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巨岩と家が融合するモンサント

 先日、世界の辺境の一つ、だいぶ変わった場所に行って来ました。ぜひ写真を見て頂きたい。

モンサントとは

モンサントはポルトガル中部の東側、スペイン国境から10km程度離れた場所に位置する、人口200人程度の町である。
ポルトガルの東側の海沿い2大都市(南部の首都リスボン、北部の古都ポルト)からどちらからも、鉄道やバスを使って4時間、乗り継ぎ含め半日~1日かかる、なかなか行きにくい場所でもある。
では、なぜその地に訪れたのか。それはモンサントが他に類を見ない、人と岩が共生する類いまれな地であるからである。さて何が類まれなのか。この地では、家と岩が共生しているのだ。

モンサントへ

僕が訪れたのは令和元年(2019年)の6月の末、ちょうどヨーロッパに熱波が到来していた時期だった。2週前にいたギリシャの第二の都市テッサロニキは午後4時で42度、先週いたマドリードも午後6時で35度を記録していた。カステルブランコもお昼は快晴で35度程度とだいぶ暑い。
リスボンとポルトを結ぶ鉄道の結節点の田舎町、カステルブランコという町からモンサントへ向かうが、バスの接続が悪く、昼間の半日ほど足止めを食らう。
バスを待つ間、昼はワインが有名なタベルネ(レストラン)で肉とワインを食べ、市営プールでひと泳ぎをしてさっぱりしてから、モンサントへ向かう。

モンサントへ行くバスには僕含めて3人しか乗っていない。日本の限界集落のバスのようだ。
途中の道もまるで田舎の平坦なあぜ道が続いていて、なかなか退屈だったが、モンサントに近づくと、そこだけが丘になっているのですぐわかった。
バスは幹線道路を離れ、モンサントの丘の中腹まで僕を連れて行ってくれて、また翌日の朝来るね、と言い残して僕を下ろしてまた同じ幹線道路へと5分程度の道を下って行った。ついに待望のモンサントへ来た。


モンサント市内

モンサントはそもそも人口200人程度の町であり、20分あれば居住区は一周できる程度の大きさである。
宿泊先のカーサ・ド・シャファリスもすぐ見つかり荷物を置く。部屋は広々とした部屋とバスルームがあるが、まず部屋の壁の奥が岩であった。

次にバスルームの壁の一面も同様に岩であり、バスルームの半分以上を侵食していることに驚かされる。(いや、岩は侵食しないからもともとある岩を前提としてバスルームを作ったのだが。)

モンサントの町を歩く。モンサントは古城の横に作られている。道を歩くと、事前情報に違わぬ、岩とも家ともいえる建築物が街中をゴロゴロしている。岩がまた巨大であり、どう考えても岩を前提として家を作っているとしか考えられない家が並ぶ。

岩は巨大で、苔が生えていて、ずっとそこにあったような存在感を発している。

一方で、家を構成する赤い屋根は実際割と古い(古いもので50年程度)だが、岩との対比でどこか新しさを感じる。

一通り街を歩きつくし、古城にも上って一休みしたくなったため、岩と家が混ざったレストランでワインを飲みパンとシチューを食べながらサンセットを望んだ。

 その日僕以外の唯一の観光客のフランス人子連れ夫婦と、顔がはっきり見えなくなるくらい暗くなるまでワインを飲みあれこれと話した。

特にオチがないのであとは写真を見て頂きたい。

牛の声と月の灯りの下、ワインを飲みながら過ごすには最適な場所であった。

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