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答え合わせ#青ブラ文学部

地下鉄に乗った。向かいの席の女性がなかなかオシャレで気になる。
わたしと同年代だからよけいに。まず髪色がいい。深いベージュ、ハシバミ色だ。肩までの長さで顔の周りに緩やかなウエーブがかかり、横向きになる形のいい鼻がすいとのぞく。

グレイの腰までのダウンジャケットにスリムな白いパンツ、黒いゴワテックスの厚底ブーツは高級そう。黒のリュックの小さいマークはたぶんアニエスベーだ。ちょっと視力の弱ってきたわたしにも、興味のあるところはよく見える。

じろじろ見ては失礼だから、見て見ないふり。買い物に行くのではなく、なにか仕事がらみらしく、左手のスマホの画面をじっと眺めて右手でタッピングしているがなかなかの速さだ。スマホ苦手のわたしは到底かなわない。

横浜駅に着きスイと立ち上がり降りようとしたとき、さりげなくわたしの方を見た。一瞬よりほんの少し長く視線が絡む。
「あなた、見てたでしょ?どれだけ私のことわかった?」
そんなメッセイジが伝わった。

わたしもさりげなく観察されていたのだ。白のコートにベージュのプリーツスカートのわたしだっておしゃれをしていたつもりだから、ちょっとはマークされてたのかな。

お互いに相手の心の中はわからない。だから答え合わせは一生なし
だから楽しい。
          
          おわり

山根あきらさんの企画に参加させてください。ギリギリになりました。💦
お世話をおかけしますがよろしくお願いいたします。

#青ブラ文学部




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