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三麻の思考を言語化するメモ書き

雀魂の三麻で東風東南をそれぞれ140戦ずつやって玉の間まで来れたので、現時点での思考を言語化しておこうと思う。三麻は楽しい。時間が溶ける。

内容的には、銀の間~金の間をうろうろする人向けだと思われる。

昔、雀魂と同様のルールである天鳳を鬼打ちしていた鬼強い友人が書いた、三麻の打ち方についての文章を読んだことがあり、多分に影響された。しかしやはり、こういうのは自分でも書いてみてナンボだろうと思うので、私も筆を執ることにする。

脱初心者を目指す

一般的に、私はゲームの習熟度について以下のような認識をしている。

入門者:ルールや構成要素がよく分かっていない。
初心者:ルールや構成要素は大体理解したが、一般的にどうすると有利になりやすいかを知らない。
中級者:一般的にどうすると有利になりやすいかは大体理解したが、局所的な最善手を見つけ出せない。
上級者:局所的な最善手を見つけ出せる。

この記事は、初心者が中級者になるための、「一般的にどうすると有利になりやすいか」について記した記事である。(残念ながら書き手は上級者ではないので、全力で書いてもこれ以上の解説は書けない。)

だから、この記事では麻雀というゲームの基本的なルール解説は行わない。
また、本文に登場する「嵌張」「幺九牌」「一向聴」といった麻雀の単語が分からなければ、適宜「嵌張 麻雀」などと検索して理解してほしい。調べればすぐに分かる簡単な意味だ。
なお、牌姿について123p222sといったように、数字とアルファベットを組み合わせた表記を行う。pは筒子、sは索子、mは萬子を表し、例えば上は123の筒子でできた順子と222の索子でできた刻子である。

配牌をもらったら

配牌を得た時点で考えることは大きく以下の3つである。

1.配牌で5ブロックあるかどうか
2.打点は満貫ありそうか
3.この局をどうしたいか

☆☆☆1.配牌で5ブロックあるかどうか☆☆☆

5ブロックあるか確かめるのは、麻雀が4面子1雀頭を作るゲームであることに由来する。私たちは最終的にその5個を作りたいのだ。だから、面子として未完成の形も含め材料が揃っていれば、後は欠けた部分が埋まり次第和了れるというわけだ。形の種類は大きく以下の通りで、

両面の複合系(例:445p)>両面(例:34s)>嵌張の複合系(例:668s)>両嵌張(例:135p)>対子(例:99m)=嵌張(例:57s)>辺張(例:12p)

の順に強いだろう。このランキングは、受け入れ枚数や変化のしやすさによって順位付けられている。もしこの順位付けにピンと来なければ、それぞれの形で、どんな牌が入ると形が完成するか、あるいはより上位の形に変化するか考えてみてほしい。例えば、辺張12pは12pで対子、3pで完成、4pで24pの嵌張に変化する。ところが、嵌張57sは対子や完成のほかに48sで両面に変化できる。だから辺張より嵌張の方が強いのだ。

麻雀は、基本的に両面を追うゲームだ。次に何の牌が来るか分からないなら、なるべく有効牌である確率を高めたほうが良い。両面・嵌張・辺張・双碰・単騎という全ての待ちのなかで、2種8枚という最も広い受け入れがあるのは両面である。だから、両面はランキングにおいて最強の地位を築いている。麻雀が平和に始まり平和に終わるのはそれ故である。

足りなければ、浮いている牌のどこかにくっつくことを想定してとりあえず端牌を切り、逆に多すぎれば、受け入れの弱さや待ちの弱さ、打点の無さで最弱の形を切っていくことになる。

実は形にはさらに種類があって、2ブロック分を専有する5~6枚以上使ったものが色々ある。これは、上記のランキングの形の組み合わせや発展形だ。例えば、23456sの1-4-7s待ちや、33445pの2-5p待ち、134568sの27s待ちといった具合である。これらの形は、23+456というように基礎の形に分解できるものと、基礎の発展として13+456に8sが来たことで7sも入るようになると解釈できるものに分かれる。どちらにせよ、くっついた中張牌は切り分け方が豊富で強そうである。

ブロックの確認が終わったら次に、役と聴牌スピードを見積もる。

どんな役が狙えるか、あるいは狙いたいかを考える。既に5ブロックがあるのなら、完成したときの役を考えるだけ。あるいは、5ブロック無いのなら、上手く行ったとき遠くにどんな役が見えるだろうか。役牌か、平和か、混一色か。何も無ければ立直か。

聴牌スピードは、この局の方針を決めるのに役立つ。二向聴以上の良い手や両面が多く揃っていれば早く聴牌して攻めることができそうだし、手牌がばらばらなら今回は受け気味の局になるだろう。

☆☆☆2.打点は満貫ありそうか☆☆☆

役が見えると、打点も見えてくる。この手は満貫あるだろうか。

雀魂の三麻の打点は満貫が基準である。(7700はほぼ8000なので実質的に4翻が基準。)その友人曰く、三麻は「満貫というパンチを、何回当てて、何回当てられたか(放銃)で決まる」。満貫未満の出費は勝敗にほぼ影響しない。局が進んだだけである(局が進むこと自体は、自分の状況によって良い場合も悪い場合もある)。

なぜ満貫が基準になるのかというと、三麻は高打点が作りやすく、かつ麻雀の点数は満貫から上昇スピードが遅くなるからだ。1翻の1000点から4翻8000点までは順に2倍ずつ増えていくが、4翻から先は2翻足しても1.5倍の12000にしかならない。3翻の3900を2回放銃しても満貫1回で回復できるが、たった1翻増やした4翻の手を2回放銃したら回復は容易ではない。翻数を重ねるコストと得られる打点のパフォーマンスを考えて、最も美味しいのが満貫を和了ることなのだ。だから満貫が基準になる。もらった配牌から最速で満貫を満たすような役の組み合わせはなんだろう(というかそもそも満たせるのか?)と考えることが重要である。

☆☆☆3.この局をどうしたいか☆☆☆

そして総合的に、自分はこの局をどうしたいのか、方向性を決める。

1.最速で満貫を狙っていく
2.安手でさっと和了して局を進める
3.まだ分からないので門前で進めてみる

どの方針なのかは、配牌や点数状況、残りの親番の有無、残り局数によるだろう。また、その後のツモや他家の様子によって柔軟に切り替えて良い。

例えば自分の持ち点が原点に近い場合。残り2人の点数は、2人とも自分と同じくらいか、大トップとラスになっている。この場合は最もオーソドックスに、手牌が良ければ鳴きも含めて満貫を狙いに、分からなければひとまず門前で手を進めることにする。例外として、イケイケの大トップの親番は流せそうなら安手で流したり、ラスが飛び寸前なら満貫ツモや3900直撃でしっかり飛ばしてあげることを意識したり、などが考えられる。

自分がトップ目の場合。局の消化が美味しいので、役牌を鳴いたり平和のみをダマにしたりして安手で和了ることを第一に考えよう。自分の親番であれば打点を求めて動き、3位を飛ばすなんてことも考えられる。その一方で、他家からの立直、特に親からの立直が来たら現物を切ってすぱっと降りる。2位目や親の河が濃くなってきたら立直が来なくてもやめていい。直撃は痛いし、連荘されることは望ましくないからだ。トップ目は、高い手を和了るよりも、直撃を避けることと局を流すことを意識して立ち回ろう。

自分がラス目の場合。残りの局数が減ることはそれだけ点数回復の機会が失われることを意味するので、安手になる鳴きは絶対に入れない。子では満貫以上を狙って手を進めていこう。親番では、南場で親番を落とすと逆転の目が厳しくなるので、連荘できるように3翻くらいの手でも和了していこう。和了を急ぎすぎても良くないが、聴牌だけは死守したい。親番がもう無いならば、もう高打点を作るしか無いので、ハイリスクハイリターンな打牌をすることになる。

満貫を作ろう

三麻の打点は満貫が基準である。
1翻縛りを満たせれば、あとはドラを乗せればいいだけだ。ドラは北で4枚、表ドラで4枚、赤5p赤5sの2枚で合わせて10枚ある。北は手牌に残らないから手を一切圧迫しないし、牌の種類が少ないので表ドラも手に取り込みやすい。そんな10枚を3人(と王牌)で分け合うので、簡単にドラを乗せることができる。例えば、

手なりで付いてきた1翻+ドラ3
手なりで付いてきた1翻+立直+ドラ1

のような組み合わせで満貫に届く。(なお、立直は2翻役として計算する。これは完全に友人の受け売りだ。一発や裏、追加の北抜きなどを加味して2翻あると見なす。)手なりで付いてきた役はわざわざ狙うものではないので、本当になんでも良い。
が、一般的に、満貫を満たす役の組み合わせとして

立直+ドラ2
立直+平和+ドラ1
役牌+ドラ3(鳴き)
役牌+混一色+ドラ1(鳴き)
混一色+ドラ2(鳴き)

以上のようなものが頻出する。逆に言えば、その他の役はほとんどおまけで付いてきたラッキー役であり、狙って作るようなものではない。手なりで進めたら、断么+ドラ3のポンテンに取れるようになったとか、牌が縦に重なりすぎてポンポンで役役+トイトイになったとか。一気通貫はおまけ。付いてきたら嬉しいけど、付けるために両面を払って嵌張を残すほどではない。

既に満貫ある手にさらに役を重ねて跳満にすることも、基本的に望まれない。そうして追加の役(一通や混一色や対々和だろうか)を狙ったとき、ほぼ必ずスピードが落ちたり待ちの形が悪くなったりするからだ。両面で満貫ある手なら、これ以上望むことは何もないだろう。満貫で満足できないのは、残り局数の無いラス目だけだ。

序盤 自分の手を育てる

ここから、序盤中盤終盤と局を3つに分けて説明する。これは3段ある河の段ごとに等間隔に区切っていくという理解よりは、場の状況によって急に進むというふうに意識してほしい。相手の1鳴きや相手からの先制立直によって一気に中盤や終盤の扱いになる。

配牌をもらったときに考えることを上述したが、一瞬でここまで考えるのは無理がある。ざっと眺めて、とりあえず端で浮いている1mや9pなんかを切って、2~3巡のうちに把握すれば良い。

第一打は孤立している幺九牌から。鳴いてほしくない他家(トップ目で局を流したそうな人とか)の風牌が浮いていたらそれを切る。5ブロックや役が足りない場合は、自分の役になる字牌は残してみる。字牌や萬子のドラは重なると雀頭になって美味しいので、まだ手牌がまとまっていないのなら大事にしてみよう。

序盤、相手から何かアクションが起きるか、何も起きず8~9巡目くらいになるまでは、この局をどうしたいか(満貫攻め、安手流し、様子見)の方針にしたがい、鳴いたり鳴かなかったりして、ただ手牌の形を良くしていく。5ブロックを確認したときの形の強さランキングを使って、手牌をより強い形に更新していくことを続ける。

両面の複合系(例:445p)>両面(例:34s)>嵌張の複合系(例:668s)>両嵌張(例:135p)>対子(例:99m)=嵌張(例:57s)>辺張(例:12p)

たまに問題になるのは、5ブロックがぶくぶくに太ってどこかを切らねばならないときだ。13枚の手牌に安牌用の萬子や字牌が2~3枚あったり、1鳴きしていたりすると残りは10枚程度。3枚使いの形が複数あると溢れてしまう。そんなときは、強い形をスリムにし、弱い形をフォローする。両面の複合系は強すぎるので、真っ先にスリムにする対象になる。例えば、445p668sから1枚切りたいときは、45pの両面の方が強いので4p切りとすると良い。

また、鳴きについてだが、基本的にはあまり鳴かないようにする。鳴くにしても1鳴きでとどめるくらいが良い。満貫狙いのときでも出来れば1鳴きで済ませたい。2鳴きは聴牌するとき。鳴くと防御力が下がって、後から来た相手の立直を受けきれなくなるからだ。だから、鳴きを重ねるのは打点やスピードがあるときに限られる。鳴いて満貫あればだいたいずっと押しだし、跳満以上あればほぼ降りないので、鳴きによる防御力低下は無視できる。

安手流しの意図で役牌を鳴いたときは、それ以上は鳴かない意識を持ってなるべく自力で聴牌しよう。安手で流そうとしたのに、あとから立直が来て8000点のお支払いになったら元も子もない。1鳴きくらいなら立直が来てもなんとかなるので、過剰な鳴きは控えよう。

中盤① 聴牌→立直

門前で進めていたら聴牌した。さて、立直をかけるかどうか。

雀魂(や天鳳)ではツモ損ルールが採用されている。例えば、子の満貫8000点はツモると2000-4000だが、2000を払う子が1人居ないと考えて6000点の収入になる。4翻の満貫直撃8000を立直ツモで跳満3000-6000にしても収入には1000点しか差がない。つまり、直撃の価値が重くなっている

立直のデメリットについて考えよう。まず、立直という役は相手に聴牌を知らせることになるので、直撃の可能性が下がる。直撃の方が収入が良いので、これは欠点となる。また、立直後の状況変化に対して全くの無力なので、防御が出来ず後から来た他家に為す術がない。

一方で、立直は2翻役だから打点がかなり高まる。ドラが2枚あれば満貫なので、満貫パンチを浴びせる良い機会だ。また、立直された相手にしてみれば、振り込むと大体8000あるので振り込みたくない。結果的に、相手を下ろして自分が得点することができる。これが立直のメリットだ。

総合的に考えると、「先制聴牌」「良形」「立直すると満貫になる」「役無し」「親番」「降りる気がない」といった状況が重なれば立直。特に、役無しの立直+ドラ3は満貫確定だから先制立直あるのみだし、先制聴牌で立直+ドラ1くらいの愚形(残り4枚)聴牌でも立直してしまえばよい。イケイケの親番で平和+ドラ2の手も、全く降りる気がないのだから立直だ(ドラ3なら満貫あるのでダマ。6~9巡目以降の1鳴きで親を流そうとしている人や立直が来たら押し返すために立直)。

一言にすれば、立直の本質は、「わたしが和了りますからね」という意志を自他に示すことだ

もし「役があって既に満貫ある」なら基本的に立直せずダマが良いだろう。ヤミから満貫パンチを直撃させてやろう。このとき、他家から立直が来てその河が普通に見えたら即追っかけ立直だ。防御力ゼロの相手とインファイトのめくりあいを楽しもう。(勿論、トップ目で和了る必要がないなど、攻める意味がないならやめて良い。)

追いかけ立直の話。相手からの立直が来てとりあえず手を回していたけど、無筋を1枚切って立直で満貫になる手を両面聴牌。そんなときは「通れば立直だ!」と1枚勝負して立直して、「回してたけどやめた!わたしが和了ります!」と宣言してしまう。こういう場面では、中途半端に立直せず無筋を切って聴牌に取るのが一番良くないのだ。行くかやめるか、すぱっと決断してしまうと良い。その方が後腐れがない。なお、この決断は浅い巡目ほど攻めで、深い巡目ほど降りになる。巡目の浅いうちはツモの回数も多く攻める価値がある一方、終局が近づくと相手に通っている筋も増えてきており、無筋を勝負する危険度が高まっているからだ。

あまり見る頻度はないが、門前の役満について。ツモり四暗刻は、ツモりたいので即立直。国士無双は、ぽろっとこぼれた牌を直撃したいのでダマ。

結論。立直するかどうかは、第一に自分でこの手を和了りたいかどうかだ。そこから、直撃でも打点が十分あって美味しいからダマなどの選択が生まれる。私は、立直に込めるのは和了るという意志だと思う

中盤② 相手の動向を探る

三麻の打点は満貫が基準。では、相手はどんな組み合わせで満貫を作ろうとしているのだろうか。相手が門前で立直してきた場合、情報が捨て牌にしか落ちていないため役の推測は難しい(それよりも北抜きや見えていないドラの数によって打点を考えたほうが良い)。しかし、捨て牌の色の偏りや、鳴いた牌とそのとき切った牌、中盤の手出しの牌は、相手の聴牌や役を推測する重要な要素となる。他にも、北を3枚抜いている人は満貫が確定しているので、最速で聴牌しにきている。自分があまり押せそうにない手/押したくない状況であれば、中盤で降りを決断してよい。

北1枚の南家、捨て牌が6s2s西3s7sで1pポンからの2p切り、場に役牌の南白發中が見えていない。これは筒子染めで「役牌+混一色+ドラ1」の形ではないだろうか。このポンで聴牌か最低でも一向聴だ。ここから筒子や生牌の字牌を切っていくのは勇気がいる。
北0枚の東家、捨て牌が1p9s白9s東中1pでドラの9mをポンからの8p切り、場に役牌の發が見えていない。これは發を絡めた「役牌+ドラ3」を警戒していいだろう。その發を掴んだり、巡目がもう少し深くなれば降りて良い。

中盤の手出しの牌は、特に染め手の聴牌に対して有効な目印である。索子ばかり切っていた人から筒子がこぼれてきたり、中盤に手出しで3枚目の字牌が出てきたり。聴牌したからあふれた筒子を切ったことや、聴牌したから安牌として抱えておいた牌を切ったことが考えられる。

このようにして、相手の手のうちは知りようがないが、推測できることはしていくと良い。逆に、北1の平和ドラ3は誰にも分からないから、放銃を悔やんでも反省点が無い。事故はさっさと切り替えて次に行こう

中盤③ 攻めるか降りるか

中盤にもなると、3人のうち1人は確実に手が入っているもので、相手から立直が入っていたり、怪しい捨牌の他家が出てきたりする。手牌をなるべく崩さないように回し打ちするにしても、限界がある。そろそろ攻めるか降りるかをはっきりさせねばならない。自分が先制立直していれば考えることはないので、以降は立直していない場合について考える。

押し引きの基準は、予想される相手の手と比較して、自分の手に押すに見合う価値があるかどうかだ。両面以上の聴牌、満貫以上の打点、親番などが重なれば押すに足る状況になる。このあたりは、立直をかけるかどうかの条件と非常に似ている。

自分が既に鳴いていて立直をかけられないときに、他家から立直がかかってきて無筋を勝負するかどうか。ここで危険牌を勝負して切るのは、見た目上は牌を曲げられないものの、実質的に牌を曲げたのと同じだ。そこには和了への意志がある。もしこの場面で降りを決断したときに、もう1人の他家が無筋をプッシュしていたら、「おまえも和了る気があるんだな……!」と察して丁寧に降りるようにしよう。門前清一色などダマで跳満以上ある手だと、追いかけ立直せず静かにプッシュしがちだ。降りている人の手から立直者にのみ通る安牌がこぼれてくるのを待っている。

他にも、例えばいくら親番の満貫聴牌だとしても、2鳴きしている索子染めの相手に対して生牌のドラ字牌を切る立直はできない。めちゃくちゃ当たりそうだし、振ったら跳満以上確定だからだ。12000直撃はかなり痛いので、満貫で勝負するのは割に合わない。

なお、降りながら攻めるという高等テクニックを成し遂げるいぶし銀な役がある。それは、七対子である。めちゃくちゃ怪しい生牌の字牌やドラ牌を掴んでしまった場合、残された道は完全な降りしかないのだろうか。否、七対子がある。七対子なら怪しい牌を数種類抱え込んでも和了ることができるのだ。もし自分の和了に価値がある場面なら、安牌や筋を追って命を繋ぎながら七対子を目指してもいいかもしれない。
ただし、あくまでも七対子は防御向きの役であることは忘れないようにしたい。一向聴での受け入れは最大で3*3=9枚、聴牌で待ちは3枚しかないのだ。両面両面の一向聴は16枚、聴牌で8枚であることを考えれば渋いことは一目瞭然である。
もし七対子で待ち牌を選べる状況ならば、相手から出やすいように一工夫(一般的には幺九牌で待つ)するべきだろう。

終盤 降りる

他家の立直が入ったり、自分の手が悪かったり、他家の様子が異常すぎたりして、この局は降りることにした。まずは現物である。現物は絶対に振り込まない。立直が来た一発目は現物を切ろう。100%安心の一手である。問題は、現物が無くなったときどうするかだ。

第一に、特に立直者に対しては、両面の聴牌だと思って通っている筋の本数を数えよう。筋とは両面聴牌を仮定したときに使えるセオリーである。河に4pのある立直者の聴牌を23pの両面と仮定するとフリテン扱いになるため、1-4pの筋が否定されて1pが安全牌になる、というのが筋の理論だ。

三麻において筋は、1-4-7、2-5-8、3-6-9が筒子と索子それぞれにあって6*2=12本ある。例えば、河に2p1s8p7p4sとあれば、6本の筋が通って残りは6本となる(4sは真ん中の牌なので筋が2本消える)。ここから無筋の7sを勝負することは、両面聴牌を仮定すれば1/6=17%で当たることになるわけだ。

筋は立直者が牌をツモ切るたびに明らかになっていくので、巡目が深いほど無筋の勝負が危険になる。例えば456sが通っていれば索子は全滅なので、筒子で通っていない筋を探すと1-4p、2-5p、3-6-9pしかなかった、なんてことがままある。ここで6pを勝負するのは、筋で待っていると仮定すれば50%で放銃することになるので、まずやってはいけない。

勿論、筋の理論を逆手に取った和了もありうる。序盤に6pを切っておいて9pのシャボや単騎で当てるとか、聴牌時に135sの両嵌張が残ったので5s切り立直で2s待ちのモロ引っ掛けなんて自分もよくやる。相手が染め手の場合はシャボ待ちになることも多々あるため、その色の生牌は警戒したい。しかし、色々細かいことは言っても、やはり麻雀の基本は待ち牌の最も多い聴牌、つまり両面待ちなのだ。まずは通っている筋を数えよう

第二に、相手の手役を想像しよう。具体的には、相手の役牌となる字牌が生牌でないか、相手が染め手や対々和や断么、チャンタでないか確認しよう。字牌はシャボや単騎にしか当たらないので確率は下がるのだが、その分当たると打点が高い。字牌の生牌は早いうちほど思い切って切りやすく、後になるほど生牌の字牌の種類や残りの無筋が減って切れなくなる。ほかにも、片方の色が河に捨てられすぎていたら染め手を疑ったり、役牌もないのに違う色を2鳴きしたらドラ暗刻の対々和かなと考えたりと、手役を狙う人の河にはその傾向が見えることがある。無筋を切りたいときは、相手の手役に絡まなそうな牌を切ろう。

他にも、4~5巡目といった早い段階で切られた牌の外側の牌は当たらりづらい、なんてものもある。3sが早めに切れていたとして、他のところに5ブロックあったから孤立している3sを切ったのだと考えると、12sはあまり当たらなさそうだ。
さらに、「壁」という考え方もある。これは、自分視点で4枚見えた数牌があると、それを使った待ちが否定できるというものだ。例えば6sが4枚見えていたら、56sや67sの両面待ちが作れない。すると、両面待ちに限れば78sは通ることになる。
また、降りたいのに全く安牌が無くて無理になっているときは、自分の手で重なっている牌を切る。もしそれが通れば、数巡は同じ牌を切ってやり過ごせるからだ。その間に安牌が増えてくれれば良い。

三麻の和了率はだいたい30%である。逆に言えば、7割は和了ることができない。降りるべき局に出会う頻度もかなりのものだろう。実際に、天鳳の高段位者の統計では、和了率はほとんど変化がないが、上位勢ほど放銃率が下がっている。つまり、上手な人は降りるべきときにしっかり降りて、無駄な出費をしていないということだ。

麻雀は、降りているのに振り込んでしまうのが一番ショックだ。なるべくそれを減らせるように、様々なテクニックを駆使して立派に降りてやろう。後手に回っても、流局して待ち牌をしっかり止めているのが分かると気持ちいい。ノーテン罰符は満貫未満の出費なので、勝敗にほぼ影響しない。

オーラス 点差を把握する

オーラスだけは、どの順位でも他家との点差をしっかり把握しよう。ツモで何点、出和了りロンで何点、直撃で何点要るかの3つをしっかり計算すること。3位なら、2位を捲るために。2位ならば、3位に捲られないように、また1位を捲るために。1位ならば、2位に捲られないために。このとき、供託の立直棒や連荘(本場200点)による加点、40000点未満で西入(北入は無い)といった条件を忘れないようにしよう。

点数計算のために、点数表はどれくらい覚えればいいのだろうか。ネット麻雀である雀魂で遊ぶなら、点数表は簡単でよく出る部分だけ覚えれば良い。なぜなら、相手との捲り捲られの条件を確認するときに、細かい符計算が要る場面がほぼ来ないからだ。跳満ツモ、満貫出和了り、3900直撃、くらいのアバウトさだ。「2翻70符だと、えっと……」なんてまずない。そして、実際の符計算は勝手にやってくれるから、40符だと思っていた手が実際に50符だったとして別に困らない。

満貫以上はシンプルなのですぐに覚えられる。問題は4翻以下だろう。しかしこれも大したことはない。平和ツモは20符、七対子は25符は固定として、変動する部分についても、鳴くかツモか平和ロンは30符、平和以外の門前ロンは40符だと思えば良い。そして、符を倍にすると1翻下と同じ点数になることだけ覚えよう(例えば、4翻20符=3翻40符)。すると、25符、30符、40符の3列だけ見ておけば十分ということになるのだ。どの列もほぼ倍になっているし、対局中によく見かける数字なので見覚えがあるだろう。

唯一の例外として、幺九牌を暗槓すると32符乗って実質1翻アップくらいの効果になる。あまり見かけないが、3翻のときにこれで満貫になる。なお、大明槓はしないように。……何か起きろ? 何も起きません!

以上のように見てきた点数把握のほかに、現状2位や3位でラス親ならば、あまり打点を追いすぎず、3翻くらいでも和了すれば連荘できるという意識を持つ。自分が起家で親番が無いラス目なら、南2局の時点で高打点の手作りを意識していなければならないだろう。

自分が何点の手を作れば良いかは当然重要だが、他家が何点の手を作りたいと思っているかの把握も重要である。理由は2点。
第一に、相手の打点が絞られることは、相手の行動も絞られることを意味するからだ。満貫の出和了りが必要な相手が役牌を鳴いたら、染め手かドラ3でほぼ決まり。満貫直撃か跳満ツモが必要な相手が立直してきたら、ツモれば跳満の強い手が出来ている。など。
第二に、巡目が進んで相手から聴牌気配が出てきたときの押し引きの判断材料になるからだ。満貫直撃なら耐えるから、あまり気にせずに打牌しよう。ツモられたら終わりだから立直が来たけど全ツッパ。大トップのラス親で他家が2位争いをするから、怪しくなったらすぐ降りよう。など。

自分と相手の状況を考えることで、自分が何をしたらいいかが明確になった。すると、手牌の方向性も押し引きも、そしてその結果もスムーズに受け入れられる

手牌の方向性の例。満貫を作るんだから、役牌鳴いて3900の手はダメ、門前で仕上げて打点を上げる……。2位と点数が近いから最速で和了したい。1位も3位も遠いからこのまま着順を固定させたい。もう国士無双しかねぇ! など。
押し引きの例。親から立直がかかったけど振ってもツモられても3位だから全ツッパ。2位の子から立直が来たが、跳満ツモでも1位キープできるからしっかり降りよう。親リーは怖いけどそろそろ和了らないと捲られるからダマの両面聴牌を維持。などなど。1位と2位が僅差のトップ争いで二軒立直をしていて、3位の自分が放銃で水を差すのも申し訳ないから静かにしている、ということもある。

やるべきことが分かっているから、仮に失敗したとしても、それ以外に進む道が無かったことを踏まえれば納得できる。

牌譜を見返してみる

勝っても負けても牌譜を見返すと新たな発見がある。特に負けた牌譜だ。上手く行かなかった局を見返してみよう。

二向聴でぐちゃぐちゃした中張牌の連続形を捌く場面で、牌効率に劣る選択をしていたことが分かることがある。対局中も、「あれー、これ何切ったらいいんだ?」と思ったことだろう。天鳳の牌理ツールなどを活用して、牌効率を確認しよう。すると、なるほどそっちを切ったほうが良いのか、じゃあ聴牌できたはずなんだな……などと学びを得ることができる。

ほかにも、振り込んでしまった場面で、他にも安牌があるのに何故か無筋を切っていたり、今見たら明らかにヤバい字牌の生牌を切っている自分を見つけることがある。なるほどこの12000放銃で負けたのか、とはっきりする。

逆に、反省点が見つからないこともある。常に相手の方が聴牌が早く追いつけなかったり、めくり合いを全部負けたり。今の自分が同じ席に再び座ったとして、同じ結末を繰り返すだろうという一戦だ。もしかしたら、もっと強くなったときに見返すと見えてくる世界があるのかもしれない。しかし、少なくともそれは今ではなかったのだ。今出来ることは、今気付いた部分を自身に取り込むことだ。そっちの方が、遥かに大事なのである。

終わりに

書いてみると意外と文字数が多くなった。これだけの文字が自分の中に眠っていたのかと驚きだ。現時点の自分が持ちうる戦略をおそらく出し切ったほか、楽しくプレイするための気持ちの問題についても触れたつもりだ。

今後の課題としては、まずは複雑な連続形の受け入れを理解し牌効率を高めることだろう。他に、ダマで3翻5200点ある手を立直ツモして2000-4000にしても打点変わって無くないか問題がある。直撃を狙い撃ちするか立直で場を制圧するか。このあたりの押し引きは難しそうだ。

三麻で最も難しいのはこの押し引きと回し打ちな気がする。初心者はむやみに無筋を切りすぎて放銃し、中級者は今度は逆に降りすぎて得点できず、上級者は一見危なそうな牌でも読みを効かせて通して和了りきる。そんなイメージ。

もし、雀魂の三麻で伸び悩んでいる人が、これを読んで何か役立つことがあれば幸いである。

(サムネイルは、©Soul Games ©Yostar より。)

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