見出し画像

ムスタンへの旅 04 (北 進 )

ゲストハウスの部屋で寒さを覚え目が覚めた。 窓から外を見ると空には雲一つない。昨日までは曇天が続き 時にはちらちらと雪が降ったときもあったのだが今日は晴天のようで空気はぴんと張りつめ、気温は下がったようだ。 今日からスノーエリアに入るので早めに出発した。

カリガンダギ川右岸を進みムスタンゲートとなる橋を渡る。 ここから先はカリガンダギ川は峡谷の中を流れ、道は峡谷の上または中腹を進み川沿いを歩くことはなくなる。

橋を渡り車道から離れ右手の急坂を上りツェレの村に入る。

村中で焚火をしていたおばあさんは『こんな寒いときに来て、寒くないか?焚火に当たっていきなさい(訳ガイド)』と小枝を沢山くべてくれた。

標高が高くあまり木が育たない地域の薪は大切な物、その心遣いにしばし足を止めサコッシュに入れていたクッキーを一緒に食べお話しをする。

チベット文化圏では写真のように屋根のへりに薪を積み重ねている。これは大きく二つの意味があり、雪や雨から泥壁を守るためと、富を表す意味があります。屋根に乗った薪は太ければ太いほど古ければ古いほど良いとされ
その家の富を表すそうです。この風習は太い木々がなくなるローマンタンでも見ることができ 薪のある地域からわざわざ持って来ているそうです。

ツェレの村を過ぎそのまま標高を上げギャッカルの村に向かう(写真:ツェレの村を上から振り返る)が雪に渓谷が覆われているのが見て取れる。
丁度ギャッカルの村から人が歩いてきたので様子を聞いて見ると『村までは小道を歩いて行けるがその先は全く進めない。もしかしたら村を経由しない車道なら先の村まで行けるのではないか?』との事。ツェレの村のおばあさんもここ数日ギャッカルの村以外北方から来た人はいないと言っていたが・・・。

車道はトレッキングルートとは違い渓谷の中腹を回り込んで走っているので
だいぶ遠回りになるが、それしか先に進める可能性は無いと車道を進むが、すでに雪で車が走れなくなって相当長い時間が経つので場所によっては積雪がひざ下、時に50㎝を超え太ももまで達した・・汗だくになりながら進む。

同行者はガイドに任せ 自分は偵察を兼ね雪を踏み 道を作る。
積雪が多いところは道をショートカットして雪の少ない斜面を登る。

通常より大幅に時間はかかったが天候に恵まれたおかげで峠を越えることが出来、無事サマー村(SAMAR)に到着する事ができた。

雪に閉ざされたサマー村。