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何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

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#コンテンツ会議

シンデレラは図太い女

一時期シンデレラ体重なる物がTwitterを騒がせておりましたが。

本当のシンデレラの意味を、みんな誤解しているのだ。
儚くて美しい(=うすっぺらい)イメージと、今まで冴えなかったのに魔法で変身して王子様に見初められるメタモルフォーゼの輝きに目をくらまされているのだ。

本当のシンデレラはそんなものではない。虐待されていた若い娘が、どうしても舞踏会にいきたいと悔しさに涙を流す。そこに現れたこの世

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平凡に、でも一生懸命に、幸せになるということ

平凡に、でも一生懸命に、幸せになるということ

最終回の放送から早くも2週間以上が過ぎ、世間の関心はすでに『まんぷく』に移ってしまっているだろうけれど、やっとのことで昨日『半分、青い。』を最後まで見終わった。

朝ドラはこれまでちょこちょこ見てはいたものの、半年というスパンの長さゆえにちょっと忙しくなると観れなくなって、結局離脱するということを繰り返してきた私にとって、はじめて完走したドラマだった。

あえて朝ドラらしからぬ展開をいれたことで賛

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「悔しい」の原点分析。何と生きるかの選択について

「悔しい」の原点分析。何と生きるかの選択について

体温と景色の相性が悪い夜が不思議と続いた今年の冬。

コンビニおでんの容器を、まっすぐ保つことすら危うい。わたしのバランス感覚は、あまりよくない。だからこそ、それを何度も思い知ることのないように、不安定な坂道ばかり選んできたのかもしれない。

ちいさい頃から、音楽が大好きだった。絶対音感があって、相対音感もあって、難しい曲も弾けた。ピアノは北の部屋にあって、寒い冬の日もハロキティーの“はんてん

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“普通じゃない”自分の幸せはどこにあるのか?/『ダルちゃん』を読んで

“普通じゃない”自分の幸せはどこにあるのか?/『ダルちゃん』を読んで

私は普通じゃないから 余計なことをして普通じゃないから みんなにうとまれる普通じゃないから 幸せになれない

だから
いつも人目を気にして
誰かになりきって
誰かに合わせて
そうしていなくちゃ

そうして生きていく以外に
どんなやり方があるのかわからない

はるな檸檬 『ダルちゃん』より

『ダルちゃん』は資生堂のサイト「花椿」で連載されていたマンガで、先日小学館より書籍化され発売された(全

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本屋が潰れるのは結局本屋のせいだ

本屋が潰れるのは結局本屋のせいだ

本屋が町からなくなることに対する危惧については常に叫ばれているのだが、大手書店系列の仕事をしてわかったのは残念だけど本屋が潰れるのは本屋に60%責任があるのは避けられないという事だった。

Amazonのせいでもある、それは大きな事実だ。
でも30%くらいだ。

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「誰の人生を生きてきたんだろうね」獣になれない私たちのセリフに思うこと

「誰の人生を生きてきたんだろうね」獣になれない私たちのセリフに思うこと

ドラマ「獣になれない私たち」を観ていたら、新垣結衣さん演じる晶の「私たち、誰の人生を生きてきたんだろうね」というセリフがあった。

それは、彼女が会社でも恋人に対してもずっと人の期待に応え続けてきたことを振り返って出た言葉だ。誰かに必要とされて人の役に立つよろこびを裏返すと何もないことに驚き、途方に暮れる彼女の気持ちはすごくよくわかる。

仕事で頼りにされ、役に立ち、感謝されることは大きなやりがい

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目の前に現れた扉は「どこでもドア」だった。

目の前に現れた扉は「どこでもドア」だった。

10月29日(月)に開催されたほぼ日の学校番外編「たらればさん、SNSと枕草子を語る。」に参加してきました。

お話された内容などは、今後「ほぼ日の学校オンラインクラス」で発表されると思うので、詳しくは記載しませんが、すこしだけ感想を書いておこうと思います。

お話の内容は第一部、第二部に分かれていました。一部はたらればさんによる古典の楽しみ方についてや、SNSでの発信について。また、「枕草子」が

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人との関わりが、人を変える

出会いは人を変える。人との関係性によって、人は変わることができる。映画『レオン』をみて、そう強く感じた。

マチルダの可愛さはさることながら、彼女との出会いによって起こる、レオンの変化が強烈に印象に残っている。
自己を開示し、語り合い、笑い合う姿。親のような、1人の男性のような、相手を思う目の動き、態度、言動。文字を覚えようとすること。”もしものことがあったら”と、それまでよりも、未来を考えること

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きみが「わからない」のは「わかる」を理解していないからだ。

きみが「わからない」のは「わかる」を理解していないからだ。

「わかる」とは、どういう感覚なのだろう。
ぼくたちは、説明を聞いて「わかった!」と言い、話をしていく中で「腑に落ちた」こともある。
会議の議論を聞きながら、何を話しているのか「わからない」と言い、彼や彼女に、「なにもわかっていないくせに!」と言うこともある。
ワールドカップについて詳しく話す人に、サッカーのことが「わかる」人だと思う。いい絵だ、いい壺だとわかる人もいれば、わからなくて騙される人もい

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「やりたいことが見つからない」迷路から抜け出す方法

「やりたいことが見つからない」迷路から抜け出す方法

「別にやりたいことなんかないし、志望動機だってない。なのにこの空白を埋めないとエントリーする権利すらない」

そんな風に就職活動が大嫌いだった僕だったが、神様のいたずらなのかわからないが、社会人になってからずっと人事の仕事をしている。
人事チームの中でも採用担当として、どうやったら自社とマッチする候補者と出会えるかを考えたり、対面で沢山の人と面談をするのが僕の主な仕事だ。

新卒も中途も、ビジネス

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人が最も美しい瞬間は、「覚悟」を決める瞬間だと思う

人が最も美しい瞬間は、「覚悟」を決める瞬間だと思う

覚悟を決める瞬間は美しい。

会社の営業でアポイントメントを取るために電話機の前に座る瞬間も、片思いしている好きな子を帰り際に袖を引っ張って引き止める刹那も、独立や起業をしようと思って上司に退職の意を伝えた日も。

覚悟なんて言い回しを使うと、何か壮大な決心をしなければならない雰囲気が出るけど、自分の中で何かを”決めた”ら、それは覚悟した時だ。

どんな些細なことでもいい。人が「変わってやる!」と

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にしかなこがあらわれた

にしかなこがあらわれた

ここ数日『まにまに』というエッセイ集を読んでいる。書いたのは、西加奈子さん。すすめてくれたのは、うちでアルバイトをしてくれているチャン・ワタシ(普段は本名にさん付けで呼んでいるが、この名はなんだか呼び捨てがしっくりくる)。

このエッセイがまあ、めちゃくちゃおもしろい。日常を観察するちょっとだけ意地の悪い視点と、それをユーモラスかつリズミカルに文章に落とす確かな筆力。そして、くさしても包む博愛。「

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「やりたいこと」のむこうがわ

「やりたいこと」のむこうがわ

子どものころ、
「好きなことをみつけよう」
「得意なことを伸ばそう」
「将来の夢は?」
なんて言葉をよく耳にしていた。

好きなこと、できること、得意なこと。
自分に質問しながら見つけていって、ある程度伸ばせたかな、と思ったところで就職の面接を受けてみると、こんなことを言われたりする。

「あなたはこういうことができると言っているけど、うちの仕事は他にも…だから、それ以外のことをやることになっても

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