夢を買う
ほっと心なごむ記事を見つけた。インドネシアのゴミ拾いで生計をたてている69歳の男性が、コツコツとお金を貯めてついに車を買った、という記事。題して「夢を買ったワルジ爺さん」だ。
こんなワルジさんにとって愛車を持つことは長年の夢だった。が、実際は見た目から判断され、バスからも乗車拒否される有様。インドネシアで車を持つことは「成功者」のあかし、「自分で車を買って、世間を見返したい」そして自分の生き方を認めてもらいたかった。
傑作なのは、米袋に隠しておいた「貯金」が白アリに齧られ、少しずつ減り始めたことも、購入に踏み切るきっかけになった、という事実だ。
買うなら日本車、「性能がいいのに欧米の車よりも安く、デザインがいいから」とは、日本人として嬉しい。
20年前、フランスにいたころ、テレビでクイズ番組を見ていたら、優勝者の商品はニッサンの車だった。アナウンサーが声張り上げてスタジオに止まっている車を紹介すると、ジャーンと京劇のようなドラが鳴り、アシスタントの女性が両手を重ね拝むポーズをしながらお辞儀をした。がっかり・・・日本人はこんなふうにお辞儀なんかしないのに。
近所のクリーニング屋の奥さんは、わたしが日本人だと知ると
「日本は冬は寒いの?」
「魚を生で食べるって本当?」
と興味深々だった。
フランス語を教えてくれていたロシア人のシュレビ先生は、
「日本ではホテルで結婚式を挙げる」と話すと
「え?ホテルで?ホテルは泊まるところでしょう?」
と仰天した。
まだまだ 日本は、フランス人から見ると far east「遠い東の国」
らしかった。今では少しは理解が広まっているのだろうか。
さて、インドネシアのワルジじいさんは、ついに購入を決めた。
小型ミニバン「シグラ」(約150万円)を。自宅からショールームまで徒歩2時間かかるから、途中で強盗に会うのを心配して1800円払い乗り合いバスをチャーターして。持ち込まれた現金(小銭ばかり)は従業員5人が3時間かけて数えたそうだ。
69歳のワルジさん、頑張れ!実家から相続したお金を差し出してくれた奥さんを助手席に、さっそうと運転する日を、遠い日本から楽しみにしていますよ!
おわり
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