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【地方紹介6】シャンパーニュ地方

 <地方データ>
■【francerでの地方名呼称】:シャンパーニュ地方
■【旧地方圏区分/地方庁所在地】:
シャンパーニュ・アルデンヌ地方(Champagne-Ardenne)
  /シャロン・オン・シャンパーニュ(Châlons-en-Champagne)
■【現地方圏区分/地方庁所在地】:
グラン・デスト地方(Grand Est)/ストラスブール(Strasbourg)
■【旧地方圏区分における所属県と県庁所在地】
●アルデンヌ県(Ardennes /08)県庁所在地:シャルルヴィル・メジエール(Charleville-Mézières)
●オーブ県(Aube/10)県庁所在地:トロワ(Troyes)
●マルヌ県(Marne /51)県庁所在地:シャロン・オン・シャンパーニュ(Châlons-en-Champagne)
●オート・マルヌ県(Haute-Marne /52)県庁所在地:クローモン(Chaumont)
 
 
★地方概要★
シャンパーニュ地方。この地方は何よりもまず発泡性葡萄酒の頂点として世界中にその名が知られるシャンパーニュの産地として知られています。旧行政区分では正式名称シャンパーニュ・アルデンヌ(Champagne-Ardenne)地方ですが、こちらではシャンパーニュ地方と記載しております。
 
北フランスらしい平地が続くこの地方は、東西にマルヌ川が流れ、その近くには、モンターニュ・ドゥ・ランス、ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌ、コート・デ・ブランという世界に名だたるシャンパーニュを作るブドウ畑が続いています。初夏から秋にかけてはブドウ畑の風景がとても美しく「緑のシャンパーニュ」という形容詞を付けたくなります。町はフランス王の戴冠式が行われてきたことでも有名なランス、大手シャンパーニュメーカーの本社が軒を連ねるエペルネーが有名です、中部には地方庁所在地となっているシャロン・アン・シャンパーニュ、そして南部には中世に発達し交易の中心地となったトロワの町などが比較的大きい街です。

緑がどこまでも続くブドウ畑の風景は非常にフランス的

今や発泡酒シャンパーニュの生産地として一躍知られるようになったシャンパーニュ地方ですが、この地方はフランスの歴史においても重要な地方です。まずは、ランスの大聖堂。ここは歴代フランス王が正式に戴冠をし、王になる町であるのですが、その最初の王でありメロヴィング朝の創始者、クローヴィスがキリスト教の三位一体説を唱えるアタナシウス派に改宗した街でもあります。ここからフランスが始まったといっても過言ではありません。そして、もう一つは何と言ってもジャンヌ・ダルク。彼女はドンレミ=ラ=ピュセルという村の生まれで、この村そのものはロレーヌ地方に属しますが、ロワール地方のシノン城にいたシャルル王太子(後のフランス王シャルル7世)をオルレアンの戦いで勝利に導き、そしてランスの大聖堂で戴冠させたエピソードはあまりにも有名です。

ランス大聖堂の前には、ジャンヌ・ダルクの像が置かれている

ちなみにランスは事実上のシャンパーニュ地方の中心地となっており、人口は20万人を超えますが、ランスは地方庁所在地でもなければ、県庁所在地でもありません。その理由としては、1825年までフランス王の戴冠式がこのランスの町で行われていたことに由来しているようです。フランス革命の後、フランスの地方や県が正式に決められるようになった際、フランス人が「王の戴冠式の伝統を保持する町」であるランスを中心地とするのを避けたからとされています。
 
★町や村★
 
上記の通り、シャンパーニュ地方の中心地は、ランスです。パリからTGVですぐに訪れることもできますので、日帰りでの訪問も可能です。歴史的にも非常に重要なランスの大聖堂を中心に町が広がっていますが、この大聖堂は非常に見ごたえがあるので、是非しっかりと時間をかけて見学したい歴史遺産です。クローヴィスの洗礼を示したファサードのレリーフや「微笑みの天使」として、知られる天使像。荘厳なゴシック様式の大聖堂の中では、シャガールが手掛けたステンドグラスがあるなど、見ごたえのある大聖堂です。すぐ近くにあるランスの歴史的な美術品を集めたトー宮殿と共に必見の箇所となっています。もちろん、町中には有名なシャンパーニュ・メゾンのワイン・カーヴなどもありますので、テイスティングとワイナリー見学などもお楽しみいただけます

ランスの大聖堂前は、にぎやかな広場となっている。

ランス近郊には、ブドウ畑が広がります。ランス近郊に広がる産地がモンターニュ・ド・ランス、そしてランス南のエペルネーの近郊に広がる産地のが、ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌです。この2つの町はシャンパーニュ生産地としても非常に重要な場所といえます。ランスからエペルネーへと続く道を走ると、初夏から秋にかけては一面のブドウ畑という絶景に出合えるでしょう。この地域は、「シャンパーニュの丘陵・メゾンとカーヴ」の名で世界遺産にも登録された地域です。エペルネーもシャンパーニュ生産の中心地ですので、モエ・エ・シャンドンをはじめ数々の有名シャンパーニュ・メーカーが軒を連ねます。エペルネーより北へ5kmほど、近郊のブドウ畑を走り、丘を登ったところにあるオーヴィレ村はシャンパーニュの生まれた場所であることで知られています。修道士であったドン・ペリニヨンが生涯をかけて作り上げた発泡性葡萄酒シャンパーニュ、それが生まれたのが、このオーヴィレ村なのです。
 
南部のトロワは、シャンパーニュ生産の中心地から少し離れますが、趣きのある旧市街が残っており、散策には絶好の街です。旧市街には木骨組みの素朴な家並みが続き、点在する教会には中世から残る美しいステンドグラスが残っています。その芸術性の高さと町としての佇まいが素晴らしいところですので、機会があれば是非とも訪ねていただきたい町の一つです。

木骨組みの家並みが続く、トロワの旧市街

★名産品と郷土料理★
 
シャンパーニュ地方の名産品は、言うまでもなく発泡性葡萄酒「シャンパーニュ」。華やかな場面に欠かせないシャンパーニュはシャンパーニュ地方で作られていることに加え、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネが使われていること(単一種でもミックスでも可)、醸造工程で瓶内二次発酵を行うことが義務付けられております。せっかくですから、是非現地でも味わいたいものです。

爽やかな口当たりのシャンパーニュ

そして、このシャンパーニュと一緒に食べるとおいしいと言われているランス名物のお菓子が、ビスキュイローズ。ランスにあるフランス最古のビスケット店といわれるお店で作られる、その名の通りピンク色のビスケット。 ラングレ通り(Cours J.B.Langlet)に店舗を構える「メゾン・フォシエ(Maison Fossier)」で作られますが、ランス市内ではいたるところで目にします。ピンク色のほんのり甘い懐かしい味のビスケットです。

メゾン・フォシエの「ビスキュイ・ローズ」

地方のチーズとしては、シャウルスが有名です。牛乳から作られる白カビチーズで、同名のシャウルス村で作られます。名前の、「シャ」は「ネコ」、「ウルス」は「クマ」を意味し、街の紋章やパッケージにもネコとクマが描かれています。白カビチーズとしては、長い歴史を持つチーズで、なめらかな白カビに包まれ、濃厚で、フルーツの香り、やさしい食感と繊細なクリームのような味わい。様々な画面が万能的に使えるチーズです。赤ワインとの相性もよいですが、シャンパーニュにも合います。

シャンパーニュ地方のチーズの代表格、シャウルス

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