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『スマホ脳』ともうなんか色々なことが手遅れなおじさん

 インターネットから離れようとすればするほど、その引力に抗えなくなる。
 スマホの触りすぎは良くないと頭ではわかっていても、気付いたら指が画面を叩いている。

 『スマホ脳』という本で、スマホには依存性があるし知力を下げる恐れがあるとかいった至極当たり前のことが書いてあったけれど、それを目にした後にスマホを触る回数が激減したかといえばそうではなく、むしろスマホを見る時間が増えた気がする。

 『スマホ脳』の著者曰く、スマホの触りすぎで人間の脳は退化しまともな思考能力や集中力が失われていくらしいのだが、なるほどもう既に脳細胞の過半数が死滅してしまっているのかもしれない。何故なら正直『スマホ脳』に何が書いてあったのか実際よく覚えていないから。スマホの触り過ぎは良くないということは確かに書かれていたけれども、その他具体的なことに関してはあやふやな記憶から抽出したので実際に思考能力や集中力が低下するのかはわからない。わからないというか忘れた。

 しかしこれは逆に言えば、脳が正常に機能しないのをすべてスマホのせいにすることが出来るということだ。

 やらなきゃいけないことを先延ばしにしてしまうのはスマホのせい、対人能力が低いのはスマホのせい、スマホを触り続けてしまうのはスマホのせい、自己肯定感が低いのはスマホのせい、年収が低いのはスマホのせい、就活に失敗したのはスマホのせい、肌が荒れるのはスマホのせい、結婚できないのはスマホのせい、最近のジャニーズグループの名前の読み方が初見で絶対わからないのはスマホのせい、旅館の夕食で出てきた茶碗蒸しに嫌がらせさながらに銀杏が2個入ってるのもスマホのせい、Youtuberの不祥事で盛り上がれるペラペラな世の中になったのもスマホのせい、この世で最も相性悪いんじゃないかという夫婦に限って世間体を気にして離婚出来ないのもスマホのせい、あなたの親が買ってきたブリーフがキツすぎて股間が蒸れるのもスマホのせい……。

 すべてスマホに責任を転嫁すればこの世の中の大体のことは解決する。
 故にこの世にスマホを生み出した人物は大罪人である、とまでは言わないが、かのスティーブ・ジョブズが子どもにiPadを与えたがらなかったという話を鑑みるに、使いようによっては毒になる媒体だということだ。

 とりあえず、この忙しない時期はスマホを触るのをやめて予定帳にやるべきことをリストアップして一個一個着実に片付けていかなければいけないのだが、ベッドに横になりながらスマホでこのnoteを書いている時点で到底実行に移すのが難しいと思われる。
 もうスマホを手にした瞬間に、色々なことが手遅れになってしまったのかもしれない。




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