見出し画像

アルアインがくれたもの

ジャパンカップは素晴らしいレースでしたね。
リバティアイランドの逆転もあるかと考えていましたが、イクイノックスがとにかく強かった。そして電撃引退表明。きっと、種牡馬としても素晴らしい仔を出してくれることでしょう。まずはお疲れ様でした。
今週は2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズ。春に牧場で取材した馬たちも何頭か駒を進めてきており楽しみな一戦です。
そして日曜日には香港国際競走も行われます。香港ヴァーズには我がシャフリヤールが出走予定。前走のブリーダーズカップターフの内容に復活の兆しがみえました。日本馬含め、強いメンバーが揃いましたが、好勝負を期待しています。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

皐月賞を制し、私に初めてのG1タイトルをもたらしてくれたアルアイン。当然、次に目指すは日本ダービーです。
皐月賞で口取りに参加した姿が話題になり、ダービー前にはスポーツ新聞等での取材も増え、気分は否が応でも高まります。
ただその一方で、皐月賞の時は「なんでこんなに人気がないの?」と思っていたのに、ダービーの時は「調子を上げてくるライバルもいるから3番人気ぐらいかな」と冷静に分析している自分も。

そして迎えた本番。好スタートから3番手を追走したアルアインでしたが、直線に向いてもジリジリとしか伸びず。向正面で捲ったレイデオロの脚色が最後まで衰えることなく、そのまま押し切りました。アルアインは5着。
私の競馬仲間の一人がレイデオロに出資していたため、この頃はレースのたびに「おめでとう」とか「次は負けない」というやり取りをしていたのですが、一番大きなところをレイデオロに持っていかれてしまうカタチに(笑)。今思えば、これもまた懐かしい記憶です。
こうして私にとっての初めてのダービーは幕を閉じました。

この後、アルアインはセントライト記念2着を経て菊花賞へ。マイルでデビューしたアルアインが、結局、三冠レース全てに連れていってくれることになったのです。その菊花賞は大雨で不良馬場での競馬。2番人気で7着でしたが、究極にタフだったレースだったのにもかかわらず、4コーナーを持ったままの手応えで回ってくる姿は、胸にくるものがありました。

皐月賞の後は、海外遠征(香港・QE2世C)あり、マイルCSへの挑戦ありと、大きな故障をすることなく走り続けてくれましたが、10戦続けて勝つことができず。連敗が続くうちに、心の中に「タイトルが皐月賞だけで種牡馬入りできるのかな?」という不安がもたげてきます。それだけに、2019年の大阪杯の優勝は本当に嬉しかった。競馬仲間に最初に送ったLINEも「これで種牡馬になれそうだね」というものでした。
ちなみに仕事があったのでリアルタイムでレースを観ることは叶わなかったのですが、スマホに届いていたメールの数をみて、勝利を確信したのを覚えています(笑)。

思えば、出資を決めた時は300キロ台しかなく、サイズが心配されていたアルアイン。引退間際の頃は、レースでは520キロ台で走っていたものの、しがらきに放牧に出されるとすぐに550キロぐらいまで増量していました。まさに“健康優良児”で、競馬仲間と「また増えてるよ〜」なんて苦笑いしていました。これもまた楽しい記憶です。「募集段階のサイズに固執し過ぎない」ーーアルアインは、私の相馬の礎を築いてくれた馬でもあります。

アルアインは大阪杯を制した2019年いっぱい現役を続け、年末の有馬記念で引退し、ブリーダーズ・スタリオンステーションにて種牡馬入り。
同期のスワーヴリチャード産駒が大活躍していますが、アルアインの子供たちも負けずに頑張ってくれたら嬉しいですね。
(次回更新は12月19日となります)

引退後、取材の合間に対面を果たすことができました

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
X(ツイッター) @yamamoto34masa

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?