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祝!フォルラニーニ新馬勝ち

今回のテーマはゴールデンドックエーの13ことリライアブルエースのお話ですが、その前に一つ、ご報告をさせてください。

9月9日土曜日の中山5Rで、出資馬のフォルラニーニが見事、デビュー勝ちを飾りました!

調教の動きは良かったですし、手塚調教師も強気なコメントだったので期待はしていましたが、手塚さんのコメントは基本、強気なので(笑)、半信半疑の部分もあり。単勝1.5倍という圧倒的な人気に、ドキドキしながらレースを見守りましたが、いい内容で勝ってくれました。レース直後からたくさん祝福のラインが届き、やはり新馬勝ちは格別だなと感じた次第。
前回のコラムの冒頭で触れましたが、現3歳は大きな期待をかけていたピヌスアモリスが未勝利引退に終わり、一つ勝つことの難しさを痛感していたところだっただけに、喜びもひとしおです。

今後は一気に相手も強くなりますし、ステイゴールド肌なので今後の気性面も少し心配で、次走が試金石になりそうですが、楽しみにレースを待ちたいと思います。

この馬の出資に関して、お母さんのリナーテを巡るちょっとしたエピソードがあるのですが、それはまた別の機会に。

さて、本題のゴールデンドックエーの13です。
フォイヤーベルクへの出資が叶わず、言わば“外れ1位”のような形で出資が決まった馬ではありますが、今となっては本当に思い出深く、感謝しても感謝しきれない特別な存在となっています。

まず、この馬で注目してもらいたいのは“顔”。真っ直ぐ伸びた、シャープな流星が本当にカッコいいんです。
私の持論に、「顔のいい馬は走る」というものがあります。実際、出資馬選びの際、馬体や動きが気に入っても、流星の形が気に入らなくて出資を見送ったこともあります。

リライアブルエース=頼りになるエースという、野球人にとっては最高の栄誉ともいえるような名前を授かった同馬は、育成でもその名に違わぬ動きをみせてくれます。育成担当の厩舎長の評価も上々。その後に私はPOGの取材で育成牧場を訪ねることになるのですが、育成担当の厩舎長はリップサービスをしてくれるタイプではなく、手応えを感じている馬には「いい」、そうでもない馬は「ちょっと…」とメリハリがついているタイプ。今振り返ってみても、牧場の期待馬であったことがよくわかります。

2歳の7月に、栗東の矢作厩舎に入厩すると、すぐにゲート試験に合格。一旦放牧に出されて、秋の東京開催デビューへ。まさに王道ともいえるステップです。

しかし、好事魔多し。

デビューへ向けて再入厩した、実質的なその初時計の後、脚元に不安を発症してしまいます。左前脚の膝ウラに腫れ。
期待が大きかっただけに、まさに天国から地獄といった心境で、イレギュラーの更新情報を読んだ時、そしてサンデーレーシングの方とお話した時のやるせない気持ちは今でも記憶に残っています。

くだった診断は、腱が太くなっており、このまま調教を進めると屈腱炎を発症してしまうかもしれない、というもの。
デビュー予定は白紙に戻され、放牧に出されることになりました。

一進一退を繰り返し、再入厩は3月。パンとしたから、というよりも、残された時間を考えてのギリギリの選択だったと思います。
そして迎えた4月のデビュー戦。ゲートで出遅れ、最後の直線では懸命に追い上げたものの、前をいく2頭を捉えきれずに3着でした。
初出走を思えば上々の内容ですが、脚元のことを考えれば一発回答が欲しかったところ。
レース直後は、「一息入れて、夏の北海道辺りで初勝利を目指すのかな」とぼんやり考えていたのですが、そこは、さすが矢作調教師ですね。
続戦を選択。3週間後の未勝利戦では単勝1.5倍の圧倒的な支持を受け、見事に待望の初勝利を飾ってくれました。

レース後に、リライアブルエースは再び脚元に不安を発症。
もし、ここで勝ち切ることができていなければ、その後の魂を揺さぶるような復活劇での感動も、この馬を通じて生まれた矢作調教師の親交もなかったかもしれません。たった1つの着順の後先で運命が変わってしまう、勝負の世界の面白さであり残酷さを体現したような一戦でした。

(次回更新は9月26日となります)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
ツイッター @yamamoto34masa

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