起業に失敗しないための6つの「失敗ストッパー」
坂内綾花です。
私の自己紹介は「10代で私が起業した方法」をお読みください。
また、起業についての考え方はこちらもあわせてお読みください。
さて、今回は「失敗ストッパー」という仕組みについて書いてみました。
私自身は起業してまだ1年半ですが、自分の事業からの収入だけで最低限の生活ができるようになりましたし、少しずつ軌道に乗りつつある実感はあります。
多くの人が起業は難しいと思い込んでいて、実際に失敗してしまうのは、自分の事業の「失敗ストッパー」を持っていないからかもしれないと思っています。
※もちろん起業と一口にいっても難易度はいろいろありますので、この記事では私のような小規模なスタートアップやスモールビジネスの起業を想定しています
私は、起業で大きな失敗をしたくないので、「失敗の数歩手前で失敗の予兆に気づいて、その段階でストップできるように」しておくことにしています。
そして、今回この記事を書くにあたって、その失敗予防装置を「失敗ストッパー」と名付けました。
危険を察知して教えてくれる、たとえば、山道にある「この先、崖」「行き止まり」などの看板と同じような役割です。坂道を転げ落ちてからは遅いので、早めに「そっちに行ってはダメ!」ということに気づくようにするということです。
具体的には、Googleカレンダーなどを利用して「失敗の予兆発見を自動化」するということなどをしています。心がける、くらいでは忘れてしまいます。
では、どんな「失敗ストッパー」があるのか説明していきますので、よろしければアレンジして取り入れてみてください。
6つの予兆と「失敗ストッパー」
まず、起業の失敗には予兆があると考えました。そこで、自分なりに過去の起業失敗談などを調べて、おもな失敗原因から6つの予兆をリストアップしてみました。
そして、それらの予兆が現れたら「失敗ストッパー」を作動させて無理に事業を進めることを止めて立ち止まるようにしています。
.失敗の予兆1.お金がなくなりそう
今の世の中ではほとんどの場合、お金がなくなったら事業は継続できません。
そこで、必要になるのは「お金がなくなることがわかっているのにギリギリまで続けようとする前に気づいて立ち止まるためのストッパー」です。
私は、毎月10日に、この先3ヶ月のキャッシュフローを計算して、最低必要な売上を計算しています(実際には、さらに10ヶ月先までのおおまかなキャッシュフローの計算ができていますので、かなり安心していられます)。
そして、「このまま行けば3ヶ月でお金がなくなる」「3ヶ月先にいくら足りなくなる」という状態になれば事業を停止して、必要な分だけアルバイトをはじめたり、資金を調達することができます。また、アルバイトをしても追いつかないくらいの固定費などがかかる事業は行わないようにしています。
<失敗の予兆1.を発見したときの対応方法>
・前回の計画と何が違ったか原因をつきとめる
・アルバイトを探す(事業に関連した範囲が理想)
・知り合いの会社に必要な金額を伝えて仕事をもらう
・借金はしない
.失敗の予兆.2.やる気がなくなりそう
やる気がなくなったらやらない方がいいです。どうしても気の迷うが起こります。私は「やる気がなくなった=失敗した」と定義しています。
そこで、必要になるのは「やる気がなくなって無理にモチベーションを上げようとするなど、無駄な行動をしないためのストッパー」です。
私の場合は、毎月2回、やる気をセルフチェックしています。
私はやりたくないことはあまりできない性格なので、起業前から「心からやりたいこと」やその周辺のことをビジネスにすると決めていました。優秀な人はできるのかもしれませんが、私のような能力の低さでは、やりたくないことには集中できません。
また、眠たいときに「起きるぞ!」と思って起きる程度の瞬間的ながんばりは必要だと思いますが、会いたくもない人に会ったり、意味があるかどうかわからないような努力はしないと決めています。私は、やりたくもないことをがんばれるほど強い人間ではありません。
さらに、起業前にできるだけ信じられる、達成している自分を好きになれるようなミッション、ビジョンを文章化しておき、目的と手段が逆転することがないように、もしくはそうなりかけたときに気づくようにしておくのも有効だと思います。この場合も、振り返りを忘れないように、自動化しておきます。
<失敗の予兆2.を発見したときの対応方法>
・やる気低下の原因を考えてみる
・事業を停止する(売却などを検討)
・ここまで続けたんだから、という謎のモチベーションで継続しようとしない
.失敗の予兆.3.情報鮮度が落ちそう
事業が拡大して認知度が上がってしまうまでは、逆にその新規性やユニークさをも武器にしないと発展しにくいと思っています。また、事業が安定してからも、お客様に対して新しい刺激を与えるような提案ができないと、事業の維持が難しくなるかもしれません。
私は、事業がスケールしきる前に、お客様にとって新しい価値(体験)を提供できなくなり、陳腐化した、ありきたりな状態になった段階で失敗だと定義しています。
仮に事業が当たり前の存在として認知されたとしても、今度は、そのことにあぐらをかいて安定したと勘違いすると、今度は衰退に向かうと思います。
そこで必要になるのは「事業(商品)の新規性、ユニークさ、ニュース性などの情報鮮度が落ちて、人やメディアなどに注目されなくなっても続けてしまうことを防ぐストッパー」です。
これは、3ヶ月に1回、独自のチェックリストを使って自問自答しています。
<失敗の予兆3.を発見したときの対応方法>
・PEST分析で環境の変化をできるだけ把握する
・フレームワークで原因を考える
・お客様が喜ばない新規性は目指さない
.失敗の予兆.4.市場がなくなりそう
市場がなくなったり、お客様がいなくなったら失敗です。原因としては、販売していたプラットフォームのルールが変わったり、それ自体が閉鎖されたりすることや、強力な優位性を持つライバルが現れて太刀打ちできなくなったりするかもしれないことです。
そこで「売る場所がなくなっているのにそこで頑張って(誇大広告などで)売ろうとしてしまうことを防ぐストッパー」が役立ちます。
これも、3ヶ月に1回、チェックリスト(おもにPEST分析)を使って自問自答しています。
<失敗の予兆4.を発見したときの対応方法>
・ほかの優位性を訴求できないか検討する(競争の軸をずらす)
・新たな市場を見つける
・タイミングをずらす(需要の高まりを待つ、など)
・自分でコントロールできないことをコントロールしようとしない
.失敗の予兆.5.いつまでもスケールしなさそう
事業をスケール(拡大)させることを目指しているにも関わらず、現実的で、効果があると思える手を打っても事業がいつまでもスケールしないのは失敗です。
もし、そうなれば「もう少し、もう少し!」と粘るような無理をしないでサンクコスト(埋没費用)と割り切って、次に行く発想が必要だと思います。
そこで役立つのが「事業が拡大しないのに、その事業に固執してしまうことを防ぐストッパー」です。
これも、3ヶ月に1回、チェックリストを使って自問自答しています。
<失敗の予兆5.を発見したときの対応方法>
・「事業拡大マトリクス(アンゾフ)」で市場や製品を変えることを検討する
・事業を停止する(売却などを検討)
・VCなどを活用し資金不足を補う
・徹底的なローコスト運用に切り替える(外注先に任せる、など)
.失敗の予兆.6.病気になりそう
だれかが病気になってまで進める必要がある事業はほとんど存在しないと思いますし、ほとんどの人は体力的にも、精神力的にも無理をすると知らず知らず病気に向かっていくはずです。
そこで必要になるのが「体調が悪いのに事業を継続して病気になって後悔しないためのストッパー」です。
月に2回、体の不調やスケジュールに無理がないかチェックしています。
きちんと睡眠を取って、ストレスを抱えるようなことはせずに日々を過ごすようにしています。
<失敗の予兆6.を発見したときの対応方法>
・スケジュールを見直す(休みを取ったりする)
・事業を辞める
以上が、6つの失敗の予兆と「失敗ストッパー」です。
「失敗ストッパー」の発動を自動化する
「失敗ストッパー」を発動させるのを忘れていては失敗してしまいます。予兆の発見を自動化することで確実に「失敗ストッパー」を機能させるための方法を紹介します。
1.Googleカレンダー、アラームアプリなどであらかじめルーチン設定しておく
スケジュールなどを思い出させてくれる便利なアプリはたくさんありますので活用しています。
2.外部の信頼できる人(きちんとスケジュールが守れる人)に、あらかじめリマインドを依頼しておく
クラウドワークスやランサーズなどでリマインドしてくれる人を探します。ただし、1回でも忘れたりした人は心配なので契約を打ち切るべきだと思います。
私の場合は、電話で会話をして、「10日ですが、キャッシュフロー計算はできましたか?」「体調はどうですか?」と聞いてもらっていますので助かっています。
3.税理士さんなどに毎月の面談時に議題にしてもらうように依頼しておく
定期的に会うことが決まっている人をリマインド係にしてしまう発想です。
ちなみに、私は1,2を実践しています。ほかにもいろんな方法があると思いますので、工夫してみてください。
「失敗ストッパー」の効果・効能
1.やるべきことに集中できる
私の事業のKFSは「いかにお客様に質の高い喜びを提供できるか」としています。お客様に喜んでもらえるような商品探しや商品開発に集中できることはありがたいです。
2.安心感が持てる
安心感がないといいパフォーマンスも出せないと思っています。未熟な起業家が自分の持っているわずかな能力すら出せない状況は、事業を軌道に乗せることを難しくすると思います。
3.情報アンテナが育つ
これも私自身の感覚ですが、このように定期的に振り返ることで、日々、必要な情報を敏感にキャッチ出来ていると思っています。反復トレーニングの効果だと思います。
最後に
もちろん、起業家が失敗しても復活しやすい環境作りを進めてくださっている人もいますし、失敗から得られることがあることはわかっています。それでも失敗は避けた方がいい、というのが私の考えです。
失敗はわかりやすい失敗もあれば、静かに近づいてくるような「気づきにくい失敗」もあります。後者の失敗は、自分から発見しようとする行動を起こさなければ、なかなか見つけられないものだと思います。
孫子の兵法では守りの重要性を説いています。守りのための1つの方法が「失敗ストッパー」かもしれません。
たとえ小規模でも、私のような未熟な者が1年半ですが事業を無事に継続させられているのも、このような事前の準備があったおかげかもしれません。
「失敗ストッパー」が、どなたかのヒントになって、大きな失敗が避けられたりするとうれしいです。
(相変わらずの乱文はご容赦ください)
フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。