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GⅡ金鯱賞


序文 ラストダンスは私に


※今回のコラムはかなり冗長なうえ、金鯱賞の予想とは1ミリも関係がない(笑)なので、予想・攻略記事が読みたい方は目次から飛ばしていってください。

逃げ馬にロマンを求める競馬ファンは多い。

武豊が「サラブレッドの理想」と形容したサイレンススズカ、皐月賞・ダービーと逃げきって見せたミホノブルボン、8戦全勝「スーパーカー」マルゼンスキー、懸命な大逃げからファンを沸かせたツインターボら、過去を振り返れば枚挙にいとまがない。
またここ数年の競馬界は逃げ馬が豊作だった。パンサラッサ、ジャックドール、そしてタイトルホルダー。GⅠ級の逃げ馬がこれだけ揃うことも珍しい。この背景には専ら、ディープインパクトが亡くなったという事実が関係してるのかもしれない。リーディングサイヤーとしても歴史に名を刻んだかの馬の仔らは、皆父に似た脚質の持ち主が多かった。先に挙げた3頭は全て非サンデーサイレンス系の血統である。
いずれにしても逃げ馬は人気だ。勝った時の「してやった感」に酔いしれたいのか、自ら群れを離れ我が道を行く姿に胸を打たれるのか、多くの競馬ファンが逃げ馬に今日も声援を送る。

さて今年で60回目を迎えるGⅡ金鯱賞。この伝統の一戦、2003年から3連覇を成し遂げた一頭の逃げ馬がいた。

タップダンスシチー
03年ジャパンカップを、JRA GⅠ史上最大の9馬身差で逃げ切り勝ち。
鞍上・佐藤哲三とのコンビで長くファンから愛された稀代の逃げ馬である。

タップダンスシチーは外国産馬だった。母オールダンスはノーザンダンサーの仔だったが北米で1勝したのみと、目立った活躍はなかった。95年にクリプトクリアランスとの間に誕生した9番目の仔を優駿ホースクラブが輸入。冠名「シチー」を付けてクリプトシチーと名付けられた。
クリプトシチーは栗東・佐々木厩舎に預けられJRAで下級条件ではあるが、通算3勝の活躍を見せた。
97年にプレゼントタップとの間に11番目の仔が誕生、同じく優駿ホースクラブが買い取り、後にタップダンスシチーと名付けられたのだった。
タップダンスシチーは兄であるクリプトシチーと同じ佐々木昌三厩舎へ入厩。物語はここから始まった。

2000年3月、阪神の新馬戦を鞍上・四位洋文でデビュー。結果は6人気からの9着だった。当時シチーには気性面での問題があり、御するのに苦労をしていた。パドックでも本馬場に入っても、「チャカつき」が収まらない。その名の通り、タップダンスのようにステップを刻んでしまうのだ。
12月に2勝目を挙げたが、すでに9戦目。この時の鞍上は松田大作に乗り替わっていた。
翌01年は勝ち星なし。掲示板を外すことがなく安定した走りを見せる一方で、勝ちきれない競馬が続き、周囲からは善戦どまりの馬という評価に留まっていた。出走前の”ダンス”も相変わらずだった。
02年、格上げでGⅡ日経賞に川原正一鞍上で挑むも、3着に敗戦。が次走の1000万下のレースでシチーに最初の転機が訪れる。初めて騎乗した武豊の手腕によってこのレースを勝ち切ると、続くレースもオリビエ・ペリエ鞍上で連勝。名手たちの手によって覚醒の兆しを見せ始めた。
そしてデビューから22戦目の函館記念、このレースは8着に敗れたが、久々にシチーに乗った四位洋文が、レース後に佐々木へこう言った。

こういうタイプの馬は哲っちゃんが合っていると思います。」

推薦された騎手は佐藤哲三。馬を育てる事ができる騎手として界隈での評価は高かった。
11人目にして主戦騎手の誕生。ここから引退するまでの全20戦、シチーと佐藤は長らくコンビを組むこととなる。またこの出会いは人馬にとってだけではなく、日本競馬史に残る「名コンビ」、調教師 佐々木昌三と騎手 佐藤哲三との出会いでもあった。

トップ騎手とまでは言えはない成績の佐藤だったが、時折穴馬を馬券内に持ってくることのできる騎手として、競馬ファンからは人気があった。佐藤自身も「一流のホースマンではなく、一流のギャンブルレーサーでありたい」という信条を掲げており、この勝負師気質の騎手と気性難の踊り子は、文字通り「馬」が合ったのだった。

02年9月、GⅢ朝日チャレンジCに参戦。4角3番手につけると直線は大外から一気に鞭を入れ先頭に立つ。猛追してくるイブキガバメントを振り切り、5歳にして重賞初制覇を成し遂げた。その後も重賞で好走を続けるシチーと佐藤、迎えた暮れの有馬記念はファン投票6025票を背負い、初のGⅠ出走を遂げた。
このレースでは佐藤の勝負師根性が炸裂した。13番人気ながらも、スタートを決め先頭集団に取り付くと、向こう正面で早々と先頭へ躍り出る。10馬身差近く離して直線に入ると逃げ切り体制へ。あわや大金星というところで、最後シンボリクリスエスに差されてしまったが、その素質の高さを改めて見せつけた。
翌年4月のOP戦に勝つと、続く金鯱賞を制覇(当時は5月だった)、宝塚記念3着、10月京都大賞典で重賞3勝目を挙げた。この頃には重賞戦線ではお馴染みの存在となっていた。

そして迎えた11月、GⅠジャパンカップに出走。4番人気に支持されたが上位3頭は抜けた存在で、サンクルー大賞連覇に加え香港ヴァーズを制したフランスのアンジュガブリエル、2冠馬ネオユニヴァース、そして圧倒的1人気に有馬記念で苦杯を舐めさせられた、当代最強あのシンボリクリスエスが立ちはだかっていた。

ここから、人馬一体となった
痛快無比の逃走劇が幕を開ける。

当日のコンディションは重馬場、レースは1枠1番から好スタートを切ったシチーが早々と先頭に立つ。安藤勝己騎乗、菊花賞馬ザッツザプレンティが早めの2番手につける。第1コーナー付近、手綱を緩めるしぐさを見せる佐藤を安藤は見逃さなかった。”このまま付いていけばハイペースになって崩れる”そう判断した安藤はシチーと少し距離を置くことを選択。2コーナーの終わりには2頭は4~5馬身差開いていた。結果ハイペースで逃げるシチーとその他後続、という分かりやすいレース展開になったようだったが、これが佐藤の仕掛けたギャンブルだった。
ペースを上げていくと見せかけただけで必要以上にスピードアップしない、同じラップを刻みつつ後続に錯覚を起こさせていたのだ。
さらに2コーナーでペースを落とすとみせかけて今度はわずかに加速、3コーナーを迎えるころには後続との差は10馬身まで拡大していた。
重馬場の府中、逃げ切れるわけがないと誰もが思っていたが、シチーは最終直線で37.4秒という驚異的な末脚を発揮した。上り最速で3着まで迫ったネオユニヴァースで37.0秒。「広い府中を一人旅」の実況と共に9馬身差の大差でGⅠ初勝利を飾ったのだった。

これは84年カツラギエース以来19年ぶり、レース史上2例目となる逃げ切り勝利。また2着と9馬身差の決着で、JRA-GⅠ史上最大着差記録を樹立した。
加えて友駿ホースクラブは、86年ゴールドシチー以来17年ぶりのGⅠ勝利、佐藤は朝日杯マイネルマックス以来7年ぶりのGⅠ勝利。そして94年開業の佐々木厩舎は、10年目で初のGⅠ勝利となった。

ジャパンカップ。
このレースにはふたりの男にとって、浅からぬ縁があった。
元騎手の佐々木は第1回ジャパンカップのメアジードーツの勝利を見ており、現役時代に最も出走したいレースとして目標に掲げていたが、叶わず引退。調教師になってからもダービー以上にジャパンカップで勝ちたいと公言していた。
佐藤は中学生のころ、第4回カツラギエースが逃げ切った際の勝利を視聴しており、騎手を志すきっかけとなった憧れのレースだった。

若き日に目指した理想と、少年時代の憧憬。同じ夢を見ていたふたりを引き合わせたのは、気性難の烙印を押された遅咲きの牡馬だった。
ふたりと一頭、諦めの悪い者たちによって遂に叶えられたその夢は、憧れを飛び越え、歴史的大差という大記録を作り、そこに結実したのだった。

佐々木晶三はその後も勝利数を着実に伸ばし、コスモサンビームで朝日杯を制覇。佐藤を主戦に据えたアーネストリーで2011年宝塚記念を制し、13年にはキズナで日本ダービーを勝利、念願のダービートレーナーとなった。今現在も栗東の有力厩舎として在り続けている。

主戦騎手を務めた佐藤哲三は、以降も佐々木とのコンビを継続。20以上の重賞勝利を挙げる一方で、09年~12年にかけては安達厩舎エスポワールシチーの主戦騎手として活躍。GⅠ7勝を挙げ、押しも押されぬトップ騎手となった。
しかし12年11月京都競馬場にて落馬、命に関わる重傷を負ってしまった。当時騎乗していたキズナは武豊に乗り替り、ダービーを優勝。その後、復活を遂げるも現役は断念。一度もターフに戻ることなく14年に騎手を引退した。
現在は評論家・予想家として動画チャンネル等で人気を博す。競馬ファンにはお馴染みの存在だ。

そしてタップダンスシチーは、6歳でのJC勝利後も活躍を続け、翌年に宝塚記念を制覇、同年10月に仏・凱旋門賞へ挑戦、17着に敗れたがその雄姿を確かに世界へと見せつけた。
翌05年、8歳で金鯱賞3連覇を達成するとその後は下降線を辿っていった。年の瀬の有馬記念12着を” ラストダンス ”として現役に別れを告げたが、鞍上は最後まで佐藤が務めていた。
引退後は6年間種牡馬として活動した後、乗用馬へと転用。余生を過ごしている。

今なおあの華麗な” ダンス ”は健在だろうか?
同期のライバルたちが退いていく中、男たちの夢を叶えるため、枯れ果てるまで走り続けた本物の名馬。
今はどうかゆっくりと、自分のためにステップを踏んでいて欲しい…。

諦めなければいつの日か夢は叶う。
ならばいつまでも、覚めない夢を見続けよう。

「GⅡ金鯱賞、まもなく出走です。」


はじめに

まずは、前段のコラムを最後までお読みいただいた方がいたら、心より御礼を申し上げます。史上最長の序文となってしまいしました。しかも金鯱賞でなくジャパンカップの話になっちゃったし笑
タップダンスシチーと佐藤哲三騎手のコンビは実力も人気もあったので、嫌いな方はそんなにいないのではないかと思います。これからも元気でいていただきたいなと思っています。

さてここからは金鯱賞の本格的な予想をお届けいたします。
今回は過去7年の好走データと有力馬の戦力解析を行い、読者様へ貢献したいなと思いますので、何卒最後までお付き合いください。

コース攻略


逃げ・先行脚質に注目

中京芝2000mはスタンド前からスタートし、4つのコーナーを曲がります。坂の途中からスタートするため流れが淀みやすく、開幕週ということも相まって、逃げ先行の前残りを最も考慮すべきでしょう。また最後の直線が長いため、東京・新潟の外回りで結果を残してきた馬の好走に直結するケースも多くみられます。


中京開幕週はこう買う
芝2000m好走データ集

ここでは毎度おなじみ過去データ、開催を3月に移動した17年からの7年間を拾い、好走条件・買える要素を導き出していきたいと思います。

前走がGⅠ

国内外含め前走GⅠ競争に出走した馬の戦績は【4-4-2-15】で8連対を記録。過去7回の内5回は前走秋のGⅠで4着以内に入った4,5歳馬でした。まずはGⅠ好走馬に注目です。

1番人気は堅い?

1人気だった馬は【5-1-1-0】で連対率85.7%、複勝率は100%。単勝1倍台だと【2-1-0-0】、2倍台【2-0-0-0】と2倍台までは信頼できます。
そして4歳馬だと【3-1-0-0】、今年の1人気ドゥレッツァはデータ上は堅実と言えるでしょう。

休み明けローテは問題なし

連闘~中3週ローテでの勝ち馬はなし。
中9週以上空いたローテで【4-5-3-25】と9連対しています
前走香港のプログノーシスは走り頃と言えるでしょう、一方間隔の空き過ぎたドゥレッツァの仕上がりはどうか?
菊花賞直行から連対した馬はいません。調教はよくチェックしておいた方がよさそうです。

前残り傾向強く、逃げ先行から選ぶ

6番人気以下から連対した4頭の内3頭が逃げ馬、残る1党は3番手からの粘り込みでした。21年は最低人気のギベオンが逃げ切り勝ち。穴党は逃げ馬に注目したいです。
先行馬は4連対していて、道中3番手以内だった馬が過去7年は必ず連対しています。最も勝てていないのが追込み脚質で、4角7番手以下は【1-0-1-35】。昨年のプログノーシスは最終9番手から差し込みを決めました。強かったですね。

関東馬VS関西馬

中京競馬場は西高東低、
関東馬【0-1-2-18】
関西馬【7-6-5-46】

関東馬で連対したのは20年8人気だった堀厩舎サトノソルタスのみでした。関東馬は人気馬でも軽視すべき…と考えてしまうとドゥレッツァをどう評するか、再考せざるを得なくなってしまいますね。
あくまでデータ上は関西馬優勢です。

馬齢別連対率

4歳【4-3-1-12】
5歳【2-3-3-20】
6歳【1-0-3-17】
7歳以上【0-1-0-15】
と4、5歳馬で基本決着ですが、穴党は高齢の逃げ馬にベットするのも良いかもしれないですね。

馬体重別成績

ホットゾーンは馬体重500~
連対馬14頭の内8頭が500キロ以上でした
500~519㌔は2番人気以内なら【4-0-2-1】で
複勝率85.7%、
7~10番人気だと【1-2-0-3】で連対率50%、
馬格のある人気薄を穴狙いで買うのも面白いかも…。


大阪杯 前哨戦!!
輝く金の鯱になるのは?

ここから森タイツが推奨したい馬を、今回は4頭紹介したいと思います。
上位2頭はやはり外せなさそうですが…。
最後の1頭はやや穴よりの馬をピックアップしてみました。

ドゥレッツァ

想定1番人気、昨年の菊花賞馬ドゥレッツァの年内始動戦です。
22年9月新馬戦を3着でデビュー、その後未勝利戦から3勝クラスまで勝ち続け、迎えた昨年の菊花賞で大外4番人気から鮮やかな逃げ勝ち。
破竹の5連勝、重賞初挑戦にしてGⅠの檜舞台を制しました。
もともと現4歳世代では早い段階で素質を見込まれていた1頭で、ノーザンファーム天栄での入念な外厩調整を経てからのデビュー。
初勝利後はクラシックを見据えセントポーリア賞へエントリーも右前肢跛行で見送りに。以降は王道路線からは外れてきましたが、昨年夏の4連勝から一気に力をつけてきました。
菊花賞はこの馬の素質以上にルメール騎手の技巧が光ったレースでした。大外から先頭に立ちペースを落ち着かせた後、3コーナーで先行馬にいったん抜かせ、直線で再加速。ダービー馬と皐月賞馬を3馬身差以上引きはがして勝利しました。
ドゥレッツァはドゥラメンテ産駒、すでに亡くなっていますが昨年23年度の産駒別勝利数は118勝で堂々の1位。タイトルホルダー(引退)、リバティアイランド、スターズオンアースらの活躍は説明不要でしょう。
母モアザンセイクリッドはNZオークスをはじめ海外の中距離重賞を3勝、その父More Than Readyは他にも米・豪で何頭ものステークスウィナーを輩出した、大種牡馬として有名です。アメリカンファラオや、日本ではジャングロなどが産駒にいますね。
血統的な資質で言えば菊の3000mよりも2000mの方が合いそうで、まず問題なくここも好走必至でしょう。

しかしながら不安材料もいくつかあります
まずは斤量59㌔を見込まれたこと、言うまでもなくトップハンデです。
また先に挙げたデータに乗っ取ると中京3月開催になってからの関東馬の勝利は0勝馬格も少し足りない印象を受けます。
さらに菊花賞から直行で勝った馬はいまだなく、この4か月半の休養がどう出ているか見えない部分もあります。そもそも菊花賞は3歳時点での3000m長距離戦。使った反動は大きく、菊花賞を勝った馬は次走で躓くことが多いことは昔から言われています。菊花賞から連勝したのは、16年サトノダイヤモンド(有馬記念勝利)が最後でした。
とはいえ今回のレースでは唯一のGⅠホース。大阪杯もしくは天皇賞を目指しているでしょうし、仮に叩きであったとしても、ここで勝ち負けできないようでは今後期待できません。4歳馬にして貫禄の横綱相撲といきたいところですね。

プログノーシス

昨年覇者、5歳を迎えた大器プログノーシスが金鯱賞連覇を狙います。
昨年のレースの際は出遅れ気味、後方から2番目のスタートとなり、先手を取っていたフェーングロッテンがペースを落ち着かせ、本馬にとってはやや不利な展開になりました。しかし直線では大外9番手から一気に加速すると先団を急襲、ゴール直前で抜け出しました。
その後は8月の札幌記念を制し、秋の天皇賞へ参戦。圧倒的1人気だったイクイノックスと、春天覇者ジャスティンパレスには敗れましたが、古馬になってからも確かな成長を感じさせる、そんな走りを見せ続けています。
金鯱賞は冒頭タップダンスシチーの3連覇他、ヤマカツエースも連覇をしており、リピーターの好走も多くみられるレース。明け6歳を迎えましたが、ここも十分期待できそうです。
プログノーシスはディープインパクト産駒、知らない者はいない名馬にして大種牡馬です。ディープ産駒は現4歳世代までいますが、産駒の中で最後の大器と呼べるのがプログノーシスであると、個人的には思っています。
先述のドゥレッツァと人気を分けると思いますが、菊花賞からぶっつけ本番の前者に比べプログノーシスは12月の香港Cを走ってます。過去例でいえばレイパパレやリスグラシューなどの好走もありますし、ローテ的には本馬に分がありそうです。
また、なんといっても主戦の川田将雅騎手と中内田厩舎のタッグは鉄板中の鉄板。直近1年での厩舎管理馬騎乗時は、勝率33.8%、連対率43.2%と驚異的な実績を誇ります。昨年成し遂げれなかったGⅠ初制覇へ向け、この前哨戦を良い形で勝ち切りに来るでしょう。

ヤマニンサルバム

GⅢ中日新聞杯で重賞初制覇となったヤマニンサルバム。個人的には上記2頭よりも強めに推したい1頭です。
サルバムは22年1月に小倉でデビュー、当時から安定した走りを見せる一方で勝ちきれないレースを続け、昨年1月の中京・寿Sを勝ってOP入りを果たしました。その時点で12戦をすでに消化していましたが、馬券外に飛んだのは芝短距離1200mの4着1回のみでした。
昨年の金鯱賞に7着で敗れて以降は重賞の壁に跳ね返され続けてきましたが、11月府中のオクトーバーS(L競争)に快勝すると、続く中日新聞杯を連勝、待望の重賞初勝利を飾りました。
血統をみると、父牡馬であるイスラボニータはかつての皐月賞馬。種牡馬としの成績は先のドゥラメンテらに比べるとぱっとしない印象を受けますが、産駒は新馬戦や下級条件では好走を見せることが多いです。重賞クラスになるとヤマニンサルバムの他には、ファルコンS勝ちのプルパレイくらいしか代表産駒がいないのが実情ではありますが、条件別にみると芝中距離・左回り・そして真ん中より内側の枠に入った場合、優秀な勝率・連対率を記録しています。中京コースとの相性はまず問題ないでしょう。
母ヤマニンエマイユはJRA6勝の実績があり、牝祖であるワンオブアクラインは米GⅠ勝ちを経験しており、同系統の血筋にはヤマニンウルスやヤマニンサンパがいます。
ヤマニンサルバムはここまで20戦して6勝、その全てが左回りで5勝が中京競馬場においてのものでした。500㌔以上の馬格があり、前段に挙げた好走データに合致します。また逃げ・先行脚質な点も開幕週の芝で追い風になりそうです
2連勝を飾った三浦皇成騎手の継続騎乗も心強く、上位2頭に勝てる馬がいるとすればこの馬しかいないと思っていますので、当日はおそらく想定3人気になると思いますが、厚めにBETしてみてもいいかもしれません。

ハヤヤッコ

今回は上記3頭がかなり抜けているため、他馬から穴目を推奨する必要もないかな、とも思いましたが追記で1頭だけ。
白毛のアイドル、ハヤヤッコです。今年で、明け8歳を迎えましたが、相変わらず元気いっぱい。充実した馬体で重賞3勝目を狙いに行きます。
18年デビューし翌19年にダートGⅢレパードSを勝利。その後もダート路線でOPクラスを転戦し、東京のブラジルC・スレイプニルSで勝利。22年から芝のレースに挑戦し6歳にして函館記念を制覇しました。
特筆は前走の中日新聞杯、58.5のトップハンデを背負わされ、13番人気と低人気でした。が、道中じっくりと構え直線に入ると大外から強襲、内のピンハイらをかわし勝ち馬ヤマニンサルバムに3/4馬身差まで迫り、2着に入線しました。上り3F33.9秒はメンバー最速でした
ハヤヤッコはキングカメハメハ産駒ですが、ディープインパクトに劣らない大種牡馬として知られています。産駒数は1854頭にも及び、中央での重賞勝利数は142を記録しています。現時点での産駒は5歳以上にしかいませんが、つい先日のフェブラリーSの勝ち馬ペプチドナイルも同じキンカメ産駒、また今年だけでもククナやタガノパッションらが重賞で好走と、まだまだ産駒の活躍は続いています。
重賞勝ちの函館記念こそ洋芝右回りでしたが、前6勝の内4勝が左回りコース。また中京の芝重賞へは4回出走、連対したのは前走のみでしたが、他3戦すべて掲示板内を確保。勝った馬とは常に0.5秒差以内に収めています。前走の内容を見ても中京芝2000mに対する適正は非常に高いと思います。現状出来落ちした感もなく、調教も順調に来ていますし、斤量負担の軽減もアドバンテージになります。データで示した通り、高齢馬の好走例はあまり多くないレースですが、タップダンスシチーの他フジヤマケンザンら過去に勝ち馬もいました。老いてなお進化を続ける白毛のアイドルが、さらなる輝きを放つかどうか。要注目です。

おわりに:ドゥレッツァについて

ここまでお読みいただきありがとうございました。
以上が金鯱賞における好走データ集と、有力馬への考察です。
多少でも参考になれば幸いです。

で、今回の1人気ドゥレッツァについてですが、もう一度おさらいしておきたいと思います。というのも、天邪鬼の森タイツは
「実はこの馬、危険な人気馬なんじゃね?」
と思っているからなんです。
もちろんこの馬が非常に強いことはわかっています。大外不利といえる京都3000mで見事な競馬を披露してくれたわけですし、現4歳世代では最強と言われているのも納得です。鞍上もリーディング騎手の継続騎乗で、言うことなしだと思います。
がここで敢えて、先述した内容と重複しますが、データ上の不安要素を下に箇条書きにしてみます。

 ・関東馬である
 ・菊花賞からの直行
 ・トップ斤量59㌔
 ・馬体重が480㌔前後

加えて

 ・トップ騎手のルメールだが中京は
  そこまで得意ではない(※私見ですが)
 ・GⅠコレクターのルメールも
  別定GⅡ・GⅢでは時折やらかす
 ・先を見据えるドゥレッツァ陣営にとって
  ここは叩きの可能性が高い

なども憂慮されます。
データ上最もプラスなのは、

 ・過去7年間1人気は複勝率100%

という点のみです。いや十分心強いですけど。
まあそんなわけで現時点では、
「馬券内は堅いだろうが1着は川田か三浦」
という認識でいます。
もちろんあっさり勝利する可能性もありますし、週末に向けて考え方を変える可能性もあります。あしからずご了承ください。

以上をもちまして、今回のnoteは校了となります。
今回もかなりながーくなってしまいました。
繰り返しますが、読んでいたいている方には本当に感謝です。
繰り返しますが、ドゥレッツァが来ないとは言っていません(笑)

最近バズり気味?Xの方も引き続きふざけた感じでやってまいりますので、
広い心で許容していただけるとありがたいです。

次回は高松宮記念でnoteの予定です!
ではまた。
 


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