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競馬が勝負の「押し引き」を教えてくれた

前回は大井競馬場で父が無くした当たり馬券を哲也少年が持っていた、という奇跡のお話をさせていただきましたが、今回は小学校2年生の時から現在に至るまでのお話をさせていただこうと思います。

藤森家の中での「公園」大井競馬場に連れて行ってもらう日が続き、僕は小学校2年生になりました。もうハズレ馬券を集める遊びはやめ、興味があるのは競馬のレース内容になっていきます。本格的に勝ち馬の予想を考えるようになっていきました。

ですが細かい情報などはなにもわかりません。◎と〇が強いという情報を父から聞いて、その印がたくさんついている馬に注目します。パドックでカッコ良いお馬さんを探して、父が持っている競馬新聞で印がたくさんついているかをチェックします。36歳の今、ビールを飲んで思い付きで適当に馬券を買ったりしているのですが、7歳の時のほうが真剣に考えていたんじゃないかというぐらい、しっかり予想していました

マークシートの書き方を覚えたのもこの時。ただ馬券は買えないのでエア馬券で勝負です。あるレースで、父の予想していた馬と僕の予想していた馬がゴール前でクビの上げ下げになりました。そして、僕の馬がハナ差で勝ったのです。ガッカリしている父に「てっちゃん、30万円当たったよ!」と僕がマークシートを見せつけます。6番の単勝に、しっかり30万円と塗ってあって両親を驚かせるのでした。

ある時、父がスーファミのダービースタリオンを買ってきました。僕は、その頃、ゲームといえばスーパーマリオで遊んでいたのですが、いまいちハマりません。そしてダービースタリオンにハマりだします。

ノーザンテースト、ブライアンズタイム、トニービン、リアルシャダイ…それ以外にもたくさんの種牡馬を覚えました。
調教はダートコースや芝コースなどがあって、単走で走ると馬体重が何キロ減る、併せ馬だともっと減る、強めや一杯に追うとさらに減るけど仕上がってレースで勝ちやすくなる。
牡馬の三冠レースはどれだとか、秋はこのG1があって年末は有馬記念、などたくさんの知識が増えていきました。ブリーダーズカップで自分が育てた馬を対戦させるのがダビスタの面白いところでもあるのですが、周りの小学校2年生の友達の中でダビスタにハマっているのは僕だけ。仕方がないので自分の育てた馬同士を走らせる「1人ブリ―ダーズカップ」が僕の至福の時間でした。

僕の競馬の知識はダービースタリオンからきています。

僕は本当にゲームをよくしました。テレビゲームもやったしゲームセンターの競馬ゲームもおもちゃの馬が走るものからStarHorseまで、のめり込むように遊びました。遊びの時間を全部将棋に使っていたら、今の自分の実力よりどれぐらい将棋が強くなれただろうか?そんなことをたまに考えたりもしますが、競馬にはレースからも馬券からも勝負の「押し引き」を教えてもらいました。そんなわけで、現在では趣味は?と聞かれるとまず最初に競馬が浮かんでくるぐらい競馬が大好きで楽しんでいます。

ふじもりてつや
1987年生まれ。将棋棋士 五段。「迷ったら攻める」「攻めっ気120%」の棋風で知られる。映画 「3月のライオン」 前編・後編では俳優陣への将棋指導・監修を担当するなど、将棋の普及に尽力しており、自身のYouTube『将棋放浪記』は、チャンネル登録者数16.7万人を誇る(9月6日現在)。著書多数。
YouTubeチャンネル:将棋放浪記

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