技術を効果的に取得する練習形式を知っていますか?
練習形式って思ったより色々ありますよね。
今思いつくものでも、
Whole – Part – Whole
Technical – Skill – Small Sided Game
Constant – Variable – Random
Function – Phase – Small Sided Game
Carousal Training
など。
他にも自分が知らないだけで沢山の練習形式があるのだと思います。
この前England DNAのCoaching fundamentalsを見ていたら1つ興味を引く要素がありました。
一番下の段の左から2番目の
“Use a carousal approach to practice design maximising playing time”
訳すと「カルーセルアプローチを用いたセッションで選手のプレー時間を増やす」という要素。
カルーセルアプローチというのは選手をいくつかのグループに分けて様々なトレーニングをローテーションさせながらやっていくものだと理解しています。
サーキットトレーニングの方が馴染みがあるかもしれません。
例えば、サッカーピッチを4分割して、シュート練習ゾーン、パス練習ゾーン、ドリブル練習ゾーン、ミニゲームゾーンのように分けて20分ごとにローテーションするようなアプローチです。
実際単発でこの練習形式を取り入れているチームはみたことありますが、シーズンを通してやっているところはあまりみたことがありません。
どちらかというと自分は練習をするときは、大きな1つのゴールを設定しそこからそのゴールに必要な要素をSub principle – Sub sub principleとしてコーチングするものが効果的だと思っていたので腑に落ちないところがありました。
このカルーセルトレーニングをすることは果たして効果的なのか?を今回は書いていこうと思います。
結論から言います。(今の自分の知識の中で出した結論です)
このカルーセルトレーニングは長期的に使うと選手の技術習得において一番効果的なのではないかと感じました。
説明をすると認知心理学のInterference Theoryが関係してきます。その中でもContextual Interference Effects(文脈干渉効果)と言うものが大きな役割を果たしています。
この文脈干渉効果は、ブロック練習とランダム練習を比較した時にランダム練習の方が後のパフォーマンステストで高い値を示していた効果のことです。
ブロック練習というのは1つの課題を全て消化した後に2つ目の課題にいく方法です。
サッカーの練習だと1週間はショートパスの練習に焦点を当てて練習し、他の部分はコーチングせず、2週目に入ったら次はロングパスの練習をするというような形です。
一方ランダム練習はいくつもの課題を一度にまとめて行うような形です。
そうです。カルーセルトレーンングのようにしてショートパスとロングパスを2週間ずっと練習します。
このように練習時間と課題は一緒なのですが方法だけが違うとどのような結果になったのか?
課題習得期間中のテストではブロック練習をしていた選手の方が優れていたのですが、習得期間が終わったあと少し時間をあけて行ったテストではランダム練習をしていた選手たちの方が高い値だったという結果が出ています。
ここからわかることがランダム練習で取得した技術の方が長期的な持続性があるということです。
中学や高校時代に経験がある人もいると思うのですが、テスト前日に一夜漬けで覚えた知識と毎日10分勉強して身についた知識だと、前者はテストが終わった後にすぐ忘れてしまいますが、後者はその後も長い期間覚えていると思います。
これが実験でスポーツの場合でも当てはまるということが発表されました。
じゃあこれをみんなやればいいじゃんと思ったのですが、デメリットもあります。
このランダム練習ですがさっき話した通り課題習得期間中はあまり上達を実感できません。
それによって選手たちのモチベーションが落ち、練習への集中力が低下してしまい結果理想の学習効果を得ることができないということも起きます。
また選手の習得した技術の自信の値を調べるとブロック練習で身につけた技術の方が自信があるというように答えています。
コーチとしてもランダム練習で選手が成長しているかを判断するのがブロック練習に比べて難しいので、忍耐力と計画的に先をしっかり見据えることが大事になってきます。
1つの論文では「まあ色々わかったけどブロック練習とランダム練習をうまく組み合わせた練習が最強だよね」と元も子もないことを言っちゃったりもしてます。
なので大事なのはバランスなのかなって感じました。
練習形式も理解してプランニングするのとしないのでは大きく違うと思います。たった一回のランダム練習では全く意味がないので、カルーセルアプローチも単発ではなく長期的に計画をしてやることが大切ということが理解できました。
いやー、サッカー難しい。
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