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それぞれの入学式

この春、近所の女の子が小学校に入学しました。
その子が産まれて6年も経ったと思うと、うちの子供たちが、小学校を入学した頃の思い出を開けてみたくなりました。

息子の場合

息子の入学前に引っ越したので、知り合いも土地勘もありませんでした。学校までの道順は簡単なのですが、私も新しく住む場所を歩きたかったので、春休み中に一緒に通学路を歩きました。

入学後は、一緒に登校をお願いする年上の知り合いもいないので、4歳だった娘を連れて家と学校の中間地点まで付き添っていました。
中間地点では、地域のご老人たちが見守り挨拶をしてくれていました。「おはようございます」「いってらっしゃい」と優しい笑顔で声を掛けてくれます。
向かいの道には先生が立っていて、そちら側を歩いている児童に挨拶をしていました。新1年生の息子の姿を見つけると、向かいの道から「おはようございます」と大きな声で挨拶をしてくれました。

息子は先生やご老人に挨拶をして、私はそこで「いってらっしゃい」と言います。
息子はささっと離れて行ってしまいますが、娘は向かいの歩道で挨拶をしている先生に、息子よりも他の挨拶をしている児童よりも大きな声で「おはようございます!!」と挨拶を返したのです。
先生は「いいねーーー!!元気!!」と娘を褒めてくれました。
ご老人や先生が新入生を温かく迎えていることが、新しい土地で少し慣れなかった娘にも伝わり、嬉しくなったのでしょうか。
娘は元気いっぱいの性格ではなく、どちらかと言うと私の横にピタッとくっついている娘だったので、私も驚いた出来事でした。

2~3日登校を一緒に行きましたが、数日後、同じクラスのお友達と学校へ行く約束をしたので、「もうついて来なくていい」と言われました。
どんな子なのだろうと気になり、少し離れたところから観察しました。そのお友達の家は、我が家から目と鼻の先にあり、その子と並んで登校していく息子の姿を見て、「登校クリア」と一安心しました。

娘の場合

娘の小学校入学前の春休み中に、家のリフォームの為、学区内の仮住まいに引っ越しをしました。
学区内とは言え、娘は歩いたことが無い場所だったのですが、息子は娘と学校へは「一緒に行かない」と言って、娘の面倒は見てくれませんでした。息子の性格をよく理解しているので、期待はしていませんでしたから、途中まで娘に付き添っていました。

息子のことは薄情だとは思いませんでした。
息子は、運動会、遠足、他にも学校での経験が全て始めてで、それを家族に経験したお手本がいない中頑張っていたと思います。
娘は、学校行事は息子が経験していたし、家でも行事について話す相手がいるのが良かったはずです。学校でも息子がいるので、何かと安心する要素にはなっていたようです。
そう感じた出来事が、息子の卒業式でした。
在校生の席にいる娘を観た時、娘はこっそり泣いていたのです。それを見つけてしまった時は、「むすめーーーー!!!」と心で叫んでもらい泣きでした。

私の場合

私の遠い昔の入学式、強い印象を残したYちゃんがいました。
入学式の入場前、並んだ時にYちゃんと前後だったのですが、「友達になろう!」と声を掛けられたのです。
内気だった私は、入学式という緊張の中、ましてや初めて会った人なのに、列で前後だっただけの私に「友達になろう」と、私には考えられない積極性を見せつけたYちゃんに圧倒されました。

でも、嫌じゃありませんでした。

同じクラスに、幼稚園が同じで家も近所なのに、とっても苦手な友達と同じクラスになってしまったので、きっと私は落ち込んでいたはずです。そんな私に声を掛けてくれたYちゃんが救い人のように見えて眩しく感じました。

私は「うん」と言いました。
Yちゃんとは、すごく仲良くなりました。彼女は小学校3年生の時に引っ越してしまいましたが、それまでは親友の1人でした。
苦手だった近所の友達はと言うと、1年生の時に引っ越してお別れしました。こんなに嬉しいお別れは無いという程、さよならの握手を満面の笑みでしたのを覚えています。
その子も、楽しそうにみんなと握手をしていたので、私が笑っていても目立たない状況だったのが、これもまた整っていたと驚いてしまうのですが、いつ振り返っても「全てはうまくできているな」と忘れられないのでした。

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