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また来たよって言えるお店

有給一週間突破。

返却物を返しに行くため、職場へ。
みんな元気そうで良かった…。
たった一週間なのに、久々のような、昨日ぶりのような不思議な感覚。

「またお越しくださいませ。」

どこまでが客商売?本心から思っているのか。
どんな人かわからなくても、また来るかわからなくても、「またお越しくださいませ。」と口癖のように言っている。
また本当に来てほしい?

お客様にそう言うように、働いていたスタッフにも、同じことが本心から言えていただろうか?

わたしが店長だった時。
正直、人間関係を壊したり、真面目に働いていなかった人に対しては辞めることを止めなかった。
だいたい、そういう方々は辞め方もいい加減で、その人にかける言葉もないし、絶句、に近い。

だが、そういった例外を除いた場合はどうだっただろうか?
引越しや、進学といったようなやむを得ない理由で辞めたスタッフたち。
出会いがあれば、別れもある。
頭ではわかっているけれど、本当に悲しかった。

しかし、その人の人生、無理に止めることはしたことがない。スタッフには感謝しかなかったから、狂わせたくなかった。

その前の職場は人間関係が劣悪だった。
あげたらキリないほど、散々だったし、まず考え方がわたしと根本から不一致。笑

もしこの異動先でなければ続けられなかっただろうし、店長なんてできなかったと本気で今でも思っている。

色々大変だったけど、奇跡の集団だったんじゃないかと錯覚するくらい、素敵な方々に囲まれていた。

振り返ってみると、辞めるスタッフみんなに掛けていた共通の言葉があった。
「またいつでも遊びに来てね」
「これからもコーヒーのある生活を」
「○○(次の場所)でも頑張ってね!」
人に合わせて変えてはいたけど、この内容は伝えていた。

この言葉だけみたら、どこまでも商売人だと思うだろう。

だけど、本心で言っていた。
もしまた近くに来たら気軽にお店にふらっと立ち寄ってもらいたいし、新天地でも頑張ってほしい。
せっかく学んだコーヒーのこと、おいしいコーヒーの出会いは忘れないで欲しいし、生活の中でコーヒーを楽しんでほしい。

本当に言葉だけ見たら、どこまでも社訓に忠実な新卒一年目みたいだなぁ。

余白を作ってあげること。

そのスタッフたちも感謝の言葉を述べてくれたし、もっと続けたかったと言ってくれていた。
たとえお世辞でも心が救われた。

もう二度と戻らなくても、戻って来ても良いという余白を作ってあげること。
これ、大事。
辞めるってさ、本当に真面目に働いていると、言うのも勇気いるし、この人手不足だと…ってお店の状況考えちゃったりする。
だいたい、そういうスタッフは、緊急な理由以外はかなり前から相談をしてくれている。
それだけお店やわたしのことを考えていてくれたことに感謝。

本当は手放したくない人だったからこそ、快く送り出したい。
だって、また会いたいから、気持ちよく!

自分が辞める時の話。

スタッフにはギリギリに伝えるルールがあり、本当にギリギリになってしまった。
みんな思うことはあるだろうけど、気持ちよく送り出してくれた。
プレゼントを用意してくれたり、メッセージだったり…。
「頑張って」「ゆっくり休んで」「お店のことは気にしないで」「楽しかった」「さみしい」「さくらい店長でよかった」などなど。
どれもありがたかった。言われたい、とは思っていなかったが、言われて嬉しかった。

美化するつもりではないけど、
自分の行為が返ってきているのかも、と思った。

残念なことに…会社からはキレイさっぱり何もなかった。期待してはなかったけど。
いままでの関係ってなんだったんだろう。
そして退職届の処理はちゃんとされただろうか。笑
でも、これが普通なのかもね。
辞めたことを後悔させないように、あえてしてくれたんかなと前向きに考えることにした。
いろんな別れ方があるなぁ。

小さな世界の小さな優しさ

お世話になっていて近隣のお店の方に、お礼の品を渡した。
その方は、わたしがいたお店をほぼ毎日休憩に使ってくれていた。
初めてわたしが来た時、一番最初に話しかけてくれた。よく気にかけてくれて優しいお母さんみたいだった。いつもたわいもない話をしていた。

他の近隣のお店の方は、わたしが店長だからなのか分からないが、挨拶無視されたり、キツイ当たりの人、仲良くできていないことのほうが多かった。
よくしてくれた人はごく一部いたけど、
めんどくさい関係がなくて、むしろわたしみたいなタイプには良かったかな。
嫌いな人と過ごして自分の時間を失いたくない。笑

その地域に住んでいるわけでもなく、若い人が、歴も長くないのに、しかも管理職として突然現れたからだろう。
異物に見えていただろう。
今となれば昔だが、はじめは一部のお客様から受け入れられてないのが伝わってきていた。

ちょっと田舎だったからなぁ、異動直後に見えた景色。
新しい者をあまり受け入れない年長者が固まる傾向、おばあさん、おばさんの井戸端会議。
お客様も長年いたり、見慣れているスタッフとしか心を開かない。

ここに来る前に経験した二店舗は、
都内の古きも新しきも交わる下町、
人種のサラダボウルという表現がぴったりの大都会。
そこには従業員もお客様も色んな人がいた。
どんな人がいてもさほど気にならなかったし、受け入れ態勢がある風土。

比べたら、小さい小さい世界だった。

そんな中でも、"はじめから"わたしに優しくしてくれる方だった。
辞めることを伝えたときも、もったいないけど…応援するって言ってくれた。

客商売とは?

その方は、今日も変わらず、コーヒーを飲みに来てくれていた。
わたしに、こんなことを言った。
「お客様、ここのコーヒー美味しいんだよ。さあ、飲んで行って。」

いつも、こんな風にお客様に宣伝してくれていた。
ああ、わたしはもう店長ではない、お客様なんだ。急に実感がまた湧いてくる。

「ちょっと休んで気が楽になった?でもまた新しいこと始めてるんだもんね。」
「また何か辛くなったら息抜きにおいでよ。
またここで働くこともできるからさ。」

わたしは戻らなくても、ここで出会った人たちのこと、絶対忘れない。
しかも、すっかりその方と、その方のお店のファンになってしまった。
うちのお店のスタッフに対してもそうだ。
すっかりスタッフのファンだ。

優しくしようとして優しくした訳じゃない。
自分がされたくないことはしなかった。
自分が人にしたくないことはしなかった。
人が自分を思ってしてくれたことを感じとり、感謝する。

たったそれだけ。
結局、人間って最後は心なんじゃないかなぁ。
心でどうしたって最後は動いちゃうよ。

全員じゃなくていい。
伝えたい人に、伝わっていてよかった。

わたしにとっては、コーヒーも和なりだった。

音楽は和なり、って古賀政男先生が言っていたけど。少しだけ、入社時に宣言したことが叶えられていたのかも。
綺麗事ばかりじゃないけど、綺麗事が信じられた小さな世界に出会えたことに感謝している。
自分がいなくなったお店も、スタッフの魅力で成り立っていた。

帰り際、自然と言ってしまった。

「また来ます。」




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さくらいのじゆうちょう

さくらい氏(25)の自由帳。大学卒→コーヒー屋→無職うぃる! さくらいワールド。(#さくらい史) おもしろい人生になるかもしれないので書き留めます。 お笑い、音楽、喫茶店…好きなものだらけはInstagramへ【@jiyuucho_sakurai】
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