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『あなたを陰謀論者にする言葉』の中で、地味に驚いた「真実」ベスト3

私が小学生のころはオカルトブーム真っ盛りでした。
夏休みには日テレのお昼のワイドショーで「あなたの知らない世界」を毎回欠かさず見ていましたし、矢追純一のUFO特集はガチで信じて見ていました。他にも、川口浩探検隊、宜保愛子の心霊特集、スプーン曲げ、池田貴族の心霊写真、ポルターガイスト、映画「スウィートホーム」「大霊界」……。
少しオカルトとは違いますが、木曜スペシャルの「世界びっくり大賞」の「びっくり人間」を、見世物小屋を見るようにドキドキして見ていたことを思い出します。(今だったら絶対放送できない!)。
ちなみに、「あなたの知らない世界」には心霊研究家の新倉イワオという人が解説者として出ていたのですが、同じ日テレの「笑点」のスタッフロールに、この人の名前を見つけたときは驚いたものです。その脈絡の無さというか、「あの心霊研究家が笑点のスタッフをしている」という意味不明さのインパクトが、小学生の私には強烈すぎて、こうして中年オヤジになった今でも、記憶から消すことのできない無駄な知識となっています。

さて、与太話はこれくらいにしましょう。
10月に刊行予定の『あなたを陰謀論者にする言葉』の著者雨宮純さんも、私とほぼ同年代です(5、6年、年下ではないでしょうか?年齢は聞いておりません)。オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家である雨宮さんは、思春期にカルト宗教による事件が多発したことから、こうした世界に興味を持ったそうです。
私にとっての新倉イワオと同様(その深さや探究心は段違いですが)、やはり少年時代にテレビで見たことは、大人になってからでも、その人の人生に何かしら影響を与えるのでしょう(テキトー)。

チャート

本書の流れ、そして陰謀論に至るまでの近現代史をまとめたチャート図

パネル

amazon用の宣材としてつくった自作パネル(我ながらセンスのないデザインだと感じます)。地の小さな文字は、本書に出てくる言葉の一部。本書の情報量の多さに圧倒されることでしょう。もともとは索引をつくるために集めた言葉なのですが、800語くらいに達してしまったので断念しました。これが本書の編集作業における唯一の心残りです。
*以下の記事は、以前「索引」について私が書いたものです。これを読んでいただければ、私の無念さが伝わるはずです。

本書には、陰謀論についてそれほど詳しくない私にとって、驚愕の情報が満載でした。たとえば、「な、なんだってー!普段編集している自己啓発本の自己啓発の源流って、そこだったのか――!?」というように。
それらをここに書きたいのですが、発売前なのでネタバレは避けたいところです。そこで、「私が地味に驚いた」というコンセプトで、本書に記された「真実」ベスト3を簡単にお伝えしたいと思います。

地味に驚いた「真実」第3位 物質を希釈すればするほど、最終的には元の分子が消える

物理学をまったく知らない私にとっては、塩水をいくら希釈しようが、うすい塩水、ほとんど真水の塩水になるものの、すなわち広義の意味での「塩水」に変わりはないと考えていました。しかし、最終的には元の分子が消えるそうです。
そうしたことを、著者は「アボガドロ定数」という物理学用語を使って説明しているのですが、どんな文脈で出てくるかは、本書を読んで確かめてください。

地味に驚いた「真実」第2位 ポケモンの「ケーシィ」のモデルはエドガー・ケイシー

私はポケモンにはまったく興味がなかった人間です。プレイしたことはゲームボーイでほんのわずかです(しかも、仕事で無理やりやらされた)。しかし、この一年、娘がハマっていることが影響して、最近では「ニョロモかわいい!」と思うくらいには興味を持つようになりました。
そんな私にとって、「眠れる予言者」として「アカシックレコード」にアクセスしていたというエドガー・ケイシーが(そもそもエドガー・ケイシー自体知らなかったですが)、エスパータイプのケーシィというポケモンのモデルになっていたというのは、地味に驚きました。

当然、「にわか」である私はケーシィというポケモン自体知らなかったのですが、ポケモンの名前1つとっても、そうした歴史上の人物からインスパイアを受けていたということに制作者の知的な側面を見て、感心した次第です。
ちなみに、ケーシィの進化系はユンゲラー。そう、あのスプーン曲げのユリ・ゲラーが名前の元ネタになっているようです。

なんと、ユリ・ゲラー本人が自分の名前や特徴を使ったとして任天堂を訴えたそうですが、世界のチビっ子(元も含む)からの陳情で、取り下げたとのこと。

地味に驚いた「真実」第1位 石原慎太郎はネッシーを探していた

私にとっての石原慎太郎のイメージは、学生時代に読んだ『太陽の季節』の障子のくだり、芥川賞の選考委員、都知事時代のタカ派的な放言や都政、そして句集と見紛うほどの大きなQ数で書かれた田中角栄本、豊洲市場問題で百条委員会にて喚問されたときの弱々しい姿……。
そんな私の石原慎太郎のイメージを大きく揺さぶったのが、彼が日テレ「石原慎太郎の国際ネッシー探検隊」という番組で総隊長としてスコットランドに行ったという、本書に書かれた事実です(1973年のことなので、私が生まれるずっと前です)。しかも、このときはまだ国会議員をしていたとのこと。

こちらの記事が詳しいです。

当然、気まぐれでピエロを演じただけなのでしょうが、そうした気前の良さと言うか、あえていかがわしいものに乗って躍っていた彼のサービス精神に、好感に似た感情を抱いた次第です。

新刊『あなたを陰謀論者にする言葉』の本質は、私がピックアップした内容とは大きく違いますが、このようにさまざまな分野に関心を向けさせるような楽しさがあります。
400ページ近くの分厚い新書ですが、ぜひお読みいただければ!

(編集部 石黒)


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