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【現地レポート】韓国・ソウルの出版最前線

フォレスト出版編集部の寺崎です。

現在、韓国・ソウルに来ています。

トップ画像のキムチとカクテキですが、これ、どの店に入っても最初に必ず出てきます。そんなわけで今週は毎日ひたすらキムチ食べてました。私はいま「キムチ・カクテキ・唐辛子」でできています。

で、ソウルで何をやっているかというと、この1週間、現地の出版社と版権の商談をしていました。版権の商談とはつまり、フォレスト出版の出版物の権利を売る交渉です。

持って行ったアイテムは54点。

このうち「どれか興味のあるタイトルはありますか?」から始まり、「このタイトルが気になる」と先方が興味を示したら、こちらでプレゼンします。それを現地の版権エージェント(仲介をしてくれる方)が翻訳して現地の出版社の担当者に伝えてくれます。

初日は朝10時から17時までずーーーっと商談で(5分間の休憩だけでした……)、慣れない土地での緊張感も伴って、かなり疲れました。

韓国の出版社が関心を持っているテーマは?

韓国ではいま高齢者の認知症の問題、少子化、出生率改善といった社会的なテーマが深刻に求められているようです。このへんは日本と変わりませんね。

そんなわけでこのタイトルがけっこう関心を持たれました。

あと、「へーーー!」と思ったのが、ソウルではいま若者中心に「おまかせ寿司」「おまかせ肉」が流行しているそうです。おまかせコースの値段を聞いてびっくり。30万~40万ウォン。日本円にして約3~4万円です。

いろいろヒアリングすると、ソウルの流行に敏感な若者は「これ!」といった1点豪華主義でお金をかけるとのこと。

スピリチュアルも受容され始めた?!

数年前に同じように商談に訪れた時は、いわゆる「スピリチュアル」は文化の違いもあって、なかなか興味を持たれることがありませんでした。

ところが、今回は「金運」の本にみなさん関心を持っていました。聞くと、サンマーク出版から出た『借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ』という本が意外にも売れたそうで、それがきっかけでスピ的なテーマも受け入れられ始めたとのことでした。

そんなわけで、こちらのタイトルも引きがありました。

読者層・売れるテーマ・タイトルの傾向

メインの購買層は日本と同じく、40~50代でした。だから、その年代を対象にしたタイトルが売れているそうです。「50代」とタイトルに入った書籍がいくつかヒットしていると聞きました。

20~30代の若者はソフトな癒し系の小説、エッセイがメイン。

年代問わず売れているテーマは「お金」「不動産」「投資」。

投資に関しては、つみたてNISAのような制度が整備されている日本のインデックス投資とは異なり、一攫千金の個別株投資が流行っているそうです。家庭の主婦も手を出しているとか。

日本の翻訳書の割合はだんだんと減って、オリジナル作品が増えていて、売れ筋ランキングTOP10に日本の翻訳書が入ることはもはやめったにないそうです。うーーーーーむ、こりゃ困った。

意外で面白かったのが、コロナ以降、商売・飲食マーケティング系の書籍が息を吹き返していて、こちらの書籍がかなり売れているそうです。

こちらの書籍、なんと・・・・200刷!

すげー。

電子書籍は売れているか?

紙のビジネス書、小説は売れ行きが落ちているそうですが、電子のコミックの売上はものすごいことになっているそうです。

仲のいい版権エージェントの知り合いも昨年、コミックに強い出版社に転職していました(版権エージェントから出版社に移る人が韓国はすごく多い)。

韓国はウェブトゥーンがメインなのですが、特別付録を付けたウェブトゥーンの紙版を出すとめちゃめちゃ売れるとのこと。

デジタル書籍の販売についても、マンガであれば10巻セットプロモーションとか、リアルイベントの特典とか、KYOBOという日本でいうところのTSUTAYAみたいな大型書店限定特典とか、プロモーションを毎月のようにやっているそうです。

このあたりは日本の出版社が学ぶべき点だなと感じました。

以上、簡単なレポートでした。

上に乗っているのはテール肉のそぼろ

(おまけ)
Netflixのドキュメンタリー「ストリート・グルメを求めて」の韓国ソウル編で見て以来、夢にまで見た、クソ食べたかったカルグクス(韓国式うどん)!

現地のエージェントさんに教えてもらった超ローカルな「南北統一」というお店のカルグクスです。ホンデ(弘大)の隣のハプチョンという駅の近くにあります。観光客にはほとんど知られていない店のようで、優しい豚骨ベースのスープに手打ちの麺がもちもちで、めっちゃ旨かったっす。


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