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本店の味、変わらぬ味

さくらいは"根明"だね。

社会人一年目、私は喫茶店で働いていた。
店舗間の連絡網があり、
朝は「開店準備OKです。」と、
準備を終えたら開店連絡をする決まりがあった。

私たちのお店が電話をかける先は、本店と言われる店舗だった。

私は朝番が多かった。
朝はモーニング営業あり、自宅からお店まで遠い。
そのため、朝は4時半起き。
…ねむたぁい。

電車も乗り継ぎ多く、10分間隔で寝たり起きたり繰り返し、体がだるかった。

「おはようございます。」
ペアの人と挨拶。
みんな朝から元気な人はいない。

店に着いたら鍵を開け、
制服に着替え、
各社の朝刊を用意する、
電気つけたり電源を入れる、
納品をする、レジのお金を用意する、
食材やアイスコーヒーを仕込む。
ちょっと会話を挟みつつ、開店までに作業を進める。

最後に開店準備OKの電話をかける。

「おはようございます。○○店のさくらいです。
開店準備OKです。」

初めてかけた日。(出勤1日目だが笑)

『おっはよーございまぁーす!』

…ん?なんだ?!
鳴り響いたのは、超元気なおじちゃんの声。
耳を疑った。朝6時台とは思えない。
めざましテレビの時計のキャラクターばりやん。

『あれ?新しい子ー?頑張ってねー!』
「あっ、はい!今日からです。よろしくお願いします!」

電話を終えたわたし…衝撃的だった。

なんか面白い人だー!!!
「めちゃくちゃテンション高い方が朝、電話に出てくれましたー!」とみんなに報告している自分がいた。

そしたら、
「あー、本店の○○店長だよ!あの方、すっごいおもしろいよねー。」とのこと。
だいたい朝、電話に出るのはその店長さんらしい。

そういうわけで、毎朝電話をかける関係になった。笑

朝のささやかな楽しみになっていた。
"また○○店長だといいなぁー。"
そしてほとんど期待を裏切られることはなかった。笑
いつも面白いし、ほとんど毎日電話に出る。
(今思えば、休みがない&毎回朝早く出勤されていたのだろう…。)

ある日…。

『今日もおはやいですねぇ〜!
あっ、さくらいさん。今日夜空いてる?
飲みに行こうよ!』

電話をかける関係になり、一カ月経ったくらい。

実は顔もお互い知らなかった。
もちろん、どんな人かも知らない。
知るのは電話越しの声のみ。

これだけ聞くと、いかがわしい感じだ。笑
でも私は即答した。

「空いてます!是非!!」

本店の○○店長の携帯番号を聞き、
じゃあ上がったら連絡します!と約束した。

周りのスタッフに一連の流れを話し、やったー!と喜んでいたら、
"ええっ?!大丈夫?!"と心配の声、
"なんでそんな朝の連絡で仲良くなってるの?!"と不思議そうだった。

よく考えたら、それが普通だ。

朝の電話で知らないおじさんと仲良くなり、しかも飲みに行くって…。
余談だが、私のアホさが炸裂し、
メモした携帯番号間違えて、本店に直接電話し、スタッフさんを頼りにようやく居酒屋につけた。笑

『さくらいー、遅いよー!』

「すみませんー!携帯番号聞き間違えていて、遅刻しました…。」
そんな遅刻の経緯も話し、

「やっぱり違うねー!おもしろい!」と。
恥ずかしかったが掴みはOKでしょうか?笑

本店の店長さんと思われる方と、
先輩社員っぽい(20代)男女二人。
すごい。気まずくならないように、しかも新入社員のためにセッティングしてくれたんだね。

『一人で本当に来てくれると思わなかったよー!怪しくなかったのー?』

わたしは、朝の電話にとても感動したこと、
そして毎朝の楽しみであることを伝えた。

『本当にー?それは嬉しい!』
本店の店長さんは続けて言った。

朝から普通はみんな元気ないじゃん?
だから、自分は一番元気であろうと思うんだ。
朝、店のドアを開ける時は、誰もいなくても、
「おっはよーございまぁーす!」って。
そうすると、元気だなぁーって自然に笑えるでしょ?

電話でも、元気にかけてくる人なんていないよ。
だから、少しでも元気になってもらおうってね。

さくらいのお店の子、朝かけてくるのは○○さん、○○くん…結構覚えてるんだよ。
どんな子かなって気になるし、ついついね。
変なこと言ったら反応が面白いんだよねぇ。

店長が楽しくなくて、誰が楽しい?
そう考えてみたら、そうなるよね。

『でも、さくらいは珍しいよ。
なんか違うなーって、新しいタイプ来た。
電話越しで笑ってるでしょ?楽しい?元気だよねー!
普通は電話で仲良くなって、飲みに行くなんてないよ。笑』

ええー?!めちゃくちゃ眠いですよ!!
笑ってたかな?!

『どんな子だろうって楽しみだったんだけど。電話の話もそうだし、今会ってみてさ…』

さくらいは"根明"だよね

え?!まあ、めちゃくちゃ暗くはないけど…。
世間で言うようなテンション高い奴じゃないし、むしろ無駄な人付き合い嫌いだし、集団生活苦手だったし。

その当時は、そんな思ってるほど明るくないよーって思っていたけど。
今は、自分が思うほど暗くもないなって思えてきた。
未知の世界に飛び込んで、世間知らずだから、なんでも面白く、楽しくとらえるのかもしれない。

現在、もうすぐ無職なのに明るい。笑

自分でもわからないが、何にもないのに、なぜか笑みが溢れている。

規則正しい生活、休みを取り戻し、友人と会ったり、好きなことをしたり、学校に通ったり。

今までちょっと疲れ切っていた日が多かったのかなぁ。今、緊張しながらも、とてもワクワクしている。

本来の自分とは?
楽しいことや表現することが大好きで、
笑うのも笑わせるのも大好きだったはずだ。

でも答えなんてわからない。
わたしが予想するわたしも、
みんなが思うわたしも、
わたしであるに違いない。

しぼんでしまっていた花に、水を与えて、
また元気になるように、少しずつ、少しずつ、取り戻していこう…。

どれも全部、自分だ。
自分の思う"さくらい"
みんなの思う"さくらい"

久々に会う友人、みんなに、
「元気そうで良かった、変わってなくて良かった。」と言われる。

わたしも自分が変わったなぁ…なんてことは、
記憶にございません!
(あ、映画面白いですよ!ジャルジャルの後藤さん目当てで観に行きました。)

まず、人によってコロコロ変えてる気もないんだ、家と外での顔も根本は変わらない。
そんなに器用に生きてない。器用だったら、こんなにつまずかない。笑

「相変わらずテンション高いなー!」
「集まって話し出すと止まらないね。」
「おもしろいなー!センス!」
「波長があう、好み変わってないね!」
「また絵描いてよ。音楽やらないの?」

どれも、嬉しい。
そして誰も間違えてないだろう。
全部しっくりくる。答えはないけど。
いや、答えがないからだ。

電話から溢れ出ていた、人間味。

いつのまにか本店の店長の魅力にどっぷり浸ってしまっていたんだなぁ。
1分にも満たない、連絡の電話で心を掴まれた。

本店の店長さんは、
『僕、本当は"根暗"だから』、って言っていた。

本当かどうかわからない。
面白くて、優しい、仕事を楽しくやっている本店の店長として、わたしには見えている。
でも、店長として、個人として、またちがうもんね。それも含めて自分だもんね。

そんな本店の味は、店長さんが作り出している。どんなお店か想像がつく。
店長の会話からお店の雰囲気が伝わり、しっかりイメージが湧くお店って、きっとその通りで、素敵だと思う。
この時もそうだし、自分が店長になってから、
会議でいろんな店長見てから、更にそう思った。

私にとって、朝の最高のエンターテイナーでした。
飲み会も楽しかった。
今まで出会ったことない、漫画の世界のような、
次から次へと面白いネタを持っていて、
ザ・自由人、喫茶店のマスター感。

勘定や技術なんて今はいい、いつでも学べるし、教えるよ。
店長によって得意分野はちがうよ。苦手なものは、得意な奴に任せればいい。
さくらいのままでいい。自分らしく楽しみなさい。
楽しくみんなでやろう。

そんな内容のお話だった。
すんごいおもしろい方だった!!
楽しませてくれて、ありがとうございました!

本店の味は、変わらぬ味。
その味の正体は、店長の人間味だったんだね。




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さくらいのじゆうちょう

さくらい氏(25)の自由帳。大学卒→コーヒー屋→無職うぃる! さくらいワールド。(#さくらい史) おもしろい人生になるかもしれないので書き留めます。
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