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太陽光発電は設備ではなく、電気代の固定化



一般生活者啓発委員会 川端です。
本当に、回ってくるの早いですね。笑

さて、毎度ながら、
私からは温熱と違う観点のお話です。

皆さんは省エネの専門家ですが、
ご自宅の電気料金を把握されていますでしょうか?

口座引き落としの費用は、
なかなか把握しにくいですが、
いまはとんでもない状況になっています。

値上がりは建材だけではない!


先日、イギリスで10月から
電気料金が8割値上げされたと
ニュースになっていました。

イギリスでは前払いの定額制で支払うシステムも
あるようで、その影響も大きいですが、
冬を迎えるこの時期の電気料金の値上げは
家庭に大きな影響を与えます。

日本はひとごとか?
残念ながら、同じことが日本でも
起きています。


上記は中国電力の電気料金を
グラフにしたものです。

一番安価な契約の形で、260kWh/月に使う場合、
2021年1月は6,406円だったのが、
2022年11月には10,561円まで上昇します。

もちろん、昨年までは
ウクライナ侵攻まえ、
コロナの影響で電気料金が安かったことも
ありますが

燃料費調整単価の赤の折れグラフを見ると
おわかりいただけるように、
赤のラインに呼応して、
電気料金は上昇していきます。

そして、日本にはエネルギー資源がない。

現状、電気料金が下がる条件は
見当たりません。

太陽光発電を真剣に考える時代に来た

私達、設計事務所や工務店は
快適な家づくりを目指して、
日々、勉強し、
お客様に提案してきました。

太陽光発電は設計事務所・工務店の仕事じゃない!
なんて言われる方も、
ひょっとすると、いらっしゃるかもしれません。

しかし、太陽光発電をつけるか
つけないかは、
そんな感情論ではなくなってきました。

先程、示した260kWhは
中国電力の例示しているkWhで
かなり少なく、
おそらく、春秋の中間期の電気使用量くらいかと
おもいます。

年間を通しての平均を350kWhだとすると
現在の平均電気代は14,200円となり、
一年間で170,000円

太陽光発電の使用年数を20年とした場合、
20年×170,000円=340万円になります。

これでおわかりいただけたかと思いますが、
仮に150万円の太陽光発電を設置すれば、
リアルZEH、その他エネルギーも含めて、
ゼロ・エネルギー化ができる住宅の場合、

20年で340万円以上かかる電気料金を
150万円で固定化することができます。

もちろん、昼作った電気を夜使うには
蓄電池が必要ですし、
パワコンの保守費も必要になってきますが、

それらを含めても、
340万円を超えることはない。

つまり、お客様が抱える
光熱費上昇リスクを避けることができるのが、
太陽光発電になります。

とはいっても、

「話はわかるが、
 この物価高の状況で、
 太陽光発電の150万円を
 お客様が払えないよ。」

という声が聞こえてきそうですね。

そのためのPPA(屋根貸し)になります。


PPA(屋根貸し)ってなに?

最近は話題にもなっているので、
ご存知のかたも多いかもしれませんが、
PPAについてのおさらいです。

もともとは小学校などの低層の公共建築の屋上に
PPA事業者が無料で太陽光発電を設置し、
売電額をPPA事業者が享受することで
成り立つビジネスモデルのことをいいます。

学校は昼間使う施設ですので、
自家消費を太陽光発電でまかなうことができ、
PPA事業者は大きな屋根面積で余った電気代を売ることで、
儲かるということで、
学校側には何もデメリットがありません。

もちろん、住宅においても
このPPAがスタートしています。

3つのPPAビジネスを解説

一番有名なのが、私達にも身近な
LIXILのPPA事業ですね。

その他にも太陽光発電パネルメーカーの長州産業、
新電力のシェアでんきなどがあり、
この3つを解説していきます。

LIXILは太陽光発電の容量が8kW以上という指定があり、
これと住宅設備をLIXIL製品でというのが
使いにくい・使いやすいを会社によって
分かれるかもしれませんが、
その代わり、昼間の自家消費電力を
住人が使えるという最大のメリットがあります。

長州産業は5kW以下は13年、
5kWは10年間と
太陽光発電が住まい手のものになるまで、
年数が違ってきます。
ただ、自家消費電力は使えず、
2022年現在は1kWhあたり、29円を
長州産業に支払うことになります。
これをデメリットと考えてしまいがちですが、
電気料金が上がっていく現在、
10年間の電気単価が
29円で固定できると
考えることもできそうです。

シェアでんきは
太陽光発電の容量の制限がなく、
昼間の電気使用も12ヶ月無料のあと、
22円とかなりお得です。
その代わり、自分の太陽光発電になるまで、
15年と、三社の中で、最長となります。

また、現在私は、
太陽光発電を工務店の見積から外しています。
理由としては、
ガルバの縦ハゼに挟む架台や
支持瓦などの普及で、
屋根に穴をあけず、雨漏りリスクがなくなったこと

これに加えて、
前述したように太陽光発電は電気料金の固定化と
捉えた場合、
電気料金に工務店の経費を載せることは
適切ではないと考えています。

現在、中国エリアでは
かなり安く太陽光発電を設置する
会社があり、
申請関係も手慣れているので、
逆に工務店の手を煩わすことなく、
スムーズと考えています。

もちろん、このあたりは、
会社によって、考え方は
様々だと思いますので、
各社でご判断いただければと思います。

太陽光発電は1985アクションには重要。


上記は先日着工した私が設計した口田南パッシブハウスの
一次エネルギー計算書です。

1985家族の基準エネルギーと、
国のWEBプログラムとでは、
基準エネルギーは違いますが、

仮にWEBプログラムの結果で
基準の半分を切るか見ていきます。

一次エネルギー計算を見ると、
その他エネルギーを含めて
48,995MJの設計一次エネルギーで
基準一次エネルギーが105,692MJ

さすがパッシブハウス、
基準エネルギーの半分だ!
とおもいきや、
太陽光発電の自己消費分が引かれています。

もう一度計算しなおしましょう。
(48995+21016)/105692=0.66
となり、50%切りません。

パッシブハウスです。
Ua値、0.21です。

付加断熱ネオマ80mmです。

という厳しい現実があります。

もちろん、これは設計段階の結果ですので、
住んでからの実測がどうなるかは
私の経験上、もっとよくなり、
太陽光発電なしでも1985家族になる
可能性はあります。

しかし、G1、G2の家であれば、
太陽光発電を載せることは
家庭のエネルギーを半分を目指すには
重要なポイントになります。

もちろん、前述した
お客様の暮らしを守ることにつながります。

太陽光発電をお客様のお金で設置することが
一番メリットが大きいですが、
これからの時代はPPAも含めて、
太陽光発電の提案をしていくことが大事になります。

太陽光発電アレルギーから
そろそろ、卒業する時期のようです。

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