見出し画像

ムスタンへの旅 12 (ローマンタン脱出)

ローマンタンに到着して5日目 昼前に電話が通じポカラの友人から「 今日の午後から天気が回復しそうだ」 と連絡が入った。 トラックバスは雪の影響が強く残るので当面運行はないとのことだったが、チャランまで戻れば何かしら帰路へつながるので、 明日6日目にローマンタンを出発することになった。
最終日の午後は予報通り晴天になったローマンタンを歩きまわる。

遠くに犬が咆哮をあげ雪原を疾走していく。何か獲物を見つけたようで群れで狩りをしているようだ。 チベットマスチフなのか判らないが大きくて獰猛そうな犬。 ガイドは犬がいたら気をつけろと言っていたが、 一番強い動物はここでは犬なのではないだろうか?

夜は宿の人と一緒に酒を飲み別れを惜しんだ。

翌朝 カタ(首からかけた白い布)を頂き出発。 さすがに寒くて着ぶくれてスタート。

電波塔のある丘まではしっかり締まった雪を踏み晴天の中を進んだが、その先は雪が積もり踏み跡もないのでガイドと先頭を交換しながら雪を踏んでいく。

ローマンタンから1時間半ほどのところに瓦礫があり、人が手を振っている
近づいていくとそれは老婆で、人間関係が嫌になってローマンタンを出てこの瓦礫で暮らしているという事だった(上写真)。 「何か食べるものをくれないか?」と言うのでチョコレートとビスケットをあげたが・・
こんなところでも人間関係が嫌になることがあるんだ、と考えさせられたり、 あの吹雪の中でここで生き抜ける人間の力強さにも驚かされる。
少し話をしてみたいが、ガイドは東の空の暗い雲を指さし、先を急ごうというので彼女とお別れした。 

チャランまで1時間ほどのところでヤクの死骸を見つけた。 連日続いた吹雪で行方不明になり死んだことを後から現れたヤク飼いに聞いたが、ヤクが死んでしまうほどの気象条件 人間が生きるには相当厳しい環境だと改めて感じることが出来た。

現れたヤク飼いにヤクの死骸を教える 前方崖際にヤクの死骸が見える。

チャランに到着 唯一営業していたDAMODR KUNDA GUEST HOUSEに泊まる。  道の状況を確認するとやはりトレッキングルートや車道は雪に覆われ通行は不可、帰路につくにはトラックジープに頼るしかないことを改めて聞くことが出来た。