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山本流、出資馬の選び方

今週は牝馬三冠の最終戦・秋華賞。リバティアイランドの三冠に注目が集まります。
実は、リバティアイランドはデビュー前のPOG取材で実馬をみています。
厩舎長がベタ褒めで、実際に素晴らしい馬でした。それにしても、ここまで規格外の馬だったとは。
果たして偉業達成なるか。一ファンとして楽しみにしています。

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チャビアール、リライアブルエースときて、3世代目に巡り合ったのがアルアインです。アルアインの募集があったのが2015年で、これは結果的に私の現役最終年となりました。

さて、アルアインの話題に移る前に、改めて、私の出資馬の選び方についてお話ししましょう。

出資馬を決断する最大の基準は、募集動画です。それこそ、募集馬のDVDは「穴があくほど」「テープが擦り切れるほど」何度も繰り返しチェックします(今は、配信となり、DVDが無くなってしまったのが少し寂しい)。
引退して解説者に転身してからの話ですが、ちょうど募集時期は交流戦で、ドラゴンズとソフトバンクの試合が組まれていることが多く、福岡までの新幹線にポータブルDVDを持ち込んで、ずっと観ていました。集中しているので、本当にあっという間に着いてしまうのです(笑)。

募集動画で気にしているのは運動神経の良し悪し。長くスポーツをやってきた人間なので、歩くリズムや躍動感などから、ある程度、運動神経は見抜けるつもりです。
重点的にチェックしているのは「後肢の運び」。後ろ脚の可動域やしなやかさは、その馬の運動神経を示す一つの指標だと考えています。ただ、これもとにかく可動域が広ければいい、というものでもないのが難しいところ。

今でも印象的で覚えているのが、アルアインの一年前、2世代目に募集されていたアラバスターという馬。
父はハービンジャー、そして母は2010年の2歳女王レーヴディソール。関西の名門・松田博資厩舎所属で、募集価格は8000万円でした。

この年から、本格的に出資に取り組みはじめた私は、競馬仲間を集めて、名古屋のとある焼肉屋さんで募集馬検討会を行ったのですが、そこで観たアラバスター(当時はレーヴディソールの13ですね)の歩きに目を奪われたのです。

他の馬と比較しても後肢の可動域が明らかに広く、柔軟性の塊といった印象。何度も募集動画を戻しては、「めちゃくちゃ柔らかいよね」と話し合った記憶があります。
この馬はハービンジャー2年目の産駒。したがって募集のタイミングではほとんど産駒がデビューしておらず未知数という状況。もの凄く惹かれる存在ではあったものの、この年にはナイトマジックの13(競走馬名フォイヤーベルク)というスペシャルな存在がいました。そして、この馬への出資が叶わなかったとしても、ディープインパクト産駒に出資したいという想いが強く、最終的にリライアブルエースへの出資を決めたので、この馬とは縁がありませんでした。

そのアラバスターは新馬勝ちこそ収めたものの、通算6戦1勝で引退。2戦目からは出遅れ→後方から追い上げるも、というレース続きでした。今にして思えば、私が感じた可動域の広さは、ハービンジャー産駒特有の「緩さ」だったのだろうと思います。まさに紙一重。この馬は、私に相馬の奥深さを教えてくれた一頭だったなと感じています。

募集動画の動き以外に、馬体の作りや血統面も考慮しています。血統という意味ではマイルールがあって、それは「サンデーの血が一滴も入っていない馬は選ばない」というもの。募集動画の動きがよくても、クラブの方の評価が高くても、サンデーの血を持っていなければ出資しない。現2歳世代にいるソウルスターリングの全弟・スタセリタの21は素晴らしいデキで、出資の最終候補にも残っていたのですが、最後の最後に「いや、ルールを曲げちゃいかん!」と、断腸の思いでリストから除外したという経緯があります。

話はアルアインに戻ります。
この年の3月、私は教育リーグで右膝を故障し、開幕に出遅れてしまいました。リハビリを経て、ファームでの実戦復帰のタイミングが、まさにサンデーレーシングの募集時期でした。
(次回更新は10月24日となります)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
X(旧ツイッター) @yamamoto34masa

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