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料理をしない専業主婦

わたしは頑張っても頑張っても、料理が難しい。他の家事はできるけど、料理が苦痛でしかたなかった。できないし、でもつくらないと主婦失格だと思い込んでいた。毎日夕方になると、夕飯のことを考えて体調を崩すくらい思い悩んでいた。一時的に気合が続いて作れることがあるけれど、1週間ももたないで作り続けるのは困難になる。反動がきて、寝込む有様だった。

洗濯や片づけに関しては、頑張った日が続いても反動で寝込む日はほぼない。本当に料理が、料理を続けることが苦手なのだろうと思う。

理想の主婦像として、朝からお弁当を家族に作り、夕ご飯に家族の好きな料理を作る。そんな映像が頭にあった。専業主婦なんだからそれをするのが当たり前だという固定概念もあった。

最初は、持病の統合失調症のせいで料理ができないのではないか、と思ってた。しかしどうも違うように思えてきた。精神疾患のせいなら、他の能力、洗濯や片づけなんかも少しはできなくなりそうだ。洗濯や片づけは一般的だと思うし、どちらかというと好きな家事なので素人レベルでは詳しいほうだと思う。
統合失調症では、多かれ少なかれ認知機能障害というものがおきるみたい。それで料理ができなくなるということは起こる場合があるらしい。自分の程度はわからないけれど、料理だけできなくなるなんてあまりきかない。よくわからないけど、多少落ちているんじゃないかなぁと思うことはある。手際や要領が悪いと思うことはあるから。

わたしの生活の障害は、感覚過敏が主だと思う。音に敏感で、たまに耳栓がないと外出ができない。あとは薬の副作用と症状を含めて疲れやすいというのがあるので、ホームヘルパーさんにたまに家事を頼んでいる。公費のやつだ。

色々考えたけれど、わからない。わたしの発病時期ははっきりしないが、ひどくなって薬を飲みだしたのは一人暮らしの時期だ。一人暮らしの自炊は、鍋料理しかしなかった。理由は、簡単で、野菜と肉がとれるから。大抵は鍋だった。味はいくつも変えたが、スープの素なんてたくさんあるので飽きなかった。今でも一人暮らし程度の鍋ならつれるかも(笑)。
子どもの好きなオムライスとか、ハンバーグとか。栄養面も考えてとか、予算も考えて。野菜はあれが好きとか嫌いとか、味付けは濃いめとか薄味がいいとか。ただでさえ料理のキャパシティがゼロに近いのに、無理難題まで襲ってくる。

そもそも、毎日コンスタントに作るという能力にも乏しい。一人暮らしでも結構な頻度でお総菜だった。鍋料理しかしないのに、鍋すらつくれない日もあったわけで。
一人暮らしの人なんてそんなものでしょ、と思うかもしれない。確かにそうだと思う。一人暮らしということは、通常は仕事をしながら家事をしている。わたしだってそうだった。だから忙しくてそんな食生活にもなるかもしれない。しかし結婚して専業主婦ともなれば、だんだんと家事レベルがアップして、やがては人数分の料理くらいやってのける!ということがわたしにはなかった。

洗濯や片づけに関しては、それなりにレベルアップを重ねてきた。結婚当初よりは片付けが格段にうまくなり、片付かないという理由でくよくよしたり悩んだりすることはほぼなくなった。散らかることは散らかる、まだ小学生もいるので。でもある程度は整った家になっている。洗濯に関してもレベルは上がったと思う。干し方ひとつで乾き方がだいぶ違うというのもわかったし、換気をすると早く乾くとか、扇風機を当てるとか、汚れの種類によっては予洗いをすると綺麗に落ちるとか、これは乾燥機にはかけられない衣類だとか、ウールのセーターはウールを洗える洗剤で洗うと傷みにくいとか。そして4人分の洗濯物を毎日さばいているが、特に難しいと思ったことはない。大変だなぁとは思う時があるけど、誰だってそうだよね。

料理に関して、なぜレベルが上がらなかったのか。これはもう神様に質問するしかない。人間のパラメータを見ることができるなら、たぶんわたしのパラメータの料理の部分はかなり低いはずだ。レベルアップによる能力値の変化が、料理だけゼロなのだろう。

それでも頑張って、頑張って、作ろうとして。こじらせて。最近やっと諦めがついた。家族にきいた、「料理しなくていい?」と。別に構わないということで、それからずっとお総菜を買ってご飯だけ炊いている。
精神的にすごく楽で、他の家事に集中できる。こんなに嬉しいことは滅多にない。夕方が近づくと、買い出しに行くのだけど、その日食べたいものをいくつか選んで値段と相談しながら買って帰る。以前みたいに夕方に体調が悪くなるほど悩むこともない。

それでも後ろめたい気持ちがあったのですが、親友にそれを話すと、笑いながらこう言われた。人間には向き不向きがあるだけの話だよ、と。

料理ができないぶん、わたしに飛びぬけた才能でもあればいいんだけど。たぶん、無いなぁ。とりあえず諦めがついてよかった。楽になれたぶん、他のことを頑張ろうと素直に思いました。

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