編集部の寺崎です。

ここ3年ほど、わが編集部では人材の入れ替わりがあり、採用面談の機会がとても増えました。

そのときにいつも思うのは「この短時間の面接でどこまでその人のことが把握できるか」という問題です。

そんなときに役立つのが凄腕ヘッドハンターの小野壮彦さんが書かれたベストセラー『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』です。

今日は面談の際に陥りがちな3つの落とし穴についてご紹介します。それはずばり「モチベーション」「カルチャーフィット」「性格」の3つです。

「モチベーション」を確認する不毛

 ダメな面接の典型的なパターンとして、「志望動機を聞く」というのがある。本来は〝なぜこの会社に入りたいか?〟という理由を聞く質問であるが、多くの場合〝どれくらいこの会社に入りたいか?〟という熱量を確認する儀式になっている。
 熱量について聞いたところで、「私はやる気にあふれております」「御社のことは前々からすごく気になっていて」「これはもう天性の仕事。人生をかけてやりたいと思っております」などといくらでも偽装できるし、雇う側の会社からしてみれば「オファーを出したら当然君は受けるよね」と念を押しているに過ぎない。
 本来のマッチングという意味合いからすると、全く無駄な行為である。
 はっきり言って、モチベーションなどあって当たり前だ。あったところで必要な能力がなければ会社のお荷物になるだけ。大事なのは、会社が求める能力を備えているかどうか。ポテンシャルの問題である。
 だから、「志望動機=モチベーション」について面接で問うのはナンセンスだ。もし、どうしても聞きたいのであれば、「あなたはどんな人生を送りたいと考えていますか?」という質問をすることだ。その答えと、自社で働くことに連関があれば、それで十分なはずである。
 ぼくはベンチャーキャピタルで仕事をしているが、スタートアップの経営者に「どんな人を採用したいか?」と聞くことがある。しかし、残念ながらいまだ多いのは「やる気のある人」という答えで、具体的に「こういう能力を持つ人材です」と明確に答える人はまだまだ少ない。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』より

「志望動機をお聞かせください」ってやつ、ついやりがちですが、これは典型的なダメな質問とのことです。

どうしても聞きたいなら「おまえはどんな人生を送りたいと考えている?」という質問に対する答えを引き出し、それがその会社の仕事、働き方にマッチしてるかどうかを計るべし。

「カルチャーフィット」という大いなる誤解

 これもモチベーションと同様、非常に曖昧なもので、「我が社のカルチャー(文化)に合う人を選ぶ」と言っている会社ほど、実はカルチャーについてわかっていないことが多い。
「御社のカルチャーは何か」と聞くと、たいがい「弊社のカルチャーは誰とでもフランクに話ができるところです」などと答えるのだが、これは企業カルチャーの表面的な話である。仲良しグループならそれでもいいが、会社とは社員ひとりひとりが能力を発揮し、売上を上げる場所であるはずだ。
 そもそも企業カルチャーというのは、結果的に自然と生まれてくるものであって、変化し続けるはずだ。だとしたらそれは、あまり物差しにはならないはずである。
 しかし、絶対的な指標となりうる、会社のカルチャーの物差しはある。
 それは二つしかない。

 会社の「評価システム」「権限委譲システム」だ。
 
「評価システム」は、簡単に言えば〝よしとする姿〞と〝給料の払い方〞である。
 チームワークが得意で自己犠牲ができる人をより評価するのか、個人としての結果や業績貢献が高い人をより評価するのか。固定給が大きくてボーナスではあまり差が出ないのか、それとも成果を出した人はものすごくボーナスをもらえるのか……。
 それらの評価のシステムがどうデザインされているかは、企業カルチャーに色濃く反映される。
 一方、「権限委譲システム」とは、〝ものの決め方のスタイル〞だ。
 権限委譲の程度があまり高くないと、中央集権的な意思決定の色が濃くなる。そうすると、スピードは上がるが、多面的な検証はおざなりになりやすい。
 移譲がかなりなされているスタイルだと、逆に多面的な意見のもと、是非を検討することができるが、スピードは遅くなりやすい。
 スタイルによって、どのような人がフィットするかは変わってくるので、どういうスタイルの会社にその人が適しているかを見極められれば、フィットを確認することにつながるだろう。
 親しみやすいとか、ビールが好きとか、そういった表面的なカルチャー議論とは、全く次元が違う話なのである。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』より

「よしとする姿」という表現はとてもイメージしやすい。

フォレスト出版も人材がこれまで入れ替わるたびにこの「よしとする姿」が変化してきた印象があります。このことが社内の軋轢になることも多々あり、なかなか一筋縄ではいかない難しさがありますが、「よしとする姿」にフィットしない人材は採用しない!と決めればいいのかもしれません。

「性格」で片づけてしまう危険性

 実は人を見るうえで、性格ほど曖昧で危険な概念はない。
 見る人によって大きく捉え方が変わるからである。
 例えばA さんという人を見たとき、ぼくは人を見るプロなので冷静に「あの人はやろうと思ったことを、何がなんでもやり遂げる能力がある人だ」とコンピテンシー(行動特性)の文脈で判断する。
 ところが、訓練されていない人の場合は「何がなんでもやらないと気がすまない性格だ」などと性格論で片づけてしてしまうことが多い。〝気がすまない〟などという言い方は完全に見る側の偏見だし、その評価には階段状の高低はつけられない。「そういう人だ」の一言で終わってしまうからだ。
 
 そもそも、何をもって性格とするかも、曖昧である。
 ある人のことを、A さん、B さん、C さん、それぞれが口を揃そろえて「彼は明るい性格だ」と言ったとする。
 意見が一致して結構と思いきや、A さんはある人の好奇心について、B さんは心理学的な意味での外向的な点を、C さんは見た目の雰囲気で、それぞれ「明るい」と言っている可能性がある。
 つまり評価のアングルが違うのである。社長が全員を面接して決めるようなワンマン企業や、恋人や結婚相手を選ぶというのであればまだいいが、企業として組織的に意思決定をするうえでは、全くもって性格の評価は当てにならないのである。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』より

・・・というわけで、今日は「採用面談で陥りやすい3つの落とし穴」をご紹介しました。お役立ていただけたら幸いです。

さらに詳しく知りたい方はこちらの書籍がおすすめです。


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