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【大切!】トウシューズの国際基準を知ろう

Bonjour !

フランスバレエアカデミーHarukaです。

子供から大人まで、バレエを習っている人なら誰もが憧れるトウシューズ。
トウシューズでクルクル回る姿は「ザ・バレエ」という感じがしますよね!

今回はそんなトウシューズについてのお話。

バレエを何年も習っていて、踊ることに慣れてきたらトウシューズを履いてもOK!と思っている方が多くいらっしゃいます。特に日本では、教室の先生から「次回トウシューズを持ってきなさい」と言われたら履いてもOKのサインという暗黙の了解が出来上がってしまっています。

しかし世界を見てみると、トウシューズを履くためには厳格な基準があり、それらを満たして初めてトウシューズを履くことができます。この基準はIADMS(後ほど詳しく書いていきます)によって定められています。

バレエを安全に楽しむためにも、バレエ教師やバレエを習っている方々自身がトウシューズの基準を知っておくことは非常に大切なことだと思い、記事にまとめることにしました。参考になれば嬉しいです!


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1. トウシューズの基準はなぜ必要?


そもそもバレエシューズを履く時に基準がないのに、なぜトウシューズを履く時には基準が必要なのでしょうか?


画像引用 : https://shop.chacott.co.jp/product/detail003013-0009-35_010.php


トウシューズはご覧の通り、足の指を入れる部分と靴底が硬くなっており、つま先立ちで踊ることができるシューズです。トウシューズを履くためにはバレエシューズを履くよりも強靭な筋力と高度なテクニックを要します。

が、トウシューズを履くための基準はテクニック云々以前に、トウシューズが骨に与える影響を考えて作成されたものです。

人間の骨は、小さい頃は軟骨が多く、骨がまだ柔らかい状態になっています。成長と共に、徐々に硬い骨へと成長して行きますが、この骨が柔らかい状態でトウシューズを履くと、外から強い力を加えることになり、足が変形してしまったり、足の成長に悪影響を与える恐れがあります。

そのためトウシューズを履くためには「なんとなく」「○年経ったから」「踊れるようになったから」というようなアバウトなものではなく、解剖学的な客観的な基準が必要となります。


2. IADMSとは?



IADMSとはInternational Association of Dance Medicine and Scienceの略で日本語では「国際ダンス医科学会」となります。1990年にダンスに関する医療関係者、教育者、科学者およびダンサーによって設立された国際的な学術団体です。現在、約900名ほどの会員を抱えています。

年に4回、学術雑誌「Journal of Dance Medicine and Science」を発行し、ダンス医科学に関する最新の知見を提供しています。


3. IADMSによって定められた国際基準



2019年に発表されたこちらの資料の中にトウシューズを履くためのガイドラインが7つ書かれています。順番に見て行きましょう。


1. Not before age 12.
 → 12歳以上であること

2. If the student is not anatomically sound do not allow pointe work.
 → 解剖学的に健全であること

3. If she is not truly pre-professional, discourage pointe training.
 → プロになることが前提であること

4. If she has weak trunk and pelvic ("core") muscles or weak legs, delay pointe work.
 → 体幹と骨盤(コア)の筋肉や脚力が弱い場合は、履く時期を遅らせる

5. If the student is hypermobile in the feet and ankles, delay pointe work .
 → 足や足首の動きが正常であること

6. If ballet classes are only once a week, discourage pointe training.
 → 週1回以上のレッスン頻度であること

7. If ballet classes are twice a week, and none of the above applies, begin in the fourth year of training.
 → 週2回のレッスンで、①〜⑥を全てクリアしている場合は、4年目から

https://iadms.org/media/5779/iadms-resource-paper-guidelines-for-initiating-pointe-training.pdf


4. まとめ


いかがでしたか?

今回ご紹介したガイドラインは目安であり、個人差はあります。12歳以上なら誰でもOK!というわけではなく、生徒一人一人の身体的条件やレッスン内容などによっても異なるため、指導者が様々な条件を考慮して判断する必要があります。

そのためにもまずは生徒を導く立場にあるバレエの先生がこういった基準をしっかりと知っておくこと、トウシューズを履き始める前にしっかりと説明できることは、子供・大人に関わらずバレエを習っている方々の健康や安全性を考えると非常に大切で必要なことだと私は考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
それでは、À Bientôt !

P.S. 書きながら「トウシューズ」なのか「トゥシューズ」なのか迷いました。。フランスでは"Pointes"(ポワント)としか言わないので、まぁどちらでも良いということにしておきます(笑)