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「こどもとアート」を考える研究室 UMUMアートラボedu

2019年1月より始めた、「こどもとアート」を考える研究室UMUMアートラボ。
毎月1回のペースで開催しているこの企画について、やっとまとまりそうな兆し!
現段階でのレポートまとめを書いてみます。

1.UMUMアートラボを始めた理由

今から6年前。
当時活動していたユニットで
年間を通して区内の学童クラブ、児童館を巡回し
アートワークショップを開催する
というお仕事をいただきました。

そこで出会った学童支援員をはじめ職員の方々と
開催後の振り返りを重ねる中で
「こどもたちの造形活動に関わる限界」
が見えてきました。

具体的には

・100円ショップの普及などにより、手軽に手に入る工作キットが増え、こどもたちの「簡単な」「見栄えのいい」作品へのアンテナが高い
→ペットボトルやトイレットペーパーの芯などを使った工作のアイディアの限界

・どんなに一生懸命作っても、おうちで褒めてもらえず作品を持ち帰らない子が多い→職員さんの声がけの限界

・こどもや保護者が喜ぶ「簡単な」「見栄えのいい」制作材料を手配するなど制作活動がサービス化してしまう。→予算の限界

→→→活動がサービス化することで、本来創作活動に期待する創造力、工夫する力、達成感などをこどもたちが体験できる時間になっているのか...?

職員さんたちが直面しているシビアな現状を知りました。

それでも、その「限界」は「限界」じゃない、と信じたい。

そこで。

2年後、熱意ある職員さんのご協力のもと
全国の学童関係者のみなさまと、学童保育だからこそできる創作活動を考える場をつくるに至ります。

(第14回全国児童館・児童クラブ大会 東京 第8分科会
[アート×あそび ~創造は生きる力!児童館だからこそ生まれる活動~]2015)


ここでは様々な現場のリアルな声が飛び交いました。
学童だけでなく、学校、家庭にも関わる課題の数々
理想的な活動の輪郭
さまざまなものが対話の中から見えてきて
すぐに限界を突破することはできなくても
こういった場が、そこにいる一人一人にとって
エネルギーになるのでは、と可能性を感じました。

それからさらに数年間
保育園、幼稚園にお邪魔して
美術制作の時間を担当させていただくたびに
職員さん、先生がた、保護者、さまざまなおとなの
「こどもたちの造形活動の限界」
を耳にします。

耳にするたびに
その「限界」は「限界」じゃない、と信じたい!
長期的に創作活動を考えていく場をつくりたい!
と募る思い。


そしてUMUMアートラボが始まります。


2.UMUMアートラボのコンセプトと3つの柱

美術制作や造形活動のアイディア本が1クリックで手に入る時代。
セミナーや講習会もたくさんあり
「答え」を聞いて、見て、知ることはとても簡単です。

一方で、多くのひとが"スペシャルなこと"と思いがちな
「アート」を扱うからこそ
アートとの関わりやその深さ関係なく
それぞれが立っている地面から感じること
それぞれが見ている景色から見えること
一人一人の「リアリティ」に起点におきたい
と考えました。

そして、現場で起こっていることと考えることを
しっかり噛み合わせ
考察⇄実践の循環
人と人が出会うことで相乗効果がうまれること。

(企画考案メモより)

それらを意識して
組み立てたのは下記3つの柱。


1.さまざまな現場のリアルな声で対話するディスカッション
2.対話から生まれたものを実験し、実感するワークショップ
3.個々の考察や気づきを共有する鑑賞会

さらに、毎月定期的に開催することで
・対話→考察を現場に持ち帰り、実践したことをまた持ち寄れる場
・職種を超えたコミュニティ形成の場
にもなればと考えました。


3.これまでのUMUMアートラボ

学童支援員
幼稚園教諭
保育士
エデュケーター
福祉士(就労支援)
管理栄養士
芸術士
役所勤務
英語講師
キュレーター
アートイベント企画
などなど
毎月開催を重ね、参加人数も増え
様々な職種の方が集まる場になっていきました。

これまでのラボの内容を一部ご紹介します。

3-1.ディスカッション

▲「こどもとアート」に関わる課題、疑問、不安
★「こどもとアート」に関わる理想、期待、可能性

この二つの問いをベースに
みなさんそれぞれの立場から
リアルな現場のエピソードや思いを書き出します。

<おとな(指導員、教師、保護者など)>
▲おとなが「よい」と言わないと、こどもの制作の意欲が育たない
▲キャッチーな(完成クオリティの)プログラムばかりで(制作)プロセスを重視できない/出来栄えで判断してしまう
▲評価を気にする
<声がけ>
▲保護者を説得できる、アートの説明力不足
▲制作に苦手意識がある子への声がけがわからない
▲認める言葉って、どんな言葉?
<アートの役割>
★出来上がりではなく、取り組んだ過程を認められる世の中にしたい
★こどもが家庭に戻った時にもつなげる自己肯定感を育みたい
★自己解放できる/自己肯定できる時間にしたい


付箋に書き出した個人の思想や体験から、グループで対話がスタート。

・アートは、心の動きや体験を形に出す行為
・親、保育士の(プロセスや作品への)共感
・心の中を確認し、自己理解を深める行為
・遊びのなかから学ぶ環境
自由が担保されている環境
・作品作りはゴールではなくプロセスでは?
・だれのための活動?
・こどもの選択の場をつくる
先生も子供の思いやプロセスを保護者にもっと伝える
・見守り声をかけるおとなの自己肯定
・声かけのバリエーション
・「失敗しても大丈夫」とおとなが思う/そもそも失敗って?
・一斉保育ではなく、自分で決める力を育む
様々な価値観をおとながもつ
・理想的な取り組みへの時間、資金的制約
・素材は自由に使ってほしいが、大切にしてほしい
・ひとりひとりに向き合えない
→アートと生活のバランス
・目標に向かってがんばる力
・人とうまく関わる力
・感情をコントロールする力
→非認知能力

・これまでの社会が求めていたのは協調性ではなく従順性
・協調性は一斉保育ではなくても育める
→非認知能力を育む
→非認知能力の要素にアートは相性がいい

職種を超えた対話は、現場の対象や年齢の違いによる
異なるところ・共通するところがでてくる面白さがあり
「アート」ってそもそもなに?
「あそび」とのちがいは?
「失敗」ってなんだろう?
そもそもおとなって...
教育って....
社会って....
など
対話が深まります。


3-2.アートワークショップ

頭の中だけで膨れ上がるイメージを
実体験に落とし込む時間。
熱い議論の熱さまし効果もある
作品制作の時間です。

ワークショップの内容は事前に決められたものではなく
当日のディスカッションで出たキーワードをベースに検討します。

えのぐ、ペン、クレヨンなど
現場でよく使われる画材から
パステルや変形クレヨン、特殊色鉛筆など
ちょっと変わった画材でのお絵描き。
お花紙、画用紙、折り紙、セロハンなどをつかった工作まで。
その日の議論が実験できる制作活動を行います。


これまでのワークショップでは

・設定画と自由画それぞれの検証
⑴テーマ(モチーフ設定)あり、画材制限あり
⑵テーマのみあり、画材自由
⑶テーマも画材も自由

・完成ではなく作品プロセスの発見や楽しみを体験

・対話型鑑賞の体験と、保育教育現場での実践検証

などに挑戦しました。


声をかけるおとなの立場
制作をするこどもの立場
いろんな目線を行ったり来たりしながら
作品をつくります。



3-3.鑑賞会

できあがった作品を並べ
その日の気づきや発見を共有する時間。

「やっぱり難しいな」
「これはおもしろいな」
「この感触最高!」
「これならすぐ実践できそう!」
など
前半の議論を確認できる時間でもあります。

見守る立場として声かけのバリエーションを実験してみたり
表現者として気づきがあったり
画材からヒントをもらったり
一人の人として、表現やコミュニケーションに没頭し純粋に楽しむことも!


3-4.参加者の声

ただ作品だけを観て声掛けするのでなく、(こどもの)作品への想いや過程も汲み取っていこうと思えた。
描いた絵を言葉で誉めることは素敵ですが、言葉は無くともしみじみと感心して観賞している方もいて、非言語での「認める姿勢」も素敵だなと思いました。
対話も表現なんだ。
人はいつでも、いくつになっても人と共鳴したい。自分を見つけて欲しい。のだなあ。
単に何か作るではなく、セッションで共有できたコトがあるから、ワークショップも活きたものになった。アートって、人に寄り添うことかもしれない!
現場のリアルな意見を聞け、非常にイメージしやすい内容で話すことができました。
経験豊富な先生方に素直に質問をぶつけることができました。
手を動かす中で、自分の予想外に素材が扱いにくかったり、思ったよりもかき心地がよかったりと、たくさん心が動きました。
子どももそうなんだろうな。


4.これからのUMUMアートラボ

主催者として場に携わっていて感じるのは
とてもおおきなテーマにみなさん取り組んでいる、ということ。

それが「アート」という正解のないものだからか
未来をになう「こども」そして「教育」という奥深いものだからか
参加者のみなさんの熱意からなのか。
すべての相乗効果なような気もします。

そして、大きなテーマということはつまり
すぐに答えがでるものではないということ。
だからこそ、長く続けていくことで
新しいことに挑戦したり、思いを形にしようとする
こどもとアートを愛するみなさんが
『うし!がんばろう!』
とエネルギー交換できる場にしていきたいなと思っています。
そして、現場のちいさな発見、きづき、できごとを
大切にする場でありたいとも思います。


初回の開催は3時間で開催していたのですが
上記のとおり、参加者のみなさんの熱意によって
3時間ではとても収まらず!

2019年5月から企画名をUMUMアートラボeduにリニューアルし
丸1日かけてじっくり3つの柱を味わうことにしました。
お昼ご飯も一緒にたべることで1:1のコミュニケーションも
ぜひ楽しんでいただきたいです。
また、会場も立川のほか
池袋でも開催をはじめます。


この企画のおもしろさ、そして奥深さは
たくさんの”リアリティ”をもちよることから始まります。
これからもさまざまな立場のみなさんと
対話し、実験し、共有し
その実践から循環を生み出す場をつくっていきたいと思っておりますので

ぜひ!

みなさまのご参加お待ちしております^^

<UMUMアートラボedu 開催スケジュール>
お申し込みは各URLから受付中です

2019.5.19(SUN)10:00~16:00

IKE・Biz としま産業振興プラザ
https://umumartlaboi201905.peatix.com/


2019.5.26(SUN)10:00~16:00

立川市子ども未来センター
https://umumartlaboedut201905.peatix.com/


2019.6.23(SUN)10:00~16:00
IKE・Biz としま産業振興プラザ
https://umumartlaboe201906i.peatix.com/


2019.6.30(SUN)10:00~16:00
立川市子ども未来センター
https://umumartlaboe201906t.peatix.com/

★「ビジネスとアート」を考える研究室
UMUMアートラボbizも開始しました。
詳しいレポートはまた後日!

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立川、池袋など様々な場所で
こどものアトリエ、おとなのアトリエ
ビジネスとアートの研究会や、美術教育研究会を開催しています◎
企画詳細&お申し込みはこちら
https://umum.peatix.com/

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【UMUMオーダー 随時受付中!】
保育園、幼稚園、学童クラブ、福祉施設、企業、学校など
オーダーをもとに企画をつくり
UMUMがおじゃまして美術表現の場をひらく「UMUMオーダー」。
こどもたちの造形、絵画表現活動はもちろん
保育士さんや先生がたの研究会、託児企画、企業研修など
バリエーションも開催スケジュールも
オーダーメイドでつくります。
お問い合わせはhello✴︎umum.artまで。
(✴︎を@にご変更ください)
一緒に表現の場をつくりましょう!

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っしゃー!
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UMUM 田中 令

Art Education Research UMUM founder/コネルテ代表/多摩美卒🎨“人と美術表現の関係(再)構築”をテーマに、アトリエ,研究会,施設や企業でのワークショップなど「日常的な表現の場」を創出。世界中に研究旅行に出かけます。

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