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ロコ・ソラーレ優勝!——カーリングのパン・コンチネンタル選手権

日本のロコ・ソラーレが延長にもつれる韓国との激戦の末、カーリングのパン・コンチネンタル選手権の決勝を制し、初代女王に輝いた。勝利目前で迎えた逆転のピンチでコーチを含む6人全員が心をリセットし、延長戦に向け腹をくくったことが勝利につながった。

ピンチを前に、チーム全員の意識を合わせる

日本の6-5で迎えた最終10エンド。韓国のセカンド、ヤン・テイの好ショットでハウス真ん中にストーンを置かれ、スチールのピンチを招いた。相手のナンバーワンとなった石の周囲は邪魔なストーンが多く、簡単に弾き出せそうにない。

日本はラスト3投を残したタイミングでタイムアウトを取り、選手たちはコーチのジェームス・リンド氏と話し合った。「仮に韓国に同点に追いつかれても有利な後攻で延長戦を迎える。1失点は甘受しよう」。

相手のナンバーワンを打ち出すショットに失敗しても大したリスクではない——。全員が認識を合わせ、肩の力が抜けた瞬間だった。試合再開後の吉田知那美、藤澤五月のテイクアウトショットはいずれも失敗に終わるが、彼女たちはおどけて舌を出していた。

迎えた延長戦は氷の状態が変わったのか、韓国、日本ともミスが相次ぐ。リード吉田夕梨花の2投目はセンターライン上の相手のストーンを弾いてしまい、今大会のルールによりショットが無効に。セカンド鈴木夕湖はセンターガードのテイクアウトに失敗した。しかし最後は藤澤のラストショットがハウス内に残った韓国のストーンを弾き、8-6で優勝を決めた。

日本が先行も、韓国が土壇場で追いつく好ゲーム

このゲームは第2エンドでチャンスを作った日本が2点を先取し、主導権を握った。韓国も小刻みに点を返すが、リード、セカンドのショットが精度を欠き、第7、8エンドでは日本に2連続スチールを許した。

第8エンドを終えた時点で日本は6-3と優位に立ったが、韓国後攻の第9エンドで2点を返され、第10エンドで同点に追いつかれて延長戦に。日本は中盤以降、サード吉田知、スキップ藤澤のショットがいま一つ精度を欠いたが、延長戦では逆にリード、セカンドのミスをカバーする形で吉田知、藤澤が素晴らしいテイクアウトを放った。

ショットのミスがあっても残り3人でカバーし、ミスした本人も試合の局面が変われば立ち直る——。ロコ・ソラーレの強さのゆえんを感じた延長戦だった。

日本と韓国の決勝戦のスコア

準決勝の大逆転、北京を思い出すロコ・ソラーレの足跡

パン・コンチネンタル選手権は前年までのパシフィックアジアカーリング選手権とアメリカズチャレンジが統合し、今回が初の大会。アジア、オセアニア、北米、南米の4大陸から女子は9カ国が参加した。スイス、スウェーデンの2強を含む欧州勢が不在とはいえ、世界ランキング5位の日本にとっては、3位韓国、4位カナダ、7位アメリカと強豪揃いの大会だった。

私は決勝のみの視聴だが、日本の白眉の試合となったのは準決勝のカナダ戦のようだ。前日の予選リーグ最終戦で3-9で完敗した同じ相手に、第8エンドで2-5の劣勢に追い込まれながら第9エンドの3点、第10エンドの1点スチールて逆転勝利を収めた。特に第10エンドの藤澤は2投ともミラクルショットだったようだ。

まるで予選リーグ最終戦のスイス戦に完敗した翌日に、準決勝で同じスイスに競り勝った北京五輪を思い起こさせる展開だ。

彼女たちの戦いは見ていて飽きない。ミスショットに舌を出して苦笑いを浮かべたかと思えば、ミラクルショットを決めてチーム全員が飛び跳ねて喜ぶことも。この悲喜こもごもの表情が彼女たちの持ち味だ。

緊張で笑顔も掛け声もイマイチだった北京五輪決勝は、英国を相手にズルズルと敗北を喫した。それから9カ月経った今回は、相手の追い上げに気圧されそうな局面で「ダメでもともと」と笑顔で開き直ったことが勝利につながった。

パン・コンチネンタル選手権のトーナメント表

年明けには世界選手権も控える。ロコ・ソラーレを含め、日本チームの活躍が楽しみだ。

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