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ラジオトーカーは2種に分類できる

無料音声配信アプリ「Radiotalk」で配信する人たちのことを通称「ラジオトーカー」と呼ぶが、このラジオトーカー(以下トーカー)はその目的ごとに大きく2つの種類に分けることができるように思う。音声配信で他人を楽しませたい・役に立ちたい「エンタメ派」と、友達や居場所を求める「コミュニケーション派」だ。

■コラボ権・ゲスト権を売買することの是非

Radiotalkではコラボ(=リモート通話等で一緒に話し、その様子を配信する)がしばしば行われるが、ときにこの「コラボ権」を売買(※)する行為が行われ、それに対する賛否が取りざたされることがある。アンチ側の言い分を明文化するならば「たかが素人のトーカーが『金出せばコラボしてやる』とは何様のつもりか」ということだろう。実はこの批判の是非を問うためには前述の「エンタメ派」「コミュニケーション派」の区別が欠かせないのだが、なぜかそれをごっちゃにして論じられるケースが散見されるため、何かの参考になるかもと思いここに自分の考えを書き記しておくことにした。
(※)【コラボ権の売買】例えば「500円分のギフト(投げ銭)をくれたらコラボしますよー」というやり方が可能

Radiotalkを友達作りの場や、心地よい居場所として活用する「コミュニケーション派」にとって、他トーカーとコラボすることは「新しい友達と交流を深める通話や会話」いわば友達との電話みたいなものだと思う。もっともRadiotalkは音声配信、つまりは「リスナー」という第三者たちがいるため「本人たちは楽しくお話しするひととき、リスナーはそれを傍で聴いている」ようなイメージになるので、そこがプライベート通話とは異なる。そんな「コミュニケーション派」にしてみれば、コラボ権を売るというのは「友達を通話に誘ったらお金を請求された」に等しい行為なのかもしれない。それはあんまりだ、非道い行いだ、と感じるのもよくわかる。
一方「エンタメ派」にとってのコラボとは「ゲストを迎えることでいつもと違った面白い番組作りをしてリスナーに楽しんでもらう」という、前者とは異なる意味合いになってくる。誤解を恐れずに言えば

「友達とのおしゃべり=自分の楽しみ」(コミュニケーション派)
「エンタメ番組作り=リスナーを楽しませたい」(エンタメ派)

という感じだろうか。もちろんこれはどちらかに優劣を付けようというものでは全くないし、この中間くらいのトーカーもたくさんいるが、分かりやすく説明するためあえてハッキリ2つに分類してみることにする。

■エンタメ派にとってのコラボは死活問題

エンタメ派トーカーにとっては誰をゲストに迎えるか?どの番組とコラボするか?は、己の番組の今後を左右する重要なファクターだ。仲良しだから、誘われたからという理由で軽々にコラボをするわけにはいかない。中には「番組の質を落とさないため、リスナーをがっかりさせないためコラボは一切やらない」としているトーカーもいる。ところがそんな番組であっても、たとえばチャリティーイベントや周年記念回等で「リスナープレゼント」を企画する際には、この「コラボ権」「ゲスト出演権」を出品することがある。もちろん「番組オリジナルステッカープレゼント」等の物品でも良いのだが、発送時に相手の住所を聞く必要があったりしてハードルが高いため、Radiotalk内で受け渡しできる「コラボ権」等が好まれる。だが、これはあくまでもサービスとしてのコラボ、ゲストであり、自身の番組としてはハイリスク・ほぼノーリターンになる(場合によってはマイナスになるリスクさえある)ことを覚悟している。または、マネタイズの一環として「コラボ権」の有料販売を行うケースもあるかもしれない。
そんなエンタメ派であるからして、自分をゲストに呼んでくれた他番組のためには全力を尽くすであろうことは想像に難くない。ゲストを呼ぶリスクは人一倍理解しているわけだし、その上有料コラボ権であることを考えれば、同じ番組作りに携わる者としては何とか相手の番組を盛り上げようと動くのはごく自然なことだろう。ときには自分が楽しいかどうかはそっちのけで奉仕することもあるはずだ。

■傷つくな、傷つけあうな

言うまでもないことだが、これはあくまで「音声配信者としての姿勢」の違いであって、有名無名、キャリアや人気は一切関係がない。無名の新人トーカーであっても、エンタメ派であればコラボには「有料」という制約をかけることで、マネタイズやある程度のリスクヘッジ(※)を画策するのはごく普通のことだと思う。それでも「素人ゲストにお金払うなんておかしい!」という考えの人ももちろんいるとは思うが、冒頭に記した通りそこはコミュニケーション派とエンタメ派のスタンスの違いだから、どちらかの言い分を通そうとするのではなく、お互いの異なる考え方を尊重しあってそれぞれに配信を楽しむのが良いのではないだろうか。「せっかくコラボ誘ったのに断られた」といって、ショックを受けたり怒ったりする必要はまったくないし、逆に「自分の番組特性からしてコラボしたくないけど、誘われたからには断れない」というものおかしな話だ。コミュニケーション派とエンタメ派、それぞれの番組はお互いに相容れない存在・・・ということでは決してなく、Radiotalkへの取り組み方は人それぞれ、実はとても大きく違っているということを理解しあって「みんな同じでなくても全然OK、それぞれが素晴らしい」という発想に至ることで、お互いが不要に傷ついたり傷つけあったりすることが無くなる世界を望んでやまない。
(※)【リスクヘッジ】お金払ってまでコラボを依頼してくるなら相手もエンタメ派か、少なくともそこに理解のあるトーカーだから、自分の番組を曲げることなくコラボできるだろう…という考え