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危険な恋 #シロクマ文芸部

 新しい恋に落ちた。相手は15歳年下の素敵な男。澄んだいたずらっぽい瞳、ちょっとデカダンで危険な香りがする甘えた表情、わたしを捉えて離さない魅力いっぱいで、一緒にいると苦しくなる。
 「あなたなら、モテモテでしょうから、もう身を引くわ」
と、年上ぶって言うと
 「その方が君が幸せなら別れよう、でも帰りをいつまでも待ってる。君は僕の自慢の恋人だから」
と寝返りを打って背を向けたりするから、よけい別れられなくなる。

 雨の日に待ち合わせに遅れたら、濡れそぼってずっとわたしを待っていた。カールした髪から雫がたれ、微笑んでいるのに泣いているような瞳で
ピンクの傘をさしだす。
「これは君のための傘だから」
どうかしている。

 エスカレーターに乗れば後の一段低い段から誰にも気づかれないように、すっとわたしを抱きしめる。
 「いい匂い」
長いまつ毛がふるえている。

 彼の車はダークブルーでやたらと天井が低くて狭い。でも秘密の船に乗り込んだようで心がはずむ。お気に入りのコースは、夜の六本木。カーナビで空いている道路をキャッチしながら光のなかを縫って走る。
まるでゲームの世界に潜り込んだよう・・・
この世はほんのゲーム?
ならば、ゲームオーバーは近いかも。

 でも、少なくても今の彼はわたしのもの。対向車のライトというフラッシュを浴びた彼の横顔をウットリと眺める。

        おわり


小牧さんの企画に参加させてください。
小牧さんお世話をおかけします。今年もよろしくお願いいたします。

「沢田研二・華麗なる世界」という番組を見て、改めて沢田研二の魅力に
衝撃を受けました。全盛期の「彼・ジュリー」とその「十五歳年上のわたし」という設定で書いてみました。
初夢としてはいいのではないでしょうか😍


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