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5月の男の娘・女装・TS界隈の新刊の量がヤバすぎたけど全部買ったので感想言う

あまりにも豊作すぎて気が狂いそう(良い意味で)。

日頃、1ヶ月に1冊でも気にかけている作家の新刊の出る予定があれば、「あぁ今月もあの新刊を読むために生きよう……!」と思って生活している私めであるが、この5月はどうしたことか、新刊情報が1ヶ月に1冊ペースを超え、あろうことか1週間に1冊ペースですら超え、とんでもない量の新刊が発売されていた。なんと6冊である。商業だけでこんなに出る月が今まであったか……!? これはいったいどういう風の吹き回しなのか。まだ私が捕捉しきれていない新刊がある可能性も考えると恐ろしくて夜しか眠れない。

この記事では、そんなヤバすぎる出版数となった5月発行の男の娘・女装・TSジャンルの商業マンガを軽く紹介しつつ、それぞれに対する率直なお気持ちを表明していこうと思う。作品タイトルは目次にて。

補足(男の娘・女装・TSとは)

本題に入る前に、男の娘・女装・TSというワードが全く分からない人向けに、おおざっぱな補足説明をしておこう。

男の娘とは、女装があまりにも似合いすぎて女の子にしか見えないが生物学的には男性である者のことである。私の解釈では二次元にのみ適用される。

その一方で女装は、似合う似合わないや女の子に見えるかどうかは成立条件に含まない。男の娘は若い少年で特に見た目や態度が女の子にしか見えないものを指すのに対し、女装男子や女装少年はその外側の範囲も覆う概念と言えるだろう。このあたりの境界は非常に曖昧である。

TSはTrans Sexualの略で、すなわち性転換のことである。男の娘や女装との違いは、実際に生物学的にも女性になってしまっている点だ。ある日突然なんらかの理由あるいは理由すら不明のまま性転換するのが一般的である。TS女子(TSっ娘)と書かれていたら、元男性でTSによって女の子になった者を指す。TSという単語自体には男体化と女体化どちらの意味も含まれるが、女体化のことを指して使われることが多い。

これらに共通するのは、いずれも性別を越境しているかわいい存在について取り扱うジャンルだということだ。

17日 『あまちんは自称♂⑧』寺井赤音

書影 (4)

トップバッターは、今最も強い長期連載男の娘マンガと目される『あまちんは自称♂』シリーズの最新巻。

この作品は、太い実家から運動能力、ダイオウグソクムシ好きのイケメンな親友まで全てを手にしているイケイケ最強な男の娘あまちんの快進撃を綴るマンガである。基本的に1話完結するので気軽に手に取りやすい。高校入学の自己紹介から始まった今作は、ちょうど季節が1周し、この巻で再び新学期を迎えた。

主役のあまちんのかわいさは言うまでもないが、特にお気に入りは、2巻から登場しあまちんに男の娘として目醒めさせられた2人目の男の娘滑川くんである。あらゆるステータスを持っている陽キャなあまちんと対照的に、特に取り柄のない自分に自信が持てなかった滑川くんは、あまちんとの出会いによって、男の娘の姿になることの楽しさを知った。滑川くんの清楚な雰囲気の男の娘姿がストライクなことも推している理由の1つだが、それに加えて、引っ込み思案の滑川くんが、男の娘という趣味を通じて徐々に自分という土台を固められるようになって、時折勇気を振り絞って見せるカッコいい行動にすごく胸を打たれるのだ。

8巻では、すっかり男の娘姿で街に出ることに慣れた滑川くんが、あまちんとスイーツビュッフェの列に並んでいるところへ委員長が通りがかり、自分が男の娘姿であることを忘れて話しかけてしまって「身バレ」するシーンが特に良い。街なかでかわいい格好してニッコニコで委員長に話しかける滑川くんを見て、こんなに明るく社交的になって……! とその成長に袖を濡らさずに読み進めることなどできようか。そんな滑川くんの活躍を今後も見守っていきたい所存である。

21日 『女装をやめられなくなる男の子の話』コバシコ

書影 (5)

TS(性転換)モノといえば、王道の筋書きが存在していて、むかしむかしあるところに男同士の親友だった2人組がおりまして、ある日ひょんなことから片方がTS(性転換)して女の子になってしまいました、かわいい女の子になった親友に対してドキドキを抑えられない男くんの一方で、TSしちゃったTSっ娘もなにやらまんざらじゃなさそうな様子で……? というものだ。

コバシコ氏のこの作品は、そんなTSモノを趣味で嗜む男の子カズが、自室で女装に手を出しているところを親友の優(まさる)に見つかってしまい、「終わった……」と思った矢先、「カズの趣味の本にそういう現象が書いてあったな……」と勝手に早合点されて、「女の子になっちゃったのか!?」と誤解されてしまうことから始まるストーリーである。TSモノの王道のプロットに対して、女の子になってしまったと勘違いされているが実はただの女装であるというずらしが効いているのが特徴である。

さて、その場で説明できなくとも、落ち着いた後でいくらでも誤解を解くことができそうなものであるが、カズが敢えて勘違いさせたままでおく理由がまたかわいらしい。それは、TSではなく女装であると知れたら、優がかわいいって言ってくれなくなるだろうからというものだ。実はただの女装だと打ち明けようとするも、無意識に涙が止まらなくなるカズが圧倒的にかわいい。もうこれ女の子でしょぐへへ。

そして、そんなカズの全てを受け止める親友の優もまた満点である。バカで単純な性格設計だが、カズにかわいいかわいい言いまくるし、突然女の子の姿になってる親友を見てその場で、カズを不安にさせないように「お前がどんな姿でも俺たちは親友だ!」と言い切れる胆力。こういう男の良いところを煮詰めたような人がそばにいてくれるカズは幸せ者である。末永く幸せになってもらいたい。

21日 『イケメン女子と女装男子』TADD

書影 (2)

女装男子(あるいは男の娘)が恋愛するとしたら、その相手は一体どんな属性の人なのだろうか。女装していても中身は異性愛者で女? いや、見た目が女の子なんだから外見に合わせてある意味ストレートに男? いや、あるいは男の娘同士ということもあるのか? そんな疑問に、別角度からの刺客がやってきた。それが、『イケメン女子と女装男子』という選択肢である。

罰ゲームで女装したときの感覚が忘れられず、女装して街に出かけてしまったいおりに、ナンパしてくるイケメンが現れる。なぜかほいほいスイーツ店へ付いて行ってしまうが、やっぱ騙してるようで悪いよなと思って「自分 男なんですよね……」と打ち明けると、なんと「うん わかってるよ」そして「僕が男だって一度も言ってないよね?」とイケメンがナベシャツをめくっておっぱいを触らせきた! →そのままホテルへ。物語の導入、わずか4ページの出来事である。「んなことあるかい!」「いやなっとるやろがい!」というありえへん超展開がありえへんほど良いテンポで軽快に繰り出される。この進行の軽やかさと、「ホテル行った」のようにギャグのオチ的でもありながらしっかりと2人の関係性が進む地の文、そして作品を貫く明るいストーリーが大きな魅力の1つである。

そして何と言っても、イケメン女子に終始リードされなすがままになる女装男子という、読んでて合ってるのか合ってないのか分からなくなる、いや合ってるとはなんなのか? と読者の価値観に揺さぶりをかけてくる作品コンセプト自体がとても良い。我々が内面化している男女の役割、男がリードして女を助けるのがあるべき姿だよねという規定の男女イメージをもとに、見た目としては合っているが中身としては真逆であるというちぐはぐ感が、読者に心地よい戸惑いを与えてくれる。主人公の女装男子いおりも、言わば読者の超自我の代弁者として、はづきにリードされたままじゃダメだ……! とデートでリードしてみようと試みるのだが、結局いつもの流れに戻ってしまう。結局、無理して世間のイメージと同じ形に当てはめてみようと思ってみたって上手く行かないもので、2人の相性さえ良ければその形がどうであろうといいじゃないかと、そんな気持ちが芽生えてくる。ちぐはぐ感の戸惑いの先に、こんな関係のカップルがいたらいいな……と思わせてくれる。

さらにアクセントとして、イケメン女子のはづきが時々見せる謎のセンスがまた面白い。ナンパからそのままホテルに行った日の事後に、いおりの頭を撫でながら「すごくよかったよ。4DXの映画観てるのかと思っちゃった」と言ったり、水族館でいっぱいの魚が泳いでいる水槽を眺めながら「すごいたくさんいるね……休日のデパートみたいで綺麗……」と言ったりするような妙にずれたセンスである。そのほかの行動がめちゃくちゃイケメンムーブで読者も惚れさせるレベルなだけに、このギャップがたまらない。完璧すぎるエスコートよりも、こういう隙のあるイケメンこそ愛されるのかも知れない。

25日 『目々盛くんには敵わない①』もりこっこ

書影 (6)

TS(Trans Sexual 性転換)界隈における鉄板TSシチュエーションであるところの朝おん、すなわち「ある目覚めたら突然おんなのこになっていた!」から始まるハイテンションTSコメディ。

この作品の特徴は、目々盛という聞き慣れない名字の意味に詰まっている。

十数年男として生きてきて、ある朝突然女の子になったらどう思うだろうか。普通なら、「これからどうやって生きていこう」「学校は?友達は?」と壊れてしまった人生設計や変わらざるを得ない人間関係に不安を覚えるものだろう。しかし、目々盛くんはそのような不安に飲み込まれてしまうことがない。なぜなら、目々盛くんは今を楽しむことを信条にしているから。ラテン語の memento mori ((自分が)死ぬことを覚えていなさい)を名字に冠する目々盛くんは、「どんな姿になったって楽しんでやるぜ」をまさに体現する者なのだ。

TSした不安は一瞬のうちに流しさり、あっという間に「この姿を親友に見せて驚かせてやるか」と次の行動を打ってしまう。起こってしまったことに対してあれこれ思案することをやめ、それを所与のものとして今自分に出来ることを考えて実行する。目々盛くんとて不安にならないわけではない。不安は感じるが、いつまでもそれにかかずらうようなことはせず、行動する中で不安を消し飛ばしてしまう。

このような強い核を心に持ち、アクティブに振る舞う目々盛くんは圧倒的に陽キャの者であると言えるし、目々盛くんの眩しいくらいの明るさが、目々盛くんの世界を輝きに満ちたものとして照らし出している。そういう意味で、「目々盛くんには敵わない」のだ。

私の最も好きなのは、巻末の目々盛くんと親友の来生(きすぎ)のやり取りである。これがものすごく男らしいユーモアに満ちている。
(引用中の太字は引用者によるもの)

「前にさ 自分がどんな姿になっても 俺の親友に変わりない そう言ってくれたよな」
「…… うん…」
俺もさ 同じ気持ちだから
「…… …なんだよお前 来生のくせによぉ …ちょっとかっこいいじゃん」
「あ ほんと? 結婚する?
「おいおい親友はどうしたんだ親友は~~」
「え~~いいじゃん水臭い~~」
「…ったく これからもよろしくな 相棒ッ」

ものすごくいい。なぜかというと、この軽口が2人の関係のものすごく際どいところを突いているものであり、なおかつ、こういうふざけ方ができるのは2人の間に堅い信頼があることが前提になっているからだ。

一般に、TS女子と男の親友において、この関係が親友として続くのか恋愛になってしまうのかは非常に大きな問題である。なぜなら、自分の体をはじめ生活や周囲の扱いなど何もかもが変わってしまった不安定な存在であるTS女子において、何も変わらないでいてくれる可能性があるのはただ親友だけだからだ。その関係性が恋愛に変わってしまうかもしれないというのは、その恋愛が良いものかどうかに関わらず、TS女子の精神の安定には悪影響である。親友との関係さえ流動的になってしまったら、TS女子は心の支えとなる揺るがない基盤を失ってしまう。

だからこそ、TS女子と親友男との間の関係性の変化には慎重にならねばならない。それはかの目々盛くんにとっても同じことであった。女子として学校で一日過ごして「俺に対する印象に変化があったことは今日でよくわかった」目々盛くんが、親友の来生に言った言葉が「けどな 自分がどんな姿になっても 俺の親友に変わりない」だったのだ。

その意味で、「あ ほんと? 結婚する?」という茶化し方はギリギリである。親友同士は結婚などしないのだから。これは文字通りに受け取れば関係性の変化を示唆するものであり、TS女子と親友の間においては決定的な転換の契機になりうる言葉だ。しかし、目々盛くんと来生の間においてはそうなることがない。なぜならこの冗談は、「TS女子が親友にカッコいいと言っちゃうなんて、傍から見たら危ういんじゃないの?」という客観的な視点と、「でも俺はちゃんと親友だって分かってるし、お前も親友だと思ってるって分かってるよ」という主観的な確信があるからこそ出せるユーモアだからだ。現在の関係性の破滅にさえ届く際どい言葉が、2人が男同士の堅い信頼で結ばれているからこそセーフの範囲に収まる。こういった深い友情の機微が感じられる名シーンである。

どうしてTSモノにあってこういうシーンが登場するかと言えば、やはりそこが美味しいところだからだ。目々盛くんはTSして外見が女になったが、中身に男の部分がしっかりと感じられる。そこに味わいがある。なお、このシーンではそれと同時に来生とその妹鏡子との間にある兄弟愛も感じることができる。1粒で2度美味しいところなので是非購入して自分の手で味わってみてほしい。

最後に、既に目々盛くんの精神的な強さについては語ったが、それと同じように、他の登場人物たちも軒並み精神的成熟度が高いことも指摘しておこう。彼らは高校生だが、自分がその年ごろだった頃にこんな出来た精神を持てたとはとても考えられない。その観点から言うと、目々盛くんには敵わないというか、目々盛くんにも来生にも陽向にも鏡子にも敵わないなぁと思ってしまうのだった。

26日 『朝起きたら女の子になっていた男子高校生たちの話』つむらちた

書影 (1)

まさにタイトル通り。朝起きたら女の子になっていた男子高校生3人によるほんわかドタバタコメディである。

ある朝目覚めたら女の子になっていた佐藤のもとへ、同じく女の子になっていた鈴木と高橋も合流。困惑している佐藤と対照的に鈴木も高橋もなぜか受け入れているようだし、鈴木のおっぱいがデカすぎて話に集中できないし、なんやかんやで学校行事で行った山の神社の御神体の影響じゃないかということになり、山へ行ってみたら……。というのが第1話で展開される。

ほんわかキャッキャしたテイストから繰り出される圧倒的な情報密度とわちゃわちゃ感が特徴である。怒涛の展開が過ぎ去って、「えっまだ1話が終わっただけなんだ!」という驚きに、マンガという媒体の情報密度の分散の大きさを感じてしまう。(何話もかけて全然話進んでないなっていうマンガあるよね。)その後も、同じくTSしている校長や教頭なども登場し、あまりにも自然な導入で学校に転校生として通うことになり、2話3話4話と快調に駆け抜けていく。

この作品の惜しいのは、最終の5話6話で特長のわちゃわちゃ感が失速してしまうことである。5話6話のテーマは明確で、もともと女子になりたかった鈴木や高橋とは違って男子に戻る方法を模索し続けようとする佐藤に「いいもん……! 女子のままのほうが楽しいもん……!」と言わせることである。このTSっ娘の宗旨変えもまた、TSモノの醍醐味のひとつである。しかし、それを言わせるための幼馴染と部活と大会と……という過程、舞台のセッティングが長く、前半部と比べるとドタバタした味わいが薄まっている感じが否めない。しかし、男子に戻る気でいるTSっ娘に女子でいることを選ばせるには、並大抵のことでは説得力がないので、ある程度の状況の積み重ねが必要になってしまうというのも致し方ないことのように思う。

個人的には、佐藤の明るくてラフな性格が好きになった。素直じゃないけど素直な感じ。特に、「女の服なんて着てらんねーよ」という態度を取りつつも色々考えて女子の服装で外出することにした1話のドヤ顔とか、学校に通って昼ごはんの時間になったときの「昼メシだーっ!」なんてかわいくて好き。こんな娘が転校生としてやってきたら好きになっちゃうじゃん……。

27日 『美少女化したおじさんだけど、ガチ恋されて困ってます 1』なぎと

書影 (3)

ドギツい性癖をことこと煮込んで鍋からよそったような、世にも恐ろしい本が出版されてしまった。正直よく商業で出版できたなと思う。

この作品は、ある日突然美少女の姿にトランスフォームした彼女いない歴=年齢の気持ち悪いおじさんたちのオムニバスストーリーだ。気持ち悪いおじさんの容貌がある日突如として一変し、若さと女性性とを手に入れて人生が上向くかと思いきや、童貞時代の人間関係やもともとの腐った性格ゆえに地獄のような展開を迎えるという、最高にしんどくてきつい救われなさが醍醐味である。この最も美味しい部分の性癖がかなり人を選ぶ味わいだと思うので、商業に乗せることができたことに素直に驚いている次第だ。

私は以前、<少女>は幸福の象徴であるという題で、現代日本における持てる者とは少女の姿をした者であることを論じた。他者に警戒されず、他者とのコミュニケーションが最も取りやすい人型。人生の可塑性を失った気持ち悪いおじさんから、真反対の属性であるところの<少女>に変身することで、彼らの人生は上向く……はずだった。

しかし、彼らの人生は外見が変わっただけでは持ち直すことができなかった。ある者は、童貞時代の親友の男との友情が相手側から破棄され「女」として見られてしまったことに加えて、彼以外に人間関係の避難先を持たなかったことにより崩壊し、またある者は、自分がキモいドルオタであることを客観視できない未熟な思考回路とアイドルに対する偏った思考から、今度は自分が地下アイドルとして気持ち悪いおじさんを迎える側になるという地獄の釜の蓋を開けてしまう。などなど……。

彼らに共通するのは、確かに見た目ではSSRランクを手に入れたが、中身のレベルが相変わらずゴミなので、結局もといた場所と似たような地獄に帰ってきてしまうという救われなさ、夢を描こうとした直後に暗澹たる現実を突きつけられたようなエグさである。読者に対して、「おまえら、もしTS美少女になれたら人生一発逆転なのになあなんて思ってるんじゃないだろうな? 残念だけどおまえらじゃ結局同じ穴のムジナだよ。」……と言いたいのかどうかは定かではないが、性別を変えて外見も良くなったって、他の要因が足引っ張っちゃあしょうがないですよと、そんな世の中の厳しさを教えてくれるような感じもする。

作者のなぎと氏の最も傑出した部分は、リアルでキツいキャラ造形だ。「なに食ったらこんなに気持ち悪い性格のキャラ設定を描けるんだ?」というほどに解像度が高く、現実にいそうな雰囲気を漂わせている。様々なバックボーンを持ったおじさんたちを、1人2人どころではなく、何人も召喚してみせることができるのが、なぎと氏の素晴らしい魅力である。

なお、もともとなぎと氏は、このような救われない気持ち悪いおじさんのストーリーをTwitterに定期的にアップしており、そこから商業連載の方へ、という流れなのだが、個人的には、今回収録されたおじさんたちのストーリーよりも、収録されずTwitterにだけあるおじさんのストーリーの方が、救われない限界感が強いのではないかと思う。

例えば、このパパ活するおじさん美少女の話などは特に良い味が出ていると思う。読後感が最高に気持ち良い。彼らは2巻以降で登場するのか、はたまた流石にキツすぎて商業には乗せられないのか……このあたりの今後の動向にも注目したい作品である。

まとめ

というわけで、5月発刊の男の娘・女装・TSマンガを6冊にわたって紹介し、感想を述べてきた。作品タイトル一覧を振り返っておこう。
(リンクはそれぞれの作者Twitterアカウント)

『あまちんは自称♂⑧』寺井赤音
『女装をやめられなくなる男の子の話』コバシコ
『イケメン女子と女装男子』TADD
『目々盛くんには敵わない①』もりこっこ
『朝起きたら女の子になっていた男子高校生たちの話』つむらちた
『美少女化したおじさんだけど、ガチ恋されて困ってます 1』なぎと

おもしろポイントの説明のために、作品の中身についてあれこれと仔細なところまで書いたが、それによって作品の面白さが損なわれるようなことがないように配慮したつもりである。もし気になる作品があったら、ぜひ手にとって読んでみてほしい。

それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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