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こんなシュタイナー学校があっていい!

その場所、その地域、そこで集まったメンバーでつくる学びのカタチ

シュタイナー学校に限らず、自分たちで子どもの学ぶ場所をつくる動きは全国的にも増えているようです。フリースクールへの問い合わせも増え、見学の申し込みも増えているという話も耳にします。コロナ禍で全国一斉休講になり、学校でこれまでのようにのびのびと過ごせなくなった現状が気づかせてくれたこと、それは子どもの過ごす環境を自分たちの手でつくるという可能性です。これまで「学校」という場所が絶対的に存在して、子どもたちの学ぶ場が守られてきましたが、今回のことでその日常が案外簡単になくなってしまったり、制限されてしまうことがはっきりとしたのでしょう。日常のありがたさ、というものが身に染みている方も多いのではないでしょうか。

それでも学校をつくるなんて今のところはまだ突拍子もない考えで、そもそも学校ってつくるものなの?そんなことありなの?というご意見の方がまだまだ一般的なのではないでしょうか。私も今この学園にかかわっていなかったとしたら、そんな無謀なこと!!と思っていたに違いありません。だけど、実際にかかわっていると、それほど特別なことをしている感覚はないのです。子どもが寒そうにしていて上着を着せるとか、眠そうなのでお昼寝をさせるとか、お腹が空いていそうだからご飯を食べさせてるとか、そういうことの延長線上にあるような感覚で、子どもが生き生きと学びたそうだからその場をつくってみるというノリです。(もちろんやるからには真剣にやろうと心がけていますよ!誤解のないように念のため。)

だから、特別なことをしているつもりはないし、「こうでなければならない」というふうにはできるだけ考えないように常に意識しています。私たちの学校は「わかやまシュタイナー学園」と名乗っている通り、根っこのところでシュタイナーの考えに影響を受けているところは大きいのですが、「シュタイナー教育とはこういうものだ」とか「こうしなければシュタイナー教育とは呼べない」とか、そういう考えに知らぬ間になっていないかなと気をつけています。気をつけているつもりでも時々型にはまり込んでいることに気がついて、ハッとすることがあります。自分の感じていることを捉えて身体を動かしながら考えていくことに、メンバーのそれぞれがとても意識的になっていると思います。

それから、こんな小さい学校にも関心を寄せて見学に来てくださる方がいます。「学校をつくりたい」と言って遠路はるばる見学に来てくださる方々は、学校をつくりたいという想いがあるがどうすればいいのか分からない、とおっしゃいます。そんなとき私たちは、目の前にあることから始めることをお薦めしています。無理せずにできることから、必要を感じていることから、とにかく動き始めてみること。それはときには親子クラスをつくることだったり、自分たちの考えを言葉にするために趣意書をつくることだったり、勉強会を始めてみることだったり、「やってみよう!」となる内容は見学者それぞれですが、大体は来られたメンバーの中から「これならできそう」という足がかりが見えてくるのが面白いところです。早速帰ってから取り組まれ、そこから次にやることが見えてきて新しい流れができていく様子をお聴かせいただいて、その場所でそのメンバーでしか見つけられない答えがあることを実感し、励ましているつもりで結局いつもこちらが励まされます。見学者を迎えた時の私たちの目標は「こんな小さくて、全然完璧じゃないけど、これでもありなんだ!」と気楽になって帰ってもらうことなので、それは結構達成できているような気がします。「なんか肩の荷がおりました〜」とか「そんな緩くていいんですね〜」とか、ほぼ皆さん言ってくださっているので。

このコースで目指すのも、そんな「やってみよう」という感覚を持ってもらえることです。コースを修了したときにお一人おひとりが「よし!やってみよう!」と思えるようにということを大切にしたいと思っています。せっかく学んでも、自分のいる環境じゃ無理だなーと自信をなくして終了、なんてことになれば、これほど勿体ないことはないですから。下手でも、中途半端でも、とにかく行動しよう!と動いていくための真ん中の軸を2年間かけてつくり上げていくことがコースの目標です。


正解なんて言うものはどこにもなくて、「こうあるべき」ということもないのです。地域が違って、メンバーが違って、時代が違えば、学校のあり方も教育内容のあり方も違うのは当たり前のことです。

また、何かを始めようとするときは「自分で考え、決意して行動する」ということに尽きます。そこに仲間が加わって、大きな流れができてくる。その先に学校づくりがあるのだと思います。全ては一人の決意から始まっているのです。

その一人の決意と行動が源となって、その周りにいる人たちが共鳴して新しい流れを生み出し、出会いが積み重なって大きなうねりとなって。。。そうやって新しい場所が生まれ育っていくのはすごいことです。

一つひとつの場所を、そのあり方を、私たちは応援していきたいなと思っています。そんな活き活きとした場所で過ごし、育っていく子どもたちに想いを馳せます。私たちにできることはほんの少し、ちっぽけなことです。それでもその場で過ごす子どもたちの未来に繋がっているのなら、やり続けてみたいと思うのです。

そんな仲間が増えることを願っています。

スタッフK

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