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上野アーティストプロジェクト「現代の写実―映像を超えて」


上野アーティストプロジェクト「現代の写実―映像を超えて」を見てきた感想。

都市の看板や大型スクリーン、そしてテレビやスマホなどを通して写真やビデオの映像情報がめまぐるしく氾濫する現代社会の中で、絵画でしかできない「現代の写実」を真摯に追究する画家たち9人を紹介します。
公式サイトより

2017年11月17日(金)~2018年1月6日(土)
東京都美術館にて開催中

「写実主義」写実主義(しゃじつしゅぎ)、あるいは現実主義は、現実を空想によらず、ありのままに捉えようとする美術上、文学上の主張のこと。リアリズム(英:Realism)、レアリスム(仏:Réalisme)。− Wikipediaより

ありのままに捉えようとする、と掲げられた以上、その命題とどのように向き合うかが大きな主題となっていたと感じました。

ありのままに捉えるには、まず観察が必要だ。どの画家もどのようにモチーフや画面を見るのか、その姿勢に個性が出ていた。

その中でも橋本大輔を紹介したい。

「(写実が成立するのは、)『見ること·描くこと』のあいだの往還を繰り返し、その痕跡の集積によって、環境と自己、自己と他者、そのあいだの共通の事実、越えられない溝、その総体をあぶりだそうという、止むことのない循環と更新の運動においてなのだといえるだろう。」*※橋本大輔「絵画技法の現象学的考察-リアリズム絵画制作の実践を通して-」東京藝術大学大学院 美術研究科芸術学専攻平成28年度修士論文2016年− 画家紹介より

写実というのは、写真と同様に、その瞬間を捉える行為だと思っていました。
しかし静的な1枚を仕上げるには絶え間なく変わっていく環境や他者を、常に更新しながら捉えようとする行為が必要なのだなと感じました。
しかし静的な1枚を仕上げるには絶え間なく変わっていく環境や他者を、常に更新しながら捉えようとする行為が必要なのだなと感じました。

たしかに橋本大輔をはじめ今回の作品には、ただその瞬間というよりは、その場の空気が漂っているようなものがありました。

画家の眼と手は現実の抵抗によって鍛えられ、見る者もそれを追体験する。その結果、誰もいない荒れ果てた場所がまるで聖なる空間のように見えはじめ、永遠のように感じられる。− 画家紹介より

その他の作品も迫力と繊細さが見事でした。

写真を載せたのはごく一部。
大きく艶かしい作品がたくさんある、見応えのある展示です。

上野アーティストプロジェクト「現代の写実―映像を超えて」|東京都美術館

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