旅する日本語応募作品:テーマ「礼遇」

日本の裏側の友達が、はるばるこちらに遊びに来てくれた。一年半かけてお金を貯めて来てくれたらしい。目一杯の、弾けんばかりの、どんな人をも幸せにする彼女の笑顔。その笑顔に何度励まされたことかわからない。

「知ってる?羽田空港からなら私の故郷へもひとっ飛び」

私の故郷は、派手でもないし、トーキョーよりずっと面白くないかもしれない。けれども、私は彼女を招待したかったのだ。車がないと不便で、中心街に出るまで40分もかかるこの町には、何もないようで、たくさんの文化が、根付く。

消えゆく、けれども、決して絶やしてはいけない日本一のもてなしという文化。彼女の手を取り、私の故郷へ、温かい真心を与える旅へとご招待。今度は私が、彼女に笑顔を与える番。

*過去に応募した作品を掲載してます

#shortstory

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