後半へ

「君は、何者なんだ」主任は人間的思案の末にそう問うた。「このボディは彼女たちから受け継いだ。だから今だけはモーターカワイイと呼ぶ事を、特別に許す」『本当にやるの？あなたの気持ちは……』ナンシーのIRC。ユンコは微笑む。「大丈夫、これは私自身の決定！踊りたい。ただそれだけ！」 【オイランドロイド・アンド・アンドロイド】より

この記事は、『ニンジャスレイヤーTRPG』において、ドローンや人型兵器、オイランドロイドなど『戦闘兵器』に属するプレイヤーキャラクターを作成する事を可能にする非公式プラグインである。

2020/1/15 V1,1 スキルを追加、バランスをやや調整。その他不足事項の補足
2020/1/20 V1,2 フレームの能力値を修整(シナプスフレームのニューロン＋１）、スキルに『◎走り屋』を追加
2020/6/19 V1,3 基礎的データの調整、回路システムの変更など。フレームによるサイバネ埋め込み数の制限を追加。「◎高度会話補助機能」「◎テクノカラテ」を追加。
2020/7/18 拡張FMとしてレオパレス８＝サンの「外部アーマーシステム」へのリンクを追加

１：戦闘兵器PCの作成

１－１：キャラクターメイキングにおいて

この世界において戦闘兵器は、モータルほどありふれた存在ではないが、ニンジャ程稀な存在でもない。また、それが造られた場所、流れ着いた先、あるいは自らの望みによって、誰にでも味方しうる。ニンジャのチームでも、モータルのチームでも、戦闘兵器PCを受け入れる事は難しくない。勿論、戦闘兵器だけのセッションというのも面白いかもしれない。

戦闘兵器PCは、モータルやニンジャのように地道なトレーニングで成長する事は無い。また、規格となるフレームが存在しており、ダイスによって能力値に差が出ることも無い。元々機械であるためサイバネティクスとの不和はなく（バイオサイバネは装備不能だ）純粋に強力な装備を整えて行くことが戦力の増加に繋がるだろう。

「種別：戦闘兵器」の特徴：あらゆる攻撃手段による基本攻撃難易度はNORMAL、基本回避難易度はNORMAL。「種別：ニンジャ」からの攻撃に対しては、回避難易度が＋１される。

「スリケン」は投げられず、「連続側転」も不可能。「サツバツ！」は通常状態では発生しない。【体力】は『【カラテ】＋２』で算出されるが、【精神力】は無いものとして扱い、故に「精神成功」は不可能であり、「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は一切通用しない。NRSも起こさない。一方で、「電磁ショック」によって受けるダメージが2倍になる。

また、スシやトロなどの通常アイテムの効果を受ける事ができず、「戦闘兵器」専用のアイテムが必要。

「サイバネ」による「精神力負荷」や「狂気」の影響を受けない。しかし、「バイオサイバネ」を装備する事は一切不可能。「サイバネ」の最大埋め込み数は、装備している「フレーム」と、【AI】値によって左右される。

戦闘兵器が【名声】を得る場合、その値は-1される（最低０）。ただし、【名声：オムラ】と【名声：フリーランス】に関しては通常通り受け取る事ができる。

戦闘兵器が【DKK】を得る場合、その値は-1される（最低0)。また、【DKK】が7以下の場合は「Wasshoi！」判定は発生しない。（ニンジャスレイヤーが殺すのはあくまでニンジャが優先なのだ）「カルマロンダリング」は通常通り行う事ができるが、能力値を上昇させる効果は無視する（振り直しか、出目を±１して効果のある出目に変える。）

１－２：能力値の決定

戦闘兵器PCの基礎能力値は、【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】の三種類と、戦闘兵器特有の値である【AI】値が存在する。また、戦闘兵器PCの基礎能力値を決定するのはダイスではなく、胴体部基部サイバネである「フレーム」である。初期状態では、全能力値が3である「▶ベーシックフレーム」を装備している。

「▶ベーシックフレーム」：大量生産されている戦闘兵器用のボディフレームと内装機能。大した能力は持たない。：「胴体部基部サイバネ」「戦闘兵器専用」「基礎能力値3/3/3」「サイバネ埋め込み数最大10」

【カラテ】：初期値3：ボディの強靭さや、エネルギー出力・伝導率を表す能力値。邪魔な構造物を吹き飛ばしたり、人間の首を締め上げたり、サスマタで殴りつけたりする時に使用する。

【ニューロン】：初期値3：内蔵UNIXの処理能力や、センサーやレーダーの感度を表す能力値。戦闘中の行動判断速度や、電子戦に対する防御力、表情から感情を読み取る能力などを左右する。

【ワザマエ】：初期値3：アクチュエータやマニピュレータの精密性、ブースターの旋回性などを表す能力値。銃器による遠隔攻撃やトラップの物理的解除、および敏捷さを求められる判定時に使用する。なお、戦闘兵器は基本的に『連続側転』は使用できない。

【AI】：初期値1：戦闘兵器のコアとなるモーター回路やマイコ回路に蓄積された経験・知識からなるAIの学習量を表す能力。高まるほどに様々な状況に適応したスキルを身につける他、一定の値を越える事で悟性による認識だけでない、独立した理性のようなものを持ち始める。

戦闘兵器PCは、【体力】が常に「【カラテ】＋２」で算出されるが、【精神力】を持たない。故に、「精神成功」は基本的に使用不可能である。【脚力】は通常通り算出する。また、ターンの開始ごとに得られる「回避ダイス」は、ニンジャと同じく最も高い基礎能力値のものとなる。

「戦闘兵器」PCで【体力】が０になった場合、機能を停止してその場で倒れる。また、【体力】-5までの間は、爆発四散や死亡する事なくその場にとどまり、シナリオ終了後に余暇２日と【万札】20を費やす事で修理可能。(足りない場合は「ふわふわローン」で借りる事となる。）【体力】が-6以下になる、あるいは「とどめを刺す」によって完全に機能停止し、ロストとなる。

『二番機作成』：キャラロストが起こった場合、装備している「回路」及び「フレーム」は回収不可能だが、それ以外の装備を引き継いで新キャラクターを製作する事ができる。この時、当然【AI】値は１にリセットされる。「ふわふわローン」の未返済によるロストでは、このルールを使用する事はできない。

１－３：AIタイプの決定

PCとして操作できる戦闘兵器は、その性能の様々な差こそあれ、ある程度自律的な判断ができるAIを搭載している（そうでなくては、プレイヤーが専念して操る必要もない）。初期作成の戦闘兵器PCは、生い立ちとして「○モーター回路」か、「○マイコ回路」のどちらかを選択して取得する。

「○モーター回路」：この戦闘兵器に搭載されているAIは、オムラ・インダストリアルの情け容赦ない殺戮兵器AIだ。戦闘能力は高いが、故に危うい。常に「近接攻撃ダイス」「遠隔攻撃ダイス」が＋１個されるが、サイバネによる【ハッキング】ダイスへの修整を受ける事ができない。

「○マイコ回路」：この戦闘兵器に搭載されているAIは、ピグマリオン・コシモト社の謎めいた背景を持つ生活・医療AIだ。戦闘は本分ではないが、謎めいた電子的支援を受け取っている。「回避ダイス」「電子戦ダイス」が＋１個されるが、サイバネによる【カラテ】判定への補正値が-1される。

１－４：サイバネティクスとアイテムの取得

戦闘兵器PCにとって最も重要になるのが、戦闘用のサイバネティクス及びアイテムである。初期作成の場合、「▶生体LAN端子」を自動的に初期装備している他、【万札】40を消費して、装備を整えることができる。この時、「腕部」「脚部」「視神経部」の全ての部位に基部サイバネを装備しなければならない。また、「▶▶」「▷▷」以上のサイバネを初期装備する事はできず、レア度「*」以上のアイテムを購入する事もできない。

◆戦闘兵器専用、廉価な基部サイバネ
【万札：5】「▶ベーシックアイ」：大量生産されている戦闘兵器用の頭部フレームとカメラ。特別な能力は持たない。：「視神経部基部サイバネ」「戦闘兵器専用」「売却時【万札】5」
【万札：5】「▶ベーシックアーム」：大量生産されている戦闘兵器用の腕部パーツやマニピュレータ。特別な能力は持たない。：「腕部基部サイバネ」「戦闘兵器専用」「売却時【万札】5」
【万札：5】「▶ベーシックレッグ」：大量生産されている戦闘兵器用の脚部パーツやブースタ。特別な能力は持たない。：「脚部基部サイバネ」「戦闘兵器専用」　「売却時【万札】5」　　　　

１－５：◎スキルデータの取得

スキルデータは、AIにセットアップされた専門技能である。初期状態では簡素なパターンしか設定する事ができないが、経験と学習を積むごとにどんどんと複雑なスキルを身につける事ができるだろう。…そう、まるでニンジャのように。以下の表の中から2個の「◎」スキルデータを選択し、取得する。

◆戦闘兵器PCが選択できる◎スキルデータ
『◎頑強なる肉体』：取得前提なし
『◎走り屋』：取得前提なし
『◎突撃』：取得前提なし
『◎ツジギリ』：取得前提なし
『◎タクティカル移動射撃』：取得前提なし
『◎滅多打ち』：取得前提なし
『◎滅多斬り』：取得前提なし
『◎トリガーハッピー』：取得前提なし
『◎ミネウチ』：取得前提なし
『◎ブースト効率化』：取得前提なし：【脚力】+2。ただし、この効果は「▶ヒキャク」系の脚力上昇効果と累積しない。
『◎ブースト出力強化』：取得前提なし：「ダッシュ移動」が可能になる（【ワザマエ】が最も高い場合、移動後に難易度＋１で能動行動可能。）
『◎工作機械プログラム』：取得前提なし：非戦闘時の【カラテ】判定難易度-1。
『◎高度計算プログラム』：取得前提なし：非戦闘時の【ニューロン】判定難易度-1。
『◎精密動作プログラム』：取得前提なし：非戦闘時の【ワザマエ】判定難易度-1。
『◎指揮官機』：取得前提【AI】2以上：自身以外の同じ陣営に所属する「戦闘兵器」は、「ワザマエ」判定と「回避ダイス」に＋１の修整を得る。この効果は２個以上重複しない。
『◎攻撃的バイオニューロン』：取得前提【AI】2以上、「○モーター回路」：シナリオ１回、戦闘時のみ、難易度「HARD」以下の判定を自動成功させる事が可能になる。
『◎違法羞恥心プログラム』：取得前提【AI】2以上、「○マイコ回路」：シナリオ2回、非戦闘時のみ、難易度「HARD」以下の判定を自動成功させる事が可能になる。
『◎自在武器プログラム』：取得前提【AI】3以上、「○モーター回路」：自身の装備する武器（近接・遠隔を問わない）の『攻撃難易度＋１』を無効化できる。
『◎高度会話補助機能』：取得前提【AI】3以上、「○マイコ回路」：他の仲間キャラクターが交渉・脅迫などの判定を行う場合、その難易度を-1させる事ができる（対抗判定でも適用可能）。また、「●私は無関係！」を得る。
『◎テクノカラテ』：取得前提【AI】3以上：機械の肉体とモーションを生かした素手戦闘技能。「近接攻撃スロット」が「素手」のみで、「遠隔攻撃スロット」に何も装備していない場合、「連続攻撃＋１」を得る。この効果は、他の「連続攻撃＋X」とは重複せず、「素手」での攻撃でしか効果を発揮しない。
『◎グレーター・ツジギリ』：取得前提【AI】3以上
『◎シャープシューター』：取得前提【AI】3以上
『◎ウィークポイント射撃』：取得前提【AI】3以上
『◎戦闘スタイル：回転斬撃』：取得前提【AI】3以上
『◎銃弾の見切り』：取得前提【AI】3以上

２：戦闘兵器PC用の各種データ

２－１：戦闘兵器PC用の余暇計画

戦闘兵器PCは、その出自故に取れる余暇行動と、取れない余暇行動が存在する。

「ブラックマーケット」「サイバネ強化手術」「オンセン休暇」「オキナワ休暇」：通常通り行える。休暇に関しては、「各種部品の整備やメンテナンス重点した」「工場で修理してもらってきた」などによって読み替えられる。（ただ、【精神力】は増えない。）

「モータルハント」：戦闘兵器の性能があれば、当然モータルを簡単に殺戮し、そのカネを巻き上げる事も可能だ。「【ワザマエ】-1d6」分の万札を入手する事ができる。この時、サイバネアイなどの補正は有効である。しかし同じ余暇で２回以上の「モータルハント」を行った場合、NSPDなどに目をつけられる可能性がある。万札獲得後に1d6を振り、「１」が出た場合、襲撃を受け次のシナリオでの【体力】最大値が-2される。

「各種トレーニング」：一切効果を得る事ができない。◉スキルを取得することも基本的にできない。

「プログラムカスタマイズ」：「戦闘兵器」PCのみが行える余暇行動である。【万札】10と余暇１日を消費することで、【AI】値の上昇によって取得した◎スキルを組み替える事ができる。

「AI深層学習」：「戦闘兵器」PCのみが行える余暇行動である。【万札】20と、余暇2日を消費して学習内容の整理整頓に努める事により、【AI】値を＋１する事ができる。ただし、この効果では【AI】値は3までしか上昇しない。【AI】値が上昇するごとに◎スキルを１個取得できる。

２－２：戦闘兵器PC用の追加サイバネ・アイテム

戦闘兵器PCは、胴体部に専用の追加サイバネを持つ。

戦闘兵器PC専用サイバネ

胴体：フレーム系（フレームの値段は、通常の２倍として扱う）
「▶ベーシックフレーム」：「基礎能力値3/3/3」「サイバネ数10」
「▶▶ハイグレードフレーム」：「基礎能力値6/6/6」「サイバネ数15」
「▶▶パワードフレーム」：「基礎能力値7/4/4」「連続攻撃２」「サイバネ数13」
「▶▶シナプスフレーム」：「基礎能力値5/8/4」「マルチターゲット」「時間差」「サイバネ数14」
「▶▶テクニカルフレーム」：「基礎能力値4/5/7」「連射２」「疾駆」「サイバネ数13」
「▶▶▶マスタリーフレーム」：「基礎能力値8/8/8」「連続攻撃２」「連射２」「マルチターゲット」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「時間差」「サイバネ数18」
「▶▶▶アサルトフレーム」：「基礎能力値10/4/10」「連続攻撃２」「連射２」「疾駆」「サイバネ数16」
「▶▶▶ガーディアンフレーム」：「基礎能力値10/10/4」「連続攻撃２」「時間差」「マルチターゲット」「サイバネ数16」
「▶▶▶スナイパーフレーム」：「基礎能力値4/10/10」「連射2」「時間差」「マルチターゲット」「疾駆」「サイバネ数17」


戦闘兵器専用アイテム
【万札：3】：応急リペアパッチ：消耗品。「種別：戦闘兵器」の【体力】を3回復する。
【万札：5】：強制REBOOTプログラム：消耗品。「種別：戦闘兵器」に対して、
　　　　　　「ZBRアドレナリン注入装置」と同等の効果を発揮させる。

【AI】値4以上への上昇、特殊な生い立ちの戦闘兵器キャラクターの作成など、拡張要素は後編に続く。

※参考：戦闘兵器キャラクターを強化する外部プラグイン

「ピガー！」「イヤーッ！」モーターカネダが跳躍し、合体者の頭頂部に着地、センサーに親指を押しつけてオムラ血族指紋認証を行う。そしてジュー・ジツを構えるニンジャスレイヤーに言った。「アイサツ機能は未実装ゆえ紹介してやる。これが三天使の殲滅形態！モーターガッタイだ！貴様は死ぬ！」 【モータードリヴン・ブルース】より

戦闘兵器PCには、ある意味ニンジャよりも柔軟で…強力な、サイバネティクス拡張の可能性がある。その一つが、この「ガッタイ」システムである。

この記事のデータを採用する事で、戦闘兵器PCはさらなる力を得る事ができるだろう。