見出し画像

CFP®試験(タックス)に合格したいあなたへ

▼改定記事はこちら
CFP®試験(タックス)に必ず合格したいあなたへ(2022年改訂版)
2022年6月 試験直前対策

 6課目の中で最も難易度が低い課目です。合格点が高くなります。

 出題の大半は所得税に関するもので、サラリーマンはもちろん、個人事業主が知っておきたい内容が網羅されています。所得税の計算の仕組みを知っていることは節税につながり、家族経営している事業主なら、配偶者やその他家族への報酬の体系も大切な節税要素となります。

 その他、消費税や住民税など、日常生活を取り巻く税金の知識が得られるとともに、さまざまな疑問にも出会う課目です。ぜひ租税体系のあり方など税金について考えるきっかけにしてください。

どんな出題か

❶ほとんどが計算問題

 8割(約40問)が計算問題です。複雑な計算問題はほとんどなく、四則演算(+-×÷)ができれば十分乗り切れます。つまり、計算問題とは言っても、計算の根拠や知識を問われているわけです。計算が簡単であるが故に、回答にはあまり時間を要しません。終盤の難題に向けて、引っ掛け要素の有無に注意したうえで、素早く正確に回答できる練習を繰り返しましょう。

 なお、出題の6割ほどが所得税、1割ほどが法人税に関する出題です。計算問題、かつ所得税や法人税の仕組みを理解することで十分合格ラインに到達できます。それでも不安がある場合は、個人事業税や個人住民税、消費税の計算問題を正答できるようにしましょう。

<1. 所得税/所得の計算>

 各所得の計算では収入や必要経費となる項目や、各所得独特の計算方法をどれだけ正確に理解しているのか問われます。

●配当所得;上場株と非上場株の配当の取扱い
●不動産所得;必要経費、事業的規模、キャッシュフロー
●事業所得;必要経費、取得価額、減価償却費(特例、改定保証率)
●給与所得;所得額
●退職所得;所得額
●譲渡所得;上場株式、配当所得との通算・繰越、居住用財産
●譲渡所得;総合課税での内部通算
●一時所得;保険金の取り扱い、立退料
●雑所得;公的年金とその他収入

<2. 所得税/総所得、課税所得>

 損益通算や繰越控除のルールを理解できているか、総所得の計算が多く出題されます。また、所得控除や税額控除は、控除の対象となる支出の選別や控除額の計算方法、申告方法など、多くを理解しておく必要があります。いずれも、定番の出題ですので確実に得点したい内容です。

 なお、所得税額を求めるのか、所得税・住民税の合計額を求めるのか、必ず問題文をチェックしてください。

●損益通算、繰越控除
●所得控除(扶養控除、医療費控除、社会保険料控除)の知識、総額の計算
●税額控除(配当控除、住宅ローン控除の控除額)
●所得税額
●納税方法(個人事業主の届け出事項、青色申告、納税方法)

<3. 個人所得課税>

 いずれも確実に得点したい出題です。計算方法の基本を理解していれば十分な出題ばかりです。

●住民税;税額(所得割)、所得控除
●事業税;損益通算、繰越控除

<4. 消費税>

 これも確実に得点したい出題です。特定期間の判別についての出題はありましたが、税額の計算はありません。

●消費税;課税対象取引、課税/非課税事業者の判定(特定期間等の理解)

<5. 法人税/損金、繰越控除の理解>

 所得税と同様、必須事項を押さえることが大切です。2021年第1回試験では出題がなかった「★印の項目」も確認をお願いします。

●損金
・役員給与;役員給与の範囲、役員と法人の取引
・租税公課;対象租税の判別
・交際費;対象の理解と算入/不算入額の計算
・減価償却費;特例資産、中古資産
・貸倒損失★;法律上/事実上/形式上の貸倒

●青色欠損金の繰越控除

●財務諸表
・工場会計;BSとPLの関係
・CVP分析;損益分岐点の理解★

❷知識を問うもの

 計算問題で問われる内容とほぼ連動しています。知識を備えていて初めて計算ができるからです。法人税では、”損金算入”以外は2級レベルの知識がどれだけ正確に理解しているかを問われているので損金の範囲の理解と計算の流れを抑えておくことが大切です。

あなたに合った回答方法、学習方法

[別記事]資格試験を勝ち抜くコツを作成しました

必須項目1. 所得の計算

<配当所得>

 複数ある申告方法のメリット・デメリットの理解、各申告方法による納税額の計算、上場株式と非上場株式での申告方法の違いを確認しておきましょう。なお、上場株式等に係る配当所得は所得税と住民税で異なる課税方式で申告できます。

画像6
配当所得

 配当所得(できるだけ申告額少なくなる方法にて)を計算できるよう、「申告不要が選択できるもの」が何かを理解しておく必要があります。
・2021年第1回試験(問題16)解答例

画像5

<不動産所得>

 不動産所得に関する出題で重要なのは、「必要経費となる支出の範囲」「事業的規模か否かで異なる事項」「不動産所得と収支の差異(金額)」です。以下、順に確認します。

必要経費の範囲
不動産の貸付けによる収入がある人が、実際に支出したもののうち下記のものを必要経費とすることができます。

●不動産取得の借入金利子
 (注)土地取得のための借入金利子は損益通算できません。
●損害保険料
 (注) 地震保険料は「不動産所得の経費」「地震保険料控除」いずれかの適用です。
●固定資産税
●不動産取得税、登録免許税
 (注)事業用の場合です。その他の場合には取得費(譲渡所得)です。
●減価償却費
●立退料
 (注)建物の賃借人へ支払時に経費となります。譲渡時は譲渡費(譲渡所得)、賃借人が入居する建物の取得時は取得費(譲渡所得)です。
●取り壊し費用
 (注)事業用(事業的規模)の場合に経費となります。壊す予定が明確で購入した時には土地の取得費(譲渡所得)、土地譲渡のためなら譲渡費(譲渡所得)です。
●生計を一にしていない親族に対する給与

事業的規模であるか否か
不動産所得は事業所得と異なり、事業的規模と認められる基準が定められています。アパートやマンションでは10室以上、貸家では5棟以上です。駐車場の場合は明確な基準はありませんが、駐車場は5台分でアパート1室とされていますので、50台以上となります。

画像5
事業的規模

不動産所得と収支(キャッシュフロー)
収支(キャッシュフロー)は、収入-支出(借入金の元金、利息、税金)です。収入から支出を引いたものですから、借入金の元金返済額や、税金も含まれます。 実際の現金の入出金なので所得よりも想像しやすいですね。・2021年第1回試験(問題5)解答例

画像6
不動産収支

事業所得において必要経費にならない支出
●配偶者から借りている事業資金に係る適正な利率による利息
●配偶者から借りている事業資金に係る元金返済額
●店舗建物の賃借に対して配偶者へ支払った家賃

※親族が払った経費は、事業主の経費になります。
※青色事業専従者給与、事業専従者控除も経費となるが、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除は適用できません。

中古資産の減価償却費
●一部経過 → 耐用年数-経過年数+経過年数×0.2
●全部経過(最短2年) → 耐用年数×0.2

 償却保障額
 定率法で償却する際、償却保証額に満たなくなった年分以後は「改定取得価額×改定償却率」を償却費とします。かつては償却保障額の計算を含めた償却額を求める出題でしたが、最近は易しくなる傾向にあります。
※償却保証額 = 取得価額×耐用年数に応じた保証率
※改定取得価額;償却保証額に満たないこととなる年の期首未償却残高
※改定償却率;償却費が同一となる償却率
・2021年第1回試験(問題13)解答例

画像9
償却保証額

<給与所得、退職所得>

 それぞれの所得の計算ができるように練習しておきましょう。給与所得の控除額の計算は速算表が与えられますが、退職所得については覚えておく必要があります。勤続年数のカウント方法についても確認しておきましょう。

<譲渡所得(総合課税)>

 土地建物や株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得は総合課税の対象です。取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の2つに分かれます。長期譲渡所得となるのは、所有期間が5年を超えている場合で、短期譲渡所得となるのは、所有期間が5年以内の場合です。ただし、所有期間が5年以内の場合であっても、工業所有権、著作権、採掘権などは長期譲渡所得となります。また、配偶者居住権・配偶者敷地利用権を取得した日からの所有期間は5年以内であっても、被相続人がその配偶者居住権の目的となっている建物・土地等を取得した日からの所有期間が5年を超える場合にも長期譲渡所得です。
 課税対象となる譲渡の分類、短期譲渡と長期譲渡の振るい分け、譲渡所得の計算方法など多くの項目を理解しておく必要あります。また譲渡損が生じた場合に損益通算ができるか否かも確認しておきましょう。

画像9
譲渡所得

・2020年第2回試験(問題21)解答例

画像10

<譲渡所得(不動産)>

 不動産売却による譲渡所得については、長期と短期の区分、取得費となる支出、譲渡費用になる支出の理解、譲渡所得の計算、特別控除の種類の理解などが必要です。さらに税額計算の場合には、所得税だけなのか住民税と合算した税額のか、適用税率にも注意が必要です。

画像11
不動産に係る譲渡所得

・2020年第2回試験(問題15)解答例

画像13

<譲渡所得(株式等)>

 株式等の譲渡したことによる譲渡所得は「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分し、他の所得と区分される申告分離課税です。上場株式等に係る譲渡所得の金額と、一般株式等に係る譲渡所得の金額とは、(内部)通算できません。
 上場株式なのか一般株式なのかの分類は、CFP®金融の試験で問われる内容です。タックスでは、気にする必要はありません。併せて、(申告分離課税を選択した)配当所得との損益通算や平均取得単価の計算、過去の損失分の繰越控除についての計算もできるように練習しておきましょう。

画像13
株式等の譲渡所得

・2020年第2回試験(問題10)解答例

画像14


・2020年第2回試験(問題12)解答例

画像15

<一時所得>

 一時所得の金額は以下の通り算出されます。最高で50万円の控除があることを忘れないようにしましょう。
 一時所得 = 総収入金額-支出金額ー特別控除(最高50万)

画像17
一時所得

 一時所得では生命保険の解約、保険金の受取に関する出題が多く、「総所得金額に算入される一時所得」が1/2になることに注意です。また、保険期間が5年以下で保険料の払い込みが一時払性を有する場合には金融類似商品として20%源泉分離課税となることにも注意が必要です。
 その他、一時所得に該当するもの、事業所得に該当するものとの違いについても確認しておきましょう。

<雑所得>

 公的年金等や原稿料・講演料などは、原則として支払の際に源泉徴収されます。なお、金融類似商品の収益については、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)で源泉徴収が行われ、確定申告できません。公的年金による収入は年金控除を算出のうえ所得①を求めます。その他の収入は、その収入を得るために支出した金額を控除して所得②を求めます。
 所得①はつねにプラスですが、所得②はマイナスになることがあります。この場合には所得①から所得②の金額を控除できます(内部通算と言います)。内部通算の結果がマイナスになっても、他の所得との損益通算はできません。

画像19
雑所得

必須項目2. 総所得(損益通算、繰越控除)

<損益通算>

 各種所得金額の計算上生じた損失のうち下記の所得についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除します。試験では多くの出題がありますが、損益通算の結果(総所得)よりも税額を問われることが多いです。うっかり、通算できないものを控除しないように、また退職所得の税率は累進税率であることを忘れないようにしましょう。

●不動産所得
 ・土地(土地の上に存する権利を含む)を取得するために要した負債の利子に相当する部分は不可
 ・別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに係るものの損失は不可
●事業所得
●譲渡所得(総合課税)
 ・趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)は不可
 ・生活の用に供する動産で、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等は不可
●山林所得

画像21
損益通算

・2020年第2回試験(問題29)解答例

画像22

<繰越控除>

 当年分の損失を控除しきれないとき、その損失を翌年以降3年の所得から控除できます。上場株式等の譲渡損は翌年以後の上場株式等の譲渡益から控除できます。損失が複数年で生じた場合には、古い損失から優先的に控除します。また、3年で控除の権利が無くなりますので、4年後以降に繰り越さないように注意しましょう。
・2021年第1回試験(問題29)解答例

画像22
繰越控除

必須項目3. 課税総所得(所得控除、税額控除)

<所得控除/物的控除>

 医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除について、控除対象が選択できたうえで控除額を計算できることが求められます。医療費控除では高額療養費や生命保険等での補てんをどのように考慮するかがポイントです。社会保険料控除では当年に支払った額(過去分、1年以内の前納分)が対象です。生命保険料控除は「新契約」「旧契約」の分類と、新旧契約が混在する場合の「上限額」の理解が大切です。

画像23
物的控除

<所得控除/人的控除>

 配偶者特別控除は、控除額の一覧が与えられるので覚える必要がありません。配偶者控除は最大で38万円の控除があることだけ覚えましょう。また、扶養控除は年齢と控除額をすべて覚える必要があります。基礎控除は金額が48万円に変更されたばかりですので、間違えないようにお願いします。
 寡婦控除は女性の場合のみ一定の要件で適用される制度として一部残っていますが、大半は「ひとり親控除」として仕組みが変更になったばかりなので、内容を正確に覚えておきましょう。

画像24
人的控除

・2021年第1回試験(問題26)解答例

画像25
医療費控除

・2021年第1回試験(問題24)解答例

画像26
扶養控除

<税額控除>

 さまざまな税額控除がありますが、配当控除、住宅ローン控除を理解していれば十分です。

配当控除
 どのような配当金等が控除の対象となるかの理解と、税額控除の金額を計算できるようにしましょう。

画像27
配当控除

住宅ローン控除
 控除対象者および控除対象物件、借入金に対する要件の理解と、控除額を計算ができるようにお願いします。なお、対象者の納税額(所得税)がどれだけかとの比較を忘れないようにしてください。

●適用要件

画像28
住宅ローン控除

●控除額

画像30

<所得税の申告>

 所得税の申告時期、過少/過大申告時の手続き、事業形態等の変更があった場合の必要書類について出題があります。青色申告に関して、適用条件や白色申告と比較したときのメリットを確認しておきましょう。とくに青色申告特別控除額については毎回出題がありますので確実に正答しましょう。

画像31
所得税の申告

必須項目4. 個人住民税、個人事業税

 所得税のほかに個人が納税する税金として、個人住民税や個人事業税があります。所得税が国税であるのに対し、個人住民税の課税主体は市町村、個人事業税の課税主体は都道府県いずれも地方税です。

<個人住民税>
 前年所得を基準に1月1日現在の市町村から課税通知が届く「賦課課税方式」を採用しています。税額の計算方法はほぼ所得税と同じですが、所得控除など各種控除の金額が所得税とは異なります。試験でも所得控除額を問われることが多いので、確認してきましょう。
 税率は、都道府県民税が「課税所得×4%(所得割)+1000円(均等割)」、市町村民税が「課税所得×6%(所得割)+3000円(均等割)」です。
・2021年第1回試験(問題35)解答例

画像32
住民税の所得控除

<個人事業税>
 個人が行う一定の事業所得および不動産所得に対して課税されます。両所得は所得税の課税対象でもあるので、個人事業税は所得税を算出する際に経費とすることができます。試験では、事業主控除の額(290万円)、税率(5%とだけ覚えておきましょう)、税額計算などの出題があります。

画像33
個人事業税

・2021年第1回試験(問題34)解答例

画像35

必須項目5. 消費税

 どのような事業者が課税対象となるのかの判断できるようにしましょう。課税事業者となるのは、「基準期間等での課税売上」によって決まる場合と、「課税事業者となることを申請する」場合とがあります。

<課税事業者となる売上>

 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、原則、消費税を納める義務が免除されます。
 基準期間の条件によって免除となった場合であっても、特定期間において課税売上高が1,000万円を超え、給与支払い額が1,000万円を超える場合には課税事業者となります。

・2021年第1回試験(問題3)解答例

画像35
課税事業者・免税事業者

<簡易課税制度>

 基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額(課税売上高×みなし仕入率)の計算を行うことができます。以前は、一般課税あるいは簡易課税を適用した場合の納税額の計算が出題されましたが、最近は条件などの知識を問う出題です。2018いずれにしても、確実に得点したい内容です。

画像36
簡易課税制度

・2018年第1回試験(問題36)解答例

画像37
一般課税

<届出書類>

 簡易課税制度を利用する場合や、免税事業者が課税事業者を選択する場合には、届出が必要です。

●消費税簡易課税制度選択届出書
 適用を受ける期間の開始前日まで
●消費税簡易課税制度選択不適用届出書
 適用をやめる期間の開始前日まで
●消費税課税事業者選択届出書
 免税事業者が課税を選択する場合、期間の開始前日まで
 2年間、免税事業者になれない

必須項目6. 法人税

 各事業年度の所得に対する法人税を計算する際に、どのような支出が経費(損金)となるのかを確認しておく必要があります。損金を理解していることが、会社の経営に大きな影響を与えるとともに、正確な決算書類の作成は投資家からの信頼にも繋がります。
 試験では、財務諸表(B/S、P/L、CF計算書)の構成等を理解するとともに、損益分岐点の計算ができる必要があります。また、法人所得の計算過程で、損金がいくらか、損金不算入額(会計では計上できても、税法では認められない金額)を判断・計算できることが求められます。

<財務諸表>

 損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、株主資本等変動計算書などの計算書類は、企業の状態や活動を表す基礎的な情報が記載されています。試験でのポイントは以下の通りです。

●貸借対照表、貸借対照表の理解
 製造原価報告書または損益計算書にて「期首商品」「当期仕入」や「期末商品」とされたものなどが、貸借対照表ではどのように記載されるか。その他、損益計算書や貸借対照表の空欄の穴埋め(計算)ができるようにする。また、売上高営業利益率、自己資本比率、流動比率など定番の指標は必ず計算できるようにする。

●損益分岐点、限界利益の理解
 所与された情報から、限界利益がいくらか、損益分岐点売上高などを求める。営業利益と固定費から限界利益が求まる。また、限界利益と変動費または売上高の関係から損益分岐点売上高が求まる。

<損金>

●役員給与
 会社役員等に支払われる給与(現物給与・みなし給与を含む)は、特定の条件を満たす場合に限り損金とすることができます。特定の条件とは以下の通りで、試験対策としては、3項目で十分です。また、役員に対する経済的利益(現金以外で役員給与となるもの)として、低額譲渡や渡切交際費などがあることも知っておきましょう。

・2021年第1回試験(問題48)解答例

画像40
役員給与

《定期同額給与》
 期間開始から3ヵ月以内の改定であれば対象となります。また著しい業績悪化により給与を減額した場合、減額前の金額を含めて損金とすることができます。
《事前確定届出給与》
 次の①と②のうち、いずれか早い日までに「時期」「金額」を税務署へ届け出て支払給与です。
① 次のいずれか早い方から1カ月を経過する日までの期間
 ア:事前確定届出給与を定めた株主総会等の決議をした日
 イ:職務の遂行を開始する日
② 会計期間開始の日から4カ月を経過する日
《利益連動給与》
 利益に連動して役員報酬を支払い、その金額を経費とできる給与で、非同族会社であることや支給額をどのように算定したのかについても事前に設定する必要があるなど、条件が厳しいです。

●交際費
 税法上、交際費として認められるものの選別、そのうち損金となる金額・不算入となる金額がいくらになるのか計算する出題です。まず、交際費となる支出等は以下の通りです。

画像41
交際費

交際費とされた支出が損金算入できる金額は以下の通りです。

画像42

●租税公課
 損金不算入となる租税についてのみ覚えましょう。事業税や地方法人特別税は間違えやすいので注意が必要です。

画像43
租税公課

●減価償却費
 法定償却方法は、所得税では定額法、法人税では定率法ですが、建物やその附属設備等については定額法のみです。最近は「少額な減価償却資産」に関する出題が多くなり、難易度が増しています。細かいところまで理解が必要です。

画像44
減価償却の特例

●貸倒損失
 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち一定の金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金となります。試験では貸付金なのか売掛金の判断が重要ですので正確に覚えておきましょう。

画像46
貸倒損失

<確定申告>

 法人税の確定申告書の提出期限は、決算日の翌日から2ヶ月以内です。その他、中間申告が必要なケース、青色申告の場合のメリット、申告までに執拗な届出書類などは所得税と比較して覚えると良いでしょう。

所得税と法人税の比較

画像48

法人成り

画像48

総括

 典型的な出題が並び、いかに正確に早く回答できるかがポイントです。後半にはやや時間のかかる出題があるので、それまでに時間の余裕が持てるような進め方が大切です。また、ミスを誘う出題が多いので、そこが毎回合否を分ける部分です。基本に忠実に、丁寧に回答するようにしましょう。文章題については、毎回出題傾向が同じで「答え」が***です。ぜひ、正解番号を確認してください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?