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【地方紹介2】アキテーヌ地方

<地方データ>
■【francerでの地方名呼称】:アキテーヌ地方
■【旧地方圏区分/地方庁所在地】:
アキテーヌ地方(Aquitaine)/ボルドー(Bordeaux)
■【現地方圏区分/地方庁所在地】:
ヌーヴェル・アキテーヌ地方(Nouvelle-Aquitaine)/ボルドー(Bordeaux)
■【旧地方圏区分における所属県と県庁所在地】
●ドルドーニュ県(Dordogne/24)県庁所在地:ペリグー(Périgueux)
●ジロンド県(Gironde/33)県庁所在地:ボルドー(Bordeaux)
●ランド県(Landes/40)県庁所在地:モン・ドゥ・マルサン(Mont-de-Marsan)
●ロット・エ・ガロンヌ県(Lot et Garonne/47)県庁所在地:アジャン(Agen)
●ピレネー・アトランティック県(Pyrénées-Atlantiques /64) 県庁所在地:ポー(Pau)

★地方概要★
フランスの南西部に位置するのがアキテーヌ地方。この地方の中心地はボルドーです。世界的に知られるワインの産地であることは、言うまでもありません。アキテーヌという地方名は知らない人も多いかもしれませんが、ボルドーは知っている人が多いでしょう。言わずと知れた世界一のワインの産地です。それはこの地方がピレネーの麓から流れ出たガロンヌ川、中央山塊から流れ出たドルドーニュ川という2つの大河が流れ、その2つが合さり、大西洋に注ぎ込むジロンド川に合流すると言う水に恵まれた土地で、この2つの川の近くはワインの生産に非常に適しているからです。周りにはサン・テミリオンを中心としたワイン産業で栄える村々も名前が知られてきましたし、沿岸部では牡蠣で有名なアルカションの名前もよく見かけるようになりました。

アキテーヌの大都市、ボルドー

この地方で、最近注目を集めているのがバスク地方です。現存するヨーロッパのどの民族系統から見ても同じとは思えない言葉を話し、ヨーロッパではもちろん世界でも最も古い人種の部類にはいるバスク人が住む地域は、現在、国としてフランスとスペインに2分されています。バスク地方の町を歩いていると白壁に赤く塗られた木製のドアを持つバスク風の家並みが目を引きます。そして、中世には、調度サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者たちが、ピレネー山脈越えをするフランス側最後の宿場町が、このバスクの街々です。独自の言語と風俗を今も守るバスク文化感じられるでしょう。また、沿岸部にはビアリッツを筆頭とする大西洋リゾートとしても人気のある地域です。海と山の恵みを使ったバスク料理も楽しみです。

典型的なバスク風の家々

アキテーヌ地方東部にあたるドルドーニュ河畔は美しい村々が点在していることでも知られています。ベイナック・エ・カズナック、ラ・ロック・ガジャック、ドンムなど、フランスの最も美しい村に登録された村も数多く点在しており、フランスの田舎風情を感じられる素朴な村々もこの地方の魅力と言えるでしょう。この少し北には、世界史でも名前がでてくるラスコーの洞窟があり、この洞窟もアキテーヌ地方に属しています。

ベイナック・エ・カズナックは、映画『ジャンヌ・ダルク』のロケ地となった

★町や村★
地方の中でも地域によって特徴が顕著なアキテーヌ地方ですが、それでも中心となるのは、大都市ボルドーでしょう。フランス4大河川の一つガロンヌ川が流れるボルドーは「月の港」の名前でその旧市街が世界遺産に登録されているフランスを代表する大都市のひとつです。その名はボルドー・ワインで世界的に知られ、この町を語るときにワインを抜きにするわけにはいきませんが、美しい町を見ないでボルドーを素通りしてしまうのももったいないです。ボルドーは、とても古くからワインが造られていたわけではありませんが、中世以降、主にイギリスへの貿易の拠点として発展し、その中心となったのがワインだったので、ワインの生産はずっと力を入れられてきた産業なのです。町は、18世紀のワイン貿易で非常に発展し、旧市街のガロンヌ川沿いでは、バロック様式の美しい広場や、豪華な建物が建てられました。

ライトアップされたボルドーのブルス広場

 ボルドー近郊には同じくワイン生産で知られるサン・テミリオンがあります。何といっても有名なのは赤ワインですが、町の周囲に広がるブドウ畑に囲まれた中世の村は大変印象的な佇まいです。この美しさが評価され、中世の町並みは世界遺産としても登録されました。8世紀ごろに修行僧、聖エミリオンが、ここに洞窟を掘り生活し始めたのが、この町の始まりといわれており、この聖者の名前を取り、サン・テミリオンという街の名になりました。

ブドウ畑に囲まれた中世の村サン・テミリオン

 南部にあるバスク地方では、伝統的に中心都市としての立場を担ってきたバイヨンヌ、大西洋岸リゾートのビアリッツという町を中心に発展していて、国境の街サン・ジャン・ド・リュズ、ピレネー山麓のサン・ジャン・ピエ・ド・ポール、そのほか、サールやアイノアといったフランスの最も美しい村に登録される魅力的な村々が点在しています。

バスクの沿岸都市、サン・ジャン・ド・リュズ

 東部のペリゴールと呼ばれる地域では、尖塔が印象的な大聖堂を有するペリグーや、中世から、ルネッサンス、17世紀の建物が混在して残る街並みが美しいサルラが比較的大きな町です。サルラは、13~14世紀に商業の中心地として繁栄し、百年戦争(1337~1453年)の間に荒れ果てた建物の修復を行ったり、その後増築したことによって、独特の建築物が生まれました。1962年に、提唱されたマルロー法(歴史的町並み保存法)の適用第一号となり、見事に復元された美しい町全体が博物館のようです。ドルドーニュ川とヴェゼール川に囲まれ、くるみと栗の木々が多くあるペリゴール・ノワール(ペリゴール南東部)の中心都市です。

中世の趣きがしっかりと残るサルラの旧市街

★名産品と郷土料理★

アキテーヌ地方には実は様々な名産品があります。しかし、圧倒的なイメージを持つ「ワイン」が特に注目されるので、他の名産品があまり注目されていないようにも感じます。しかし、土地を見てみると西には外に出ていくための大西洋、そして、スペインと繋がるピレネー山脈があり、古くから交易が盛んだった地域です。

ボルドー近郊には、メドック、グラーヴ、ソーテルヌ、サン・テミリオンにポムロール、その名を聞いただけで芳香が漂ってきそうな世界屈指の高級ワイン産地で、赤、白、ロゼと様々なワインが生産されていますが、やはりボルドーのワインと言えば赤ワイン。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローを主体品種としたフルボディのしっかりとした赤ワインは、この地方の名産品の筆頭となります。

ボルドーの赤ワイン

このワイン生産の際の澱の除去には、昔、卵白を利用していたのですが、卵白を使うと卵黄が余ってしまうということで、この卵黄を使った焼き菓子も伝統菓子として知られています。これが独特の形状をしたカヌレです。

伝統菓子のカヌレ

 大西洋への港町として発展をしたバイヨンヌには、外からも多数の貿易品が集まるようになり、フランスに初めてチョコレートが伝わったのはアキテーヌ地方となります。その中でもバイヨンヌはチョコレート生産でしられています。また、イタリアのパルマと双璧を成す美食の生ハムとして、「バイヨンヌのハム」も非常に有名です。

東部のペリゴール地方では、「フォワグラ」や「トリュフ」、ボルドー北部のアルカションでは、豊富なプランクトンを餌にした「牡蠣」の生産も盛んな地域。全体的に、開けた平地が多いアキテーヌ地方ですが、南部のピレネー山麓は険しい山々が連なり、この山間部では、「イルレギー」や「ジュランソン」と言ったボルドー近郊とはまた違った風味のワインが作られています。山岳地帯の羊飼いたちによって作られていた羊乳チーズの「オッソー・イラティー」やピマン・デスペレット(エスペレット産唐辛子)を使った野菜の煮込み「ピペラード」など、バスクの食文化も非常に興味深いです。

ピレネー山麓で作られる羊乳チーズ、オッソー・イラティー

 最後に、「エスパドリーユ」や「バスク・リネン」など、ラウブル(バスク十字)をモチーフにしたバスク雑貨も各地で目にすることができます。可愛くお洒落なバスク雑貨、キッチン用品やリネン類など、生活に使えそうなものも多く、お土産などにもピッタリです。

カラフルなバスクリネンを使った雑貨など

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