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明るい家族計画について

初投稿です。なるべく多くの人に読んでもらいたいなと思っています。そして自分の考えが残り続ければいいなと思ってます。



さっそくですが、「明るい家族計画」をご存知でしょうか。
私がこの言葉に出会ったのは、中学一年の頃だったと思います。従姉妹に会いに仙台へ行ったときに、コンドームの自販機を発見したんです。コンドームの存在は知っていたのですが、自販機があるなんて、しかも白昼堂々と居座っているなんて衝撃的でした。その自販機には「明るい家族計画」というキャッチコピーが書かれていました。

(みちくさ学会「コンドームのある風景(その1:戦後日本の人口問題・性病問題変遷史)」より

立ち止まってじっと見たかったのですが、そんなことできるはずもなく横目に凝視というかんじで、私がそれを見れたのは2秒程度だったと思います。それでも「明るい家族計画」という言葉が妙に胸に残りました。

それから時が経ち、高校生一年生のころ、再び「明るい家族計画」に出会います。
それは「妄想代理人」というアニメの第8話タイトルでした。

あらすじをざっくり説明しましょう。
幼いかもめ、マッチョなゼブラ、くたびれた老人の冬峰は自殺をしようと計画し集まったチャット仲間。窒息、睡眠薬、飛び降りと、さまざまな自殺を試みるがことごとく失敗。ついに三人は“追いつめられた人間”のところに現れるという、少年バットに殺されようと念じはじめるのだが…。(バンダイチャンネルより)

といった内容です。側から見ると自殺を試みてるようには見えないくらい楽しそうで、不思議なおはなしです。

作者の今敏さんは自身のオフィシャルサイトでタイトルについてこう語っています。
本来「かもめ」という子は初潮すら来ていないような少女であり、「冬蜂」は智恵はあるが生殖能力を完全に失ったような老人であり、「ゼブラ」は生殖能力 が横溢するような健全きわまりない男性に見える外見だが皮肉にも「ホモ」である、というイメージであった。

 上記の組み合わせでは子供を作ることが出来ない(別にこの組み合わせに限定されるわけではないが)。換言すれば「生めない関係」である。つまり一見、円 満で楽しそうな関係でありながら、ここからは「何も生まれない」という皮肉が込められたタイトルであった。(KON’S TONEより)

とても秀逸なタイトルですよね。「妄想代理人」とても面白い(興味深い)作品なのでぜひ見ていただきたいです。


さて、妄想代理人の「明るい家族計画」は「何も生まれない」という皮肉が込められているとのことでした。
「何も生まれない」ことこそがコンドームの最大の利点であり、使う理由であります。
「明るい家族計画」というキャッチコピーは「産まないこと」を「家族計画」と表現しているんです。
私は、結婚して子供を産んで初めて家族になるんだと思ってました。父と母と子で家族。なんとなく、感覚的にそう思っていたんです。初めて見たときに妙に胸に残ったのは、その潜在的な意識によるものでした。「家族計画」と聞くと、産むこと、子の誕生を連想します。だからこそ、産まない=家族計画 ということに違和感があったんだと思います。

避妊具に「明るい家族計画」とキャッチコピーを付けたその大胆さと着眼点‥。なんて優秀なコピーライターなのでしょう。
そう思ったのですが、ある記事を見て少し考えが変わりました。

国敗れて人口あり..。昭和20年(1945年)に敗戦を迎えた日本は、間もなく深刻な人口問題に直面しました。海外からの引揚者や復員兵らが人口に加わり、さらに彼らの結婚などによる出産率の急上昇により、人口が急増したためです。旧植民地が無くなり国土は4割減となったうえ、経済は壊滅状態でした(荻野美穂: 「家族計画」への道)


人口が多かった当時は、産まない=家族計画 の認識がポピュラーで、そこに大胆さなんてなかったのかもしれません。

私が「家族計画」と聞いて、子の誕生を連想させるのは人口減少、少子高齢化の現代に生きているから、、?

「家族計画」という言葉にどのようなイメージを抱くのか、時代背景によって変わっていくのではないでしょうか。



とはいえ、今も昔も、コミュニケーションとしてのセックス「産まないセックス」が夫婦のため、今いる子のため、そして産まれてこない子のための「明るい家族計画」であることに変わりはありません。

明るい家族計画‥。

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